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乳児期から幼児期への過渡期は体も心も変化の時!
食事の時間がストレスになってしまっているのはつらいですよね。お子さんは食べる意欲があり、よく食べているということなので、どうしたら親子で食事の時間を楽しい時間にできるかについて、お伝えしますね。
「吐く」という背景には次の3つの可能性が考えられます。
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- 身体的な発達:口腔内の変化に追いつけない
- 感覚的なもの:口の中に残る食感への違和感
- 情緒面の発達:自分の主張を通したい
それぞれ、詳しく説明していきますね。
1.身体的な発達
口腔内の成長に伴い、それまでの方法では咀嚼や嚥下がうまくいかなくなり、違和感を感じているのかもしれません。一般的に歯が生え揃うのは2歳半頃と言われていますので、今のお子さんは奥歯がまだ生え揃っていない時期ではないでしょうか?前歯で噛み砕いたものを口の奥に運ぶものの、奥歯がないのですり潰せず飲み込むこともできず、吐き出しているのかもしれません。
まずは、よく噛むことを意識してもらいましょう。今は歯茎全体ですり潰して食べていた時期を終え、咀嚼しながら食べることを覚える段階なので、お子さんと一緒に食事をするときは、大人が少し大げさに噛んで咀嚼する姿を見せながら、食べ物を細かく噛み砕く練習をしてみてくださいね。
2.感覚的なもの
口から出すのは、葉物野菜やお肉で多く見られるとのことなので、食感のやわらかい物や前歯だけでかみ砕いて飲み込める程度のものであれば問題なく食べることができても、奥歯ですりつぶす必要のあるものの時に、うまく飲み込めず、“モソモソ”したり“筋っぽい”などといった口に残る感覚が嫌で、吐き出していることが考えられます。
お子さんが1歳の頃に吐き出していた時は食材を細かく切っていたとのことですが、それは今も続けていますか。もし止めているようでしたら、もう一度、細かく切ってみてください。葉物であれば火を通してやわらかくするなど、 食べやすい調理方法を検討することも良いですよ。また、適切な量をかじり取れるようにサポートしてお子さんが咀嚼しやすくするのも1つの方法です。
3.情緒面の発達
2歳になると自己主張が強くなり、“いやいや期”と呼ばれる時期に入ります。親にとっては大変ですが、子どもにとっては情緒面の成長のために大切な過程でもあります。それは「自分の!」「自分で!」と主張が多くなる半面、「自分が○○をしたら、周りはどうするか」と他者へも意識が向き始めるからです。そういったやり取りの中で、自己主張の加減や妥協の仕方(交渉を受け入れる/諦める)、切り替えるタイミングや納得できる方法など他者と関わるさまざまな練習をすると同時に、親や他者への信頼感と安心感を育んでいきます。
おそらくお子さんは、“食べる意欲はあるけどうまく食べられない”状態だと思いますので、欲しがっている果物は食べても良いと思います。以前は食べていたものや食べられるはずのものを拒否し、好きな物だけを食べようとしている節があるのであれば、お子さんの主張だけを通すのではなく、にんじんをひと口食べる、スープを3回口に運ぶ、などこちらからもお願いをしてみると良いでしょう。
もし保育園に通っていて、園でしっかりと昼食を摂っているようでしたら、お家では食べられるものを食べてもらいましょう。栄養バランスが気になるかもしれませんが、1日単位ではなく、1週間、1ヵ月と少し長いスパンで考えるようにすると良いですよ。
今まで食べていたものも吐き出すとなると、がっかりすると思いますが、それはお子さんが成長している証でもあります。からだの成長に伴って今までの方法ではうまくいかなくなったり、お子さんも困惑して投げやりになっているのかもしれません。
大変な時期ですが、お子さんと一緒に食べる練習をする気持ちで、向き合ってあげることが大切です。ただ、お子さんの対応に負担を感じる時には、“~しなければ”と頑張らずに、たまには主張の通りに応じてみたりしながら、息抜きをしてくださいね。親にだって、やる気がある時とない時があって良いのです。
今回は、一般社団法人ぽけっと【臨床心理士】が回答しました。