育児休暇は取るべき!<br>会社や社会がきちんと子育てを支援しないと。

「みんなの子育て」5回目は、ふたたびパパの登場です。
育休をフル活用した子育てについて、語ってくださいました。

ぱっちりお目目が愛らしい律歌ちゃんを子育て中の柳澤さん。当時、生後3週間だった友人のお子さんに会った時「他人の家の子どもでもこんなに可愛いなら、自分の子どもはどれだけ可愛いんだろう」と思われたことが、育児休暇取得のきっかけにもなりました。そこで出産予定日の5か月も前から育休の取得に向けて、職場での準備を始めたそうです。しかし現実は厳しく、そこには大きな壁がありました。

 

「戻るところはない」ならば転職して環境を一新

「その頃所属していた会社では、男女含めて初めての育休の取得者だったんです」という柳澤さん。制度としてあるならば使わない手はないと、出産の5か月も前からチームに相談し、少しずつ引き継ぎの準備を始めました。いざ準備が整ったところで、会社に育休の取得を申し出ると…。「(育休を)取るのはいいが、戻るところはない」とはっきり言われたそうです。そこで思い切って育児休暇の終了とともに転職されました。

 

kosodate005_img03現在の勤務先は一転、取締役が率先して育休を取るような、育児にとても理解のある会社です。会社内にパパ、ママ用のチャットルームまであり、育児の悩みや質問を書き込むと、ほかの人が答えてくれるそう。

どんなお悩みが多いのか伺うと、赤ちゃんのお風呂の温度から、節分に食べる豆の数、家の購入に合わせて保育園を転園した方がいいのかどうかなど、実にさまざま。柳澤さんご自身もチャットを活用しています。「夜は忙しいから朝、子どもとお風呂に入ってくると上司が書いていて、それはいいなと思って」。朝風呂が、1歳半を迎えた長女・律歌ちゃんとの大切なコミュニケーションになっています。

一方、社外のお友達が育休中のパパのための勉強会を開いているそうで、「育休」をきっかけにしたパパ友の輪も広がっています。

 

“夜中に1時間ごとに起こされて、それでも朝には会社に行って、給料をもらうに値する仕事をしなきゃいけないのは本当に大変です。僕は育休を取れて本当に良かったと思うし、やはりパパも育休は取るべきだと思います。”

“マスオさん”生活で身に付いた子育てスキル

柳澤さんは、育休を使って、里帰り出産をされた奥様の実家で2か月余りの“マスオさん”生活をされました。おかげで出産直後から育児に関わることができ、生後1か月ほどで律歌ちゃんと2人きりでもお留守番できるようになりました。東京に戻ってからは、奥様の方が少し早く仕事復帰されたので、その頃は半日、律歌ちゃんと2人で過ごしていたほどです。

 

kosodate005_img02現在は、出社時間が10時と比較的ゆっくりのため、朝はパパが律歌ちゃんを保育園に送り、帰りはママが迎えに行くというサイクルが出来上がっています。また子どもが生まれる前から、「体力が余っている方が家のことをやる」という暗黙のルールがあったそう。だからこそ現在も、自然と手が空いている方が家事をしているそうです。

 

本来は食べ歩き・飲み歩きが大好きなご夫婦ですが、今は行けたとしてもファミレスか回転寿司。自分だけの時間や夫婦だけの時間は、ほとんどない状態です。「でも子どもと一緒に行けることが楽しいんですよね。『コレが食べられるようになったか~』とか言いながら、そういった新たな発見を今は楽しんでいますね」と笑顔で語ってくださいました。

 

“ママほど全部が全部上手にできるわけではありませんが、実際にいろいろやってみると、パパができないのはおっぱいをあげることだけなんですよ。不安なのは分かります。同世代の子どもがいる友人ママたちも「パパに預けておけない」とか「ムリ!ムリ!」と言っていますから(笑)。もう少しパパを信頼してあげてほしいと思いますね。”

一歩手前で休ませる作戦で、元気に成長しています!

幼児食に移り始めた律歌ちゃんは、とっても食欲旺盛。今のところほとんど感染症などにもかからず、すくすく成長しています。「保育園に入ると、途端に(風邪などを)もらってくると聞いていたので心配していましたが、そんなこともなく」。実は柳澤家では、症状が出る一歩前に休ませるようにしています。そうすることで、悪化を防ぎ元気に過ごせているのかもしれません。

 

kosodate005_img04愛娘の名前「律歌」からもわかる通り、音楽好きのご夫婦。おふたりとも学生時代に吹奏楽部でパーカッションをやっていたことから、律歌ちゃんにはメロディが弾ける楽器を習わせて、将来は親子で演奏してみたいそう。「でもパーカッションの子どもはパーカッションになりがちなんですよね」と柳澤さん。学生時代ティンパニ奏者だった友人の娘さんも、やはりティンパニを叩いているそうですが、うれしい話も聞けました。「娘が中学生になって普段はあまりパパ感も出せないけど、ティンパニの叩き方だけは教えられるから、お父さんの威厳を回復してきたと、その友達言っていたんです。それはいいなと思って(笑)」。楽器が深める親子の絆――なんとも素敵です。

 

“よくセンスが自分たちの趣味と合わなくて、じいちゃん・ばあちゃんにもらった洋服を誰かにあげちゃってトラブルになったとか聞きますよね。うちも、私の母が選ぶ服は明らかに私たちの趣味とは違うんです(笑)。でも自分たちは絶対に買わないものを買ってきてくれるから、逆におもしろいですよ。”

 

計画的に子どもをつくられたことから、子供を持つ心構えもできていたのでしょう。子育ての大変さはどれも想定の範囲内とおっしゃった柳澤さん。一方で、ご自身がしっかり育児休暇を取られた経験から、「パパだって大変なんだぞと言いたい。会社や社会が、ちゃんと子育てを支援しないと」とも語ってくださいました。もっともっと子育てへの理解と支援が広がることを願わずにいられません。

 

パパに聞きました!

おすすめのベビーグッズを教えてください

口で吸うタイプの鼻吸い器が活躍

娘には電動の鼻吸い器が合わなかったらしく、口で吸うタイプに変えたら調子が良いようで活躍しています。ただ、吸ってあげたことで自分の体調が悪くなることがあって、うがいをこまめにするようになりました。

 

スマホのアルバムアプリで子どもの写真を共有!

クラウド上で共有アルバムを作って活用しています。遠方の両親にも娘の成長を見せられるのでいいですね。スマホで写真を撮ったら共有アルバムにアップするという仕組みを作っておけば、その都度メールなどで送る手間も省けて便利です。

 

チャットルームで送迎状況を確認

LINEで送迎用チャットルームをひとつ作っています。パパ・ママだけでなく私の母もたまに送り迎えをしてくれるので、送り終えたら必ず送迎完了の報告をするといった使い方をしています。誰がいつ送ったか・迎えに行ったか確認できて安心です。

パパからのお悩みQ&A!

娘は現在、身長77cm、体重9kgで体重が軽めです。ごはんはいつも「そんなに食べて大丈夫なの?」というくらい食べますが、その割に体重が増えないので少し心配です。

お子さんは1歳半とのことで、身長体重を成長曲線に当てはめてみたところ、線からはみだすことなく、身長体重ともに標準の範囲です。たくさん食べるとのことですが、それに負けないくらいたくさん元気に遊んでいる証拠ではないでしょうか。1歳半というと、自分で歩けるようになり、動き回ることが楽しい時期でもありますしね!心配になるようでしたら、母子手帳の中にも成長曲線のグラフが載ったページがありますので、定期的に身長体重を記入して、成長のようすをみてみるといいですよ。

幼児食に移行しているところですが、おやつの移行がうまくいきません。果物が好きなので、今は果物中心ですが、もう少し工夫してカロリーのあるようなものにした方がいいのでしょうか?どんなものが適切か教えてください。

大人のおやつというと、甘いお菓子などを想像しますが、子どもにとってのおやつは、3回の食事で足りないエネルギーや栄養を補う役割を持っています。もちろん、おたのしみの意味もありますけどね♪

今は果物中心とのことで、それで次の食事までお腹が満たされているようであれば、今は無理に増やす必要もないと思います。少し工夫するとすれば、果物にヨーグルトをかけるのもおすすめです。それをプレーンのコーンフレークの上にかけると、かなりボリュームも出ます。お子さんの運動量や、その後の食事の時間や普段の食事量などを考慮しながら、与える量を加減してあげられるといいですね。

小さなおにぎりやお芋を使ったおやつもおすすめです。

お悩みに答えてくれた先生

管理栄養士
淡佐口 麻衣(あわさぐち・まい)先生

パパからのお悩みQ&A!

ふたり目ができるかわからないので、ひとりっ子になることも想定しています。夫婦ともに兄妹がいる家庭で育っていて、ひとりっ子がどんな感じかわからないのですが、子どもにとってひとりっ子はどうなのでしょうか。

お子様がひとりっ子のことも想定されていて少し不安があるということですね!でも、心配はいりません!と自信を持って言えます。私の個人的な子育て経験からの回答になりますが参考までに…。

 

中学3年生になる息子はひとりっ子ですが、ひとりっ子であることでの後悔や、将来の心配を感じたことはありませんでした。1歳から保育園育ちで、クラスのお友達や異年齢の子ども達がたくさんいる環境の中で育ったことも大きいと思います。おもちゃの取り合いやケンカなどで小さなケガもたくさんしていましたが、お友達とのいざこざの中で揉まれ、様々な葛藤を経験(4歳児くらいになるとみられる発達の道筋でもありますね)して大きくなってきました。

小学校に入ってからは少年サッカーチームに入りますます子ども達の中で揉まれる環境に恵まれたと思います。

きょうだいがいない分、お友達関係が果たす役割は大きかったですね。

また、我が家も柳澤さんと同じ音楽一家なので、家族でバンド活動をしたり、大人のセッションに参加したりと小さい頃から子どもだけでなくいろいろな大人、様々な年代の人とかかわる環境をつくるようにしていました。

また、「自分でできることは自分で」「遊ぶ前にやることはやってから」「家族の一員として積極的に手伝いをする」などの家族の中でのルールを決めて、「子ども」ではなく「家族の一員」として行動するように教えてきました(中3男子なので今は反抗することも多少ありますが…)。

 

ひとりっ子=「わがまま」になってしまうのではないか?競争心や思いやりの気持ちが育たないのでは?などのイメージを持つ方もいますが、ひとりっ子であるかないか、というのはあまり子どもが生まれ持った気質や性格には関係ないのではないかと思います。確かに、食べ物の取り合いやチャンネル争いに巻き込まれることは、ごきょうだいのいる家庭よりは少ないかもしれません。

息子のお友達でも、ひとりっ子ですがハングリー精神が人一倍強く、クラブチームに入ってプロを目指して頑張っている子もいますし、反対に3人きょうだいでも、とってもおっとりしてマイペースな子もいます。

 

子どもとは不思議なもので、「社会」や「環境」への順応力は大人が思っている以上に高いので、結果的にひとりっ子になることがあっても、心配なさらないで大丈夫だと思いますよ!

お悩みに答えてくれた先生

編集ライター / 保育士
竹内 聖子