よく噛める歯ときれいな歯並びのためにママができること【遊び編】

前回は、よく噛める歯ときれいな歯並びのために、食べるときに気をつけたいことについて紹介しました。しかし、お母さんから注意されすぎて、子どもが食べることを楽しめなかったり、食べることを嫌いになったりすることだけは避けたいですよね。
今回はいつもの生活の中でよく噛める歯ときれいな歯並びのためにできる遊びと、そのために心掛けてほしいことをご紹介しますね。

※年齢・月齢は目安です。発達のスピードや興味・関心には個人差があります。「こんなこと、うちの子できないわ」「わが子は興味を全然示さない」などということは、よくあることです。

 

おしゃぶり・指しゃぶりの歯並びへの影響は?

鼻呼吸やあご、舌の発達を促すとしているものなど、さまざまなおしゃぶりが販売されています。赤ちゃんが自分の指やいろいろなものを口に入れることは自然なことであり、お母さんの胎内で指しゃぶりをする赤ちゃんも多くいます。
おしゃぶりや指しゃぶりが、歯並びにどのような影響を与えるのでしょうか。子どもの歯、歯並びを多く見てきた柏戸先生にお聞きしました。

 

上下顎前突、出っ歯とよばれるような上か下の歯が横からみると前に突き出した状態が、おしゃぶりの欠点かのように言われていますが、今まで拝見したお子さんでは特に問題はありませんでした。おしゃぶりをすることによって鼻呼吸が促進されることが多少はあるのかなとも思う一方で、おしゃぶりをしていなくてもしっかり口を閉じている子どももいます。

おしゃぶりをしている子は、基本的に指しゃぶりをしないと感じています。また、おしゃぶりは自然と卒業できるような気がしますが、指しゃぶりの卒業はなかなか難しいようです。
実は指しゃぶりは、おしゃぶりよりも歯並びに強い影響を及ぼします。

 

 

指しゃぶりはいつ卒業すればいいの?

指しゃぶりの歯並びへの影響と、いつまでに止めればいいのかをお聞きしました。

 

指しゃぶりは個人差がとてもあります。歯並びへの最も大きな弊害は、食べものを噛み切れなくなることで、歯を噛み合わせたときに上下の前歯の間にすき間ができる「開咬」になることです。また、上顎前歯も傾斜が強くなり、出っ歯になりやすく、口を閉じにくくもなります。

指しゃぶりによって上あごの前歯部が前に、下あごの前歯部が後ろに倒れて上の歯と下の歯の間にだ円状に隙間が空きます。そのため前歯で噛みにくくなり、奥歯で噛む癖がついてしまうのです。

 

4歳くらいまで指しゃぶりをしているお子さんには、前歯が生え替わるまでに卒業しようと伝えています。なぜなら、永久歯が生えてきたときに指しゃぶりを全くしなければ、ワイヤーのような装置を使わなくても、よくない癖を直すことや簡単にできるトレーニングなどの機能訓練で正しい歯並びに導くことができるからです。

そのため、お母さんには指しゃぶりの卒業完了時期を、5歳と伝えています。ただし他のクリニックではそんな悠長なことは言われずに、もっと早く指しゃぶりを卒業しなさいと指導されるでしょう。

 

永久歯が生えてからについてもお聞きしました。

 

永久歯が生えてきてからも指しゃぶりが続くと、永久歯列に影響します。矯正治療も必要になり、自然にきれいな歯並びに移行する可能性はかなり低くなるでしょう。

小学1年生の後半になっても、見つからないように隠れて、または寝ているときに指しゃぶりを続けている場合には、自然に卒業するのは大変難しくなるようです。

 

子どもの指しゃぶりが気になっているお母さんは、かかりつけの歯科医に相談してみましょう。

 

2回にわたって、子どものよく噛める歯ときれいな歯並びのために、毎日の生活の中で簡単にできることを紹介してきました。お母さんが正しい知識を持ってちょっと意識をすれば、歯と歯並びのために楽しくできることは遊びにも食事にもたくさんあります。ぜひ取り入れてみてくださいね。

 

 

コメント・監修/柏戸俊彦
柏戸歯科医院 院長。
矯正歯科では、永久歯に生えかわる前である乳幼児期から、最新の歯科治療の技術や情報を活用して、食育、よくないくせの直し方や簡単にできるトレーニングなど、おうちでできる取り組みを指導しています。16年にわたる診療経験から、子どもの治療は「歯科医院に慣れること」からスタートするていねいでやさしい説明と治療がモットーで、遠方からも多くの親子が来院しています。
柏戸歯科医院 WEBサイト:http://www.kashiwado-dental.com/