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今できることだけでも、お子さんなりにがんばっています。お手伝い作戦も継続してみて。
野菜が苦手なお子さんへの対策によいと言われている方法をいろいろと試されたんですね。なかなか以前のように食べてくれなくて苦労されているようなので、お寄せいただいた質問内容に対してもう少しできそうなことを紹介させていただこうと思います。
<ポジティブな経験を増やそう>
野菜を嫌いな理由はお子さんによりさまざまですが、とくに青臭いものや苦みを感じるものが多いといわれています。反対に甘味のあるものやクセがすくないもの、たとえばとうもろこしやトマト、かぼちゃなどは好きだというお子さんが多いようです。
もし、何かしら食べられる野菜があるのであれば、あれもこれも食べさせようと必死にならなくてもよいかと思います。「今はこれだけでも食べられている」ということで、現時点でのお子さんのがんばりを評価してあげてみてください。
たしかに、ご心配されているように食べられる食材が少ないと栄養の偏りが心配になりますよね。野菜が苦手でも、きのこや海藻、いもなどが何種類か摂れているのであれば、今はそういったものを積極的に食事に取り入れてあげてください。
今の状態が、一生続くわけではありません。さまざまな経験を通じて、少しづつ許容できる食べものが増えていくようになるものです。大人になってようやく食べられたということもありますよね。
そのためには、できるだけポジティブな記憶になるようにする必要があります。「楽しかった」「嬉しかった」「ワクワクした」「○○ちゃんや○○くんと一緒だった」といったように、味と経験が交差して特定の食べ物が好きになる傾向にあるといわれています。
(お手伝い作戦も楽しい雰囲気づくりを。失敗も多目にみてあげて。野菜が登場する明るい内容の本を、寝る前などに落ち着いた状態で優しく読み聞かせるのも◎。)
ただし、「嫌な気持ちだった」「苦しかった」「悲しかった」などのようにネガティブな記憶が一緒になってしまうと、なかなか苦手を克服するのは難しくなってしまうようです。
<今は味見だけでOK>
現時点でお手伝い作戦で味見までできれていれば、その野菜を食べることはできるのでしょう。けれども、大人が食べてほしいだけお皿にのせてしまうと、「こんなに食べ切らないといけない」というプレッシャーで箸が進まなくなってしまう可能性が…。味見の一口だけであっても、お子さんは十分野菜を味わっていますから、今はそれでOKとしてみていいのではないでしょうか。
チャレンジするのは【お手伝い+味見】までとしておき、盛り付けはほかの家族の分だけにしてみては。それを見て、「自分だけ食べられないのは嫌だなぁ」「みんなと同じものが食べたいなぁ」とお子さん自らが思ったら、そのときは自分から食べようとしてくるはずです。
もどかしいかもしれませんが、今はそのタイミングを待つことをおすすめします。(食べたそうにしていたら「一口どう?」「今日は食べてみる?」と声掛けし、いらないという反応であれば「また今度食べてみようね」でよいと思います。叱ったりするとネガティブな記憶を強めてしまうので、ご注意ください。)
このことからも、今続けている苦手な食材も食卓に並べるということも、ぜひ継続してほしいです。
<おすすめの調理方法>
もし、野菜の食感が嫌いだというのであれば、細かくしないであえて大きく出してみるのはいかがでしょうか?また、調理方法や加熱時間を変えるだけでも食感を変えることは可能です。(たとえば、じっくりコトコト煮込んだものと、油をひいて焼き目をつけたものなど)
切り方にしても、繊維を断ち切って輪切りにしたものと、繊維に沿って切ったものとではシャキシャキ感や加熱後のやわらかさに違いが出ます。
緑色に苦手意識があるのだとすれば、違う色の品種を選んだり、皮をむいてみると見た目が変わって同じ種類の野菜なのに食べてくれることも考えられますよ。(ピーマンの代わりにパプリカ、きゅうりは皮をむく、ねぎは長ねぎの白い部分を使うなど)
そして、同じような味付けになっていないかということも少し振り返ってみては?いつも醤油ベース、塩こしょうだけなど、味が単調になっている場合、食が進みにくい原因になってしまうかもしれないからです。とくに、クセがある食材については、にんにくやしょうが、バターやごま油などの香りをうまく取り入れて食べやすくなるように工夫をすると、食欲をそそるのと同時に手がのびてくる可能性がありますよ。
ご紹介した内容でまだ取り入れていないことがあれば、ぜひ今日から実践してみてほしいと思います。食事の基本は、我慢や無理強いではありません。いかに楽しい雰囲気で、大人も子どもと一緒に穏やかな時間を共有できるかを重視して、気長に向き合ってみてくださいね!
※今回は、【管理栄養士】が回答しました。