食事に集中できない…机といす、5つのチェックポイント!

今回は、作業療法士に「からだの機能に関すること」として、ごはんを食べる時の姿勢の大切さについて話してもらいました。子どもにとっての居心地のよさとは? それを知るための5つのポイントも紹介しますので、チェックしてみてくださいね。

「なかなか座ってくれない」「立ったまま食事を摂っている」「座ったと思ったら、立ちあがっておもちゃで遊んで、食べて遊んでの繰り返し」…こういったお話は、よく伺います。「うちの子は多動なのでしょうか?」「落ち着きがないのでしょうか?」そうしたご相談も多いですね。
実際どうでしょうか?お困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、おうちではできているのに、外ではできない。逆に外ではできるのに、おうちではできないといった、場所によってできる/できないという事が起こるというお話も、よく耳にします。

 

居心地のよさを知る5つのポイント!

『物事に集中できない』ということを考えるとき、その背景として捉えるべきいくつかのポイントがあります。テレビやおもちゃが手の届く範囲にあるかどうかなど環境のこと、いろいろなことに好奇心旺盛なお子さん自身のことについては、別の機会でお話させていただくとして、今回は「姿勢」という観点で考えてみたいと思います。

 

もし、食事になかなか集中できず、先ほどあげたような心配事がおありでしたら、これからあげる5つのことをチェックしてみてください。

 

これら5つの質問についての回答は、Aが1番ベストな状態。子どもにとって、『いちばん安定して姿勢を保ちやすい』机やいすの状態です。B~Eになるにつれて、子どもにとっては難しい環境、つまり姿勢を保ちにくい、居心地が悪い状態です。机やいすはそれぞれの相互関係ももちろんあるので、すべてがAでないと姿勢が保ちにくいというわけではありません。ひとつだけがEで他すべてがAだったりしても、安定して座って食事をしやすいということもあります。

 

座面の硬さと広さが大きく影響!

例えば、おうちと外とで席を立ってしまう頻度が違う場合、その子どもにとっての居心地のよさをまず考えてみましょう。環境が違うと座り心地が悪く、座っていられない…だから席を立ってしまうということが考えられます。特に座面の硬さ、広さは大きく影響します。
大人が子どもサイズの木製のいすに長時間座るのは、結構つらいですよね。だんだんと前傾姿勢になったり、お尻が痛くなってもぞもぞしてしまったりする方もいると思います。大人のからだには、子ども用のいすは座面の硬さも広さも、いすの高さもまったく合っていないからです。このように、使う机やいすの高さ、硬さ、広さは、座り方や座る姿勢に大きく影響してしまいます。

 

滑り止めシートを敷くだけでも改善

子ども用のダイニングテーブル用のいすを嫌い、大人と同じいすを使いたがるお子さんも多いのではないでしょうか。もし、ダイニングタイプの大人用のいすに座っている場合は、

 

などの工夫をしてみましょう。
可能であれば足台も置いて、足でしっかりと支える環境を作れるとベストです。滑り止めや踏み台などは専門的なグッズではなくても、100円ショップなどで売っている滑り止めシートやステップで十分機能します。
子どもたちはそれぞれ筋肉の質(筋緊張)に大きく個人差があり、とても体が硬い子ども、とてもやわらかい子どもがいます。それぞれによって必要な机やいすの環境は違いますが、どちらのタイプにもいえることは、腹筋や背筋がやわらかい子どもはとても多いということです。腹筋背筋がついていない場合は、しっかりと足で支えること、さらにお尻が動かないようにすることで、姿勢の安定はかなりの改善がみられます。
今ご紹介したように、机やいすをすぐにととのえられない場合は、いすの上に滑り止めシートを敷くだけで改善する場合もあります。ちょっとした工夫でお子さんの食事がよりスムーズになるかもしれません。ぜひ試してみてくださいね!

 


 

※今回は、一般社団法人ぽけっとの【作業療法士】が執筆しました。

 

一般社団法人ぽけっと

corporate009_img012017年2月設立。児童発達支援・放課後等デイサービス事業『発達支援ルームぽけっと』や園や学校の先生方を支援する研修・巡回事業等のサービスを提供しています。
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