口周りの育ちは言語の発育にも影響!
近年、ストローを使って上手に飲めないお子さんが増えているように感じます。
ストローを使う時は、【唇を丸くすぼめる ⇒ 唇でストローを支えながら吸う ⇒ 飲み込む】という動きをしています。しかし、唇をすぼめた状態を維持したり、唇でストローを支え続けることが難しいお子さんは、歯を使ってストローを支えます。そのため、ストローにくっきりと歯形が残るのです。
飲みものを飲むだけなら、ストローに歯形が付いていても問題がないように思いますよね。ですが、ストローを上手に使うための口周りの動きができないと、言葉の発音に大きな影響を与えます。“音を上手に発音できない”ということは、上手にお話しできなかったり、相手に伝わらずにお子さん自身が“おしゃべりが嫌い”と負担に感じるきっかけになることもあるのです。
一見、生活に影響がないように見えるストローも、実は口の育ちを支えているのです。
遊びながら口を育てていく方法とは?
ここからは、ストローを使って口を育てていくために、おすすめの方法をお伝えします。
ストローは【吸う】動きが中心ですが、口を育てていくためには、同じ口の形で【吹く】動きもとても大切なのです。
2歳くらいまでの小さなお子さんであれば、吸っても吹いても音が出るラッパのような玩具がおすすめです。吸っても吹いても何かしらの音が鳴るので、お子さんにとっても反応が分かりやすく、楽しい遊びの中で口周りの筋肉を育てていくことができます。
コップの中のぶくぶく遊びも、実は口の育ちにはとてもいい遊びです。コップに水を入れてストローをフーと吹くと、たくさん泡ができるので、視覚的にも楽しい遊びです。外食時にはちょっとお行儀が悪いなと思う行動も、“おうちだからできる遊び”と約束しておこなえば、立派な口周りの感覚や筋肉を育てることにつながります。
少しの工夫で子どもたちの成長が変わる!
ゆっくり長く息が吐けるようになったら、シャボン玉もおすすめです。強く吹くと小さなシャボン玉がたくさんできて、ゆっくり吹くと大きなシャボン玉が1つできるなど、息の吐き出し方によってシャボン玉の大きさが変わることを観察しても、楽しいと思います。
いろいろな太さのストローで吹いて、ティッシュペーパーを飛ばす遊びはお子さんにも人気です。家族みんなで取り組んで、誰が一番遠くまで飛ばせるか競争するのもいいですね。
楽しみながら経験できるように、ちょっと大人が工夫してあげるだけで、お子さんたちの成長は変わっていきます。ちょっとお行儀悪いかも…と思う行動や、日常のちょっとした動きでも、お子さんにとっては体を育てる大事な機会になります。
ストローを上手に使って飲めるようになると、口や口周りが育ち、発音が安定したり上手に食事ができるようになったりといったことにもつながっていきます。
普段あまり意識しないストロー遊び、挑戦してみてくださいね!
※今回は、一般社団法人ぽけっとの【言語聴覚士】が執筆しました。
一般社団法人ぽけっと
2017年2月設立。児童発達支援・放課後等デイサービス事業『発達支援ルームぽけっと』や園や学校の先生方を支援する研修・巡回事業等のサービスを提供しています。
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