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甜菜糖に含まれるシュウ酸 子どもへの影響は?

幼児食を作る際に健康を考えて、白砂糖より甜菜糖やきび砂糖がいいということで、GI値の低い甜菜糖をこれまで使ってきました。しかし、恥ずかしながら、甜菜糖がビーツから作られていることを最近になって知り、尿路結石のもととなるシュウ酸が多く含まれるということに気づきました。夫が尿路結石になったことがあり、シュウ酸が子どもにも悪影響があるのではと不安です。
甜菜糖にどれだけシュウ酸が含まれるのか調べましたが、正確な情報が得られませんでした。甜菜糖にはシュウ酸が含まれているのでしょうか?摂取し続けることで尿路結石のリスクがあったり、まだ尿路結石にならない年齢の子どもでも悪影響があるのでしょうか?
(6歳1か月・男児)

A

精製された市販の甜菜糖であれば心配はありません

食材や健康について、とても気を付けていらっしゃいますね。

筆者は、甜菜糖の原材料は甜菜(別名:砂糖大根)ということまでは知っていましたが、その成分に有害なものが含まれているという情報は聞いたことがありませんでした。

そこで、調べてみたことをご紹介しますね。

 

まず、似たような名前で混同してしまうのが、「ビーツ」と「ビート」です。「ビーツ」というのは赤や黄色のかぶのような見た目の野菜を指すことが多いです。一般的には、ボルシチというスープに使われたり、サラダなどで食べられています。また、ビーツの小さな葉はベビーリーフとしても扱われています。

それに対し、「ビート」は白色をしており、食用としてそのまま出回ることはありません。先述のビーツよりもやや大きめで、えぐみなどが強いといわれています。

おそらく、シュウ酸が多いのは「ビート」の方なのではないかと思われます。

 

続いて、どうやってビートから甜菜糖がつくられるのかご説明しますね。

  1. ビートは秋頃に収穫され、葉を切り落として根の部分だけが集められます。それらをよく洗い、細かく刻み、温水に浸して糖分を抽出します。
  2. その際、炭酸カルシウムを加えたり、イオン交換樹脂に通したりといった工程を経て、糖分以外の成分を取り除きます。
  3. その後、糖分を含む液体を濃縮、結晶化、乾燥することで、私たちが食卓で使うサラサラとした甜菜糖ができあがります。

ちなみに、糖分を抽出させたあとに残った部分(ビートパルプ)については、家畜などのエサとして使われることも。動物にとってもシュウ酸は有害なので、もしシュウ酸が残っていたら与えることはないのではと考えられます。

ここでお伝えしたいのは、確かにビートにはシュウ酸が多く含まれているかもしれません。しかし、甜菜糖を作る過程を見ると、糖分以外は取り除かれているため甜菜糖にシュウ酸が残っているとは考えにくいのです。このことから、甜菜糖は安心して口にすることができると筆者は考えています。

 

なお、ご主人の尿路結石が心配ということですので、補足としてシュウ酸を避ける以外の食生活にも触れておきます。

  • 水分を十分にとってこまめにトイレに行く(冬場でも水分不足厳禁)
  • 水分摂取はコーヒー・紅茶・緑茶・甘い飲料ではなく、水や麦茶を優先する
  • アルコールをとり過ぎない、休肝日をつくる(プリン体を含んでいなくても尿酸値が上昇します)
  • 肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品の割合を減らす(尿酸値が上昇します)
  • 野菜、海藻などの食品を積極的にとり入れる(尿をアルカリに傾けて結石ができるのを防ぎます)
  • カルシウムを含む食品を積極的にとり入れる(1日600~800mg/緑黄色野菜や大豆製品にも多く含まれています)

この他にも、肥満、運動不足、夕食の比重が高い、夕食から寝るまでの時間が短いことも発症リスクを高めると指摘されています。こういったことも含めて、再発予防に努めてみてくださいね。

※今回は、【管理栄養士】が回答しました。