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感じ方に過敏さがあるかもしれません。感覚面を育ててあげましょう。
赤ちゃんの頃から離乳食が進まず、偏食がずっと続いているとなると心配になりますよね。おそらくお母さんも様々な工夫をしながらあの手この手で食べられるよう、対応されていたのだと思います。試行錯誤した結果、食べてくれず…となると食事の時間がストレスに感じてしまうのも無理はありません。2歳頃から偏食がさらに目立つようになったのは、お子さんの体が成長し、口の中の感覚も育ったため、以前は感じにくかった繊維の触感や味の違いなどにも気づくようになり、明確に“違和感”として感じるようになったからだと考えられます。
ただ、お子さんは固形物を嫌がったり、匂いにも反応されるとのことなので、感じ方にやや過敏さがあるかもしれません。過敏さがあるお子さんは炭水化物に偏りやすかったり、同じメニューを好むなど、変化を嫌う傾向があります。もしかすると他の場面でも、手や服が汚れる(濡れる)のを嫌がったり、動きがぎこちなかったり歯みがきを嫌がるなどの様子もあるかもしれません。これらは感覚面の未熟さが原因にありますが、これは触れたり、口に含んだ物などの感触が過敏に伝わり過ぎたり、反対によく分からず気持ち悪いと感じてしまう状態なのです。
この感覚面を育てていくためには実は食事の工夫ではなく、手足のマッサージが有効です。掌や足の裏のような身体の末端にはたくさんの神経が張り巡らされていますので、それらを日々少し強めにマッサージしてあげることで感覚がしっかり神経に伝わるようになり、感覚面が育っていきます。感覚面が育つと過敏さも落ち着いてくることがあるので、ぜひ取り入れてみてください。同時に頬を触ってあげたり、ガーゼで口の中(歯や頬の内側)を触ってあげるのもおすすめです。
今は体重・身長も標準域ですし、食べる種類は少なくても食べること自体は嫌いではないようなので、食べ物の幅を広げていくことを頑張り過ぎなくても良いかと思います。一番避けたいのは“食事が嫌になること”です。嫌な物、気持ち悪いと感じる物を食べさせられると食事への恐怖心が高まりやすいため、挑戦する場合は少しずつ、頻度も1日1回や週末のみ、など嫌いにならない程度にすすめてあげるとよいでしょう。
また、挑戦させる際は、見た目の印象で拒まれることもあるかもしれないので変化は大きく取り入れず、あくまで食べられる物にそっと混ぜてみるのも(例:サケフレークにすりごまを混ぜる、時々食べるハンバーグにミキサーで細かくした野菜を混ぜる、ふりかけを小魚入りにするなど)、抵抗感に繋がりにくい工夫と言えます。
便秘については市販の食物繊維を粉末にした物などをふりかけやごはんに混ぜてみるのも一手です。ただ便秘は食事の問題もありますが、体を大きく動かすような運動活動が少なくても起こるため、双方の視点で工夫を取り入れていけるといいですね。
偏食は、幼稚園や保育園、小学校など、お友達と一緒に食事する場面が増えることで食べられるメニューも増えてくるなんてこともよくありますし、成長曲線の標準範囲内にいるということはお子さんの体としては必要な栄養は得ることができている、ということです。食事は1日3回もあり、頑張り過ぎてしまうとお母さんもお子さんも苦しくなってしまうので、今は焦らずに野菜ジュースなどの代替品をうまく活用しながら少しずつ挑戦する機会を設けていけるとよいでしょう。また食べることだけではなく、前述したふれあい遊び(マッサージなど)や大きく体を動かす運動等など取り入れることもぜひやってみてくださいね。
※今回は、一般社団法人ぽけっと【 臨床心理士】が回答しました。