Q

子どもに咀嚼を理解させるには?

咀嚼が未だにうまくできず、食材を丸飲みしてしまいます。たびたび詰まらせては吐くことを繰り返します。実は生まれつき先天性食道閉鎖症(C型)だったため、誕生翌日には手術を受けております。医者には定期的に通院し、経過観察しておりますが食べることで縫合した箇所の狭まりを抑え、成長とともに食べ物が通りやすくなるだろう、との話で長い目で見てはいます。
また本人は至って食欲旺盛で食べることは大好きです。吐いた後はケロっとして、また食事の続きをはじめます。観察していると、食道閉鎖そのものが吐く原因ではなく、やはり噛むことをあまり理解できていないように感じます。会話もまだなかなか成立しないため、よく噛もうね、カミカミしよう、と根気よく話しかけますがほとんど改善されず困り果てております。咀嚼を理解させる方法があればぜひ実践してみたいです。難しい話かもしれませんが、相談できる機関もほとんどなく毎日試行錯誤ばかりです。どうかアドバイス宜しくお願いします。
(2歳10ヵ月・男児)

A

まずはお母さんのカミカミを見て“真似っこ”から始めてみて

医療面の専門的なアドバイスも受けて経過観察しながら、成長を見守られているのですね。食べることが好きなのに吐いてしまうのはせつないですね。 噛むことが大事な理由は2つあります。

  1. 食べ物のかたまりを小さくし、唾液を混ぜて飲み込みやすい形にする。
  2. あごを動かすと脳に“食物が胃に入った”という刺激が届く。(満腹中枢への刺激)

大人は噛まずに食べてむせることを体験していますし、上記の理由を理解し意識して咀嚼することできます。しかし、小さなお子さんは“噛んで得をする”ことがまだ分からず、大人が「よく噛もうね」と言っても伝わりにくいのかもしれません。言葉よりも、まずはお母さんが一緒に食事をしながら、口を見せて”もぐもぐ”する動作を見せてあげると伝わりやすいと思います。また、ごはんの時はテレビを消すなどして、食べることに集中できる環境を作ることでお母さんの”噛む”動作にも注目しやすくなります。

吐いてもまた食べ始められるのは

  • 吐いても“気持ち悪い”という感覚があまりない
  • 食事への意欲が高く、早く食べたい!と焦っている
  • 食べる量(胃に入る量)よりも吐いている量が多い
  • 満腹中枢が刺激されないため満足できない

といったことが考えられます。

たとえば、最初にお子さんの前に出す食事の量を1/3ぐらいにしてみてください。もっと食べたい時はきっとおかわりすると思いますよ。1回の量を減らし時間をかけて食べさせるのも一つの方法です。そして、お母さんの食べ方に注目できる環境を整えてみてください。時間をかけて食事をとると、食物が胃に入ったことが脳に伝わり満腹感を感じやすくなります。おかわりのやりとりは親子で食事を楽しむことにもつながります。

 

お子さんは食欲旺盛で様々な物を食べることにチャレンジ出来ていて、とても良いと思います。まずは上記に書いた内容で試してみてください。うまくいかなくても気にしないでくださいね。医学的な相談と平行しながらいろいろと試してみていただけると良いと思います。

※今回は、一般社団法人ぽけっと【言語聴覚士】が回答しました。