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食べ過ぎてしまう原因にあわせた改善策を試してみてください
好き嫌いなく食べてくれて、食事をつくる身としてはとてもありがたいですね。
ただ、際限なく食べたがるのは問題です。
現在の身長や体重を(母子手帳にもある)乳幼児身体成長曲線と比べてみて、大きく上回っていたり、どんどんカーブが離れていっているのであれば、ある程度、食事量を調整してあげる必要があります。
そうでなければ、そこまで厳しくする必要はないかと思います。
食べ過ぎてしまう原因としては、もしかしたら次のようなことが考えられるかもしれません。
① やわらかくてよく噛む必要がないものが多い
② 味付けが濃くて食欲が増進している
③ 同じようなものばかりを並べている
④ 品数が少なくてメリハリがない
⑤ 何でも混ぜて一緒に食べやすくしている
⑥ おやつの腹持ちが悪い
市の栄養相談や病院などでアドバイスをいただいて、すでに実践されたとのことですが、こういったことにあてはまるのであれば、そこを改善することをおすすめします。
(すでに試したものばかりでしたら申し訳ありません…)
<解決策①>
まずは、ゆっくり食べられるように工夫をしてみましょう。
そのために、やわらかすぎる食材ばかりにならないように注意が必要です。
もしかしたら、月齢以上にあごが上手に動かせている可能性があるので、食材の硬さを少し残したり、かじり取る必要があるくらい大きめに切って調理することをおすすめします。
また、一度にすべての食事を盛り付けてしまわずに、最初に7割程度を提供し、間食したら残り3割をお代わりとして提供してみてはいかがでしょうか?
(この時、大きすぎる器を使うと少なく見えるので、食器選びも工夫してみてくださいね)
盛り付けを待つ時間があいだに加わることで、全てを食べ終えるまでの時間を長くすることができ、早食いを回避することができます。
よく噛む必要のある食材も加えるなどして、食事時間は20分くらいになるようしてみましょう。
(食べ始めてから20分くらいで、脳が満腹感を得やすくなるとされています)
<解決策②>
離乳食を終えて幼児食に移ったとしても、基本的に薄味は続けていきましょう。
味がしっかりとついているものは、大人のおつまみを想像してもらうとわかるように、食欲を増進させてしまいます。
できるだけ食材の香りやうま味、甘味などがわかるくらいに、調味料の使用を減らしてみるといいですね。
あっさりとした食材であれば、だし(昆布、鰹節など2種類以上使ったものが理想◎)を使えると、うま味の効果で薄味でも塩味を感じやすくさせることができます。同様の理由で、酢や果汁などを使って少量の酸味を加えることもおすすめです。
<解決策③>
食卓には、毎日違う食材が並ぶようにしてみましょう。
食材や料理には、それぞれ違いがあります。同じものばかりが並んでしまうと、その違いがあまりわからなくなってしまい、どれも同じように食べ進めてしまいがちに。
例えば、レタスでも、サニーレタス、ロメインレタス、サンチュなどと、違った種類を選んで提供するのがおすすめです。これらは、見た目が違うのはもちろん、厚さや甘味、香りなどの差があります。
(色違いのにんじん、新じゃがいもといつものじゃがいも、などでもOK)
違う食材を使うことで、「今日の○○は、いつもとどこが違う?」などと声掛けをし、よく見て、よく噛んで、よく味あわせる工夫を取り入れてみてはいかがでしょうか?
<解決策④、⑤>
食事を用意する時、何品もつくるのは大変ですね。そのため、品数が少なくて、丼物と汁物だけ、という食事になることもあるかもしれません。
たまにであれば問題ありませんが、頻度が多いと早食いしやすく、満腹になりにくいことが考えられます。
また、ワンプレートのような盛り付けも、全部まとめて口の中に入れるということが起こりやすいです。そのため、洗い物の手間がかかるかもしれませんが、盛り付ける器を増やすようにしてみましょう。
もしも、品数を増やすのが難しければ、そのまま食べられる食材を加えたり、一部の具材を取り出して分けても◎
(ミニトマトや汁気を切ったコーンを一品にする、煮物はじゃがいもだけ取り出すなど)
こうすることで、一皿ずつ空いていくことになるため、視覚的にも沢山食べたという印象を与えることができるでしょう。さらに、食べる時間も少しかかるため、満腹感も得やすいことが期待できますよ。
<解決策⑥>
食事の時間までにお腹が空きすぎて、食欲が暴走していることも考えられます。
食事を食べ過ぎるからと、おやつは無しになっていたりしないでしょうか?
おやつは、食事だけでは不足する栄養を補う目的もありますが、生活リズムを整えたり、リフレッシュや楽しみの役割もあります。
そのため、質を見直すことでおやつを取り入れることが有効な場合もあるのです。
甘味の強い菓子類よりも、食事の一部である、おにぎり・麺類・サンドイッチ(いずれも野菜や小魚、卵などの具入り!)などがおすすめ。
炭水化物が主体の場合、消化が早くお腹が空きやすくなります。それに対し、具をしっかりと入れたものであれば、噛む回数を増やして食べごたえがあり、腹持ちがよく、食事の時間までにお腹が空きすぎるのを防ぐことができます。
ただし、おやつであっても満腹になるまで欲しがるようであれば、どうしても取り入れる必要はありませんので、お子さんの様子を見て判断してみてくださいね。
食べるのを我慢させるには難しい年齢かと思いますので、このようなことを順番に試してみてはいかがでしょうか?
また、食べること以外の面も見直すと効果があるかもしれません。
食べた後に遊びやおでかけなどの楽しい予定を先に決めておくと、気分の切り替えに役立ちます。
まだ時計が読めなくても、「長い針が○まで来たら、ごちそう様して公園に行く準備しようね/好きな絵本読もうね」などとお話をしてから食事をすると、食べること以上に楽しみを優先してくれるかもしれませんよ。
叱るなどして、食事の時間が楽しくなくなってしまわないように気を付け、年齢とともに落ち着いてくることも考慮して、向き合ってみてくださいね。
※今回は、【管理栄養士】が回答しました。