Q

大人と同じ味付けで大丈夫?

1歳6ヵ月の息子がごはんを全然食べなくなりました。

白米はもともとあまり好きではなく、どんぶりにしてましたがそれも食べなくなりました。食べさせると口には入れてくれますが、ずっと口にあり飲み込みません。野菜は何でも食べる子でしたが、人参以外は一切食べなくなり、ベーっと出します。汁物は大好きでしたが、一切食べなくなりました。タンパク質とうどんとパスタは真っ先に自分で食べます。好きなものを食べ終わると遊び始めます。食べないと困ると思い、粘りますが2時間掛かっても食べ終わらないくらいになってきてしまいました。

どうしたらいいでしょうか?

試しに味付けを大人と同じにしたところ、「うまい!うまい!」と完食してくれました。育児本で3歳までは素材やだしの味を大切にして薄味にと見ていたので薄味にしていたのですが、食べてくれないと意味がないと思い、大人と同じ味にして良いのか悩んでいます。
(1歳6ヵ月・男児)

A

だしや素材の持つ旨味を活かしたメニューを増やしてみて

 

なかなか食べてくれないと悩んでいた時に、一時でも食べてくれると、とても助かりますよね。大人と同じ味の濃さであれば食べてくれるとのことでしたが、今も続いていますか?

 

結論から言いますと、大人と同じ味付けは、まだ早すぎます。
理由としては、
① 小さな体に対し、摂っていい1日の塩分量を越えてしまうこと
② どんどん濃い味を求めてしまうようになること
③ 繊細な味に鈍くなってしまうこと
が挙げられます。

 

①小さな体に対し、摂っていい1日の塩分量を越えてしまう
1~2歳男児は、3.0g未満(食塩小さじ1/2相当)が、塩分量の目安です。1日3食だと、1食あたり平均1gに抑えることが理想です。ちなみに、合わせ味噌の塩分量は大さじ1杯=2.2g、濃口醤油は大さじ1杯=2.6gとなっています。
何をどれだけ食べさせるかにもよりますが、大人と同じ味付けですと、あっという間に、1gを越えてしまうのでは? そして、塩分の摂りすぎは、体に水分を溜め込んでむくみ、肥満、高血圧を引き起こす要因にもなります。すぐに発症しなくても、積み重ねていくことで、将来的な生活習慣病などの深刻な状態に繋がることも考えられます。(これらは、大人の病気ではなく、子どももかかります。)

 

②どんどん濃い味を求めてしまうようになりやすい
痛み、運動、快感など同じ刺激を受け続けると、次第にそれに慣れていき、平気になったり、もっと強い刺激を求めるようになりますが、味わうことも、舌に刺激が加わり脳が刺激として感じているため、同じようなことがいえるのです。
特に、まだ感覚が未熟なうちは、エスカレートしやすい傾向があるため、特にゆっくりと進めていくことが推奨されています。今から濃い味付けに慣れてしまい、それが物足りないからといって、もっと濃い味付けを好むようになったら困りますものね。

 

③繊細な味に鈍くなってしまう
濃い味が強い刺激となることは説明しましたが、この刺激(特に甘味、塩味)ばかりを受けていると、それ以外の刺激(特に旨味)を感じとることが難しくなるといわれています。
近年、ファストフードや加工食品が普及し、利用する機会が増えたことも少なからず影響しているかもしれませんね。濃い味は、病みつきになりやすく、素材がもともと持っている風味などを感じ(味わい)にくくなるという心配があります。

 

今回、味を濃くしたことで急に食べてくれたということでしたが、もしかしたら、それまでは別々で用意していた食事が気に入らず、「大人と同じものを食べられた」ということが単に嬉しかった可能性もあるのでは? もしくは、薄味にこだわることで、食材の持つ旨味、甘味、酸味などの風味が少し足りなかったことも考えられます(加熱しすぎ、だしが少ない、香りが弱いなど)。

 

解決策としては、

  • 味付けは、塩分のあるものだけでなく、かつお節・ごま・のりなどを加えて、風味や旨味を強くしてあげる。
  • 煮汁や全体の味は薄くし、具材の表面に片栗粉をまぶして加熱したり、盛り付けてから表面だけに塩や醤油などの味を少し足す。(衣に味が絡みやすくなります)
  • 汁があるものは、具材をメインに盛付け、汁は少なめに。
  • 切干大根の戻し汁、魚介類を煮込んだ汁、ツナ缶の汁、トマトなどをだしとして使う。(旨味がたっぷりと詰まっています)
  • 大人の食事も薄味に変える。(10日くらいで慣れてきます)
  • カリウムの多い食材も意識して摂る。(海藻、きのこ、大豆製品、野菜、果物に多く含まれ、摂りすぎた塩分を外に出す働きがあります)

これらのうち、取り入れられるものから挑戦してみては? 一番は、大人の食事を変えることかもしれませんね。

 

いずれにしても、あまり細かくこだわらずに、お子さんが食べる姿を喜びながら、少しずつ進めていけたらいいのではないでしょうか。

 

※今回は、【管理栄養士】が回答しました。