「手づかみ食べ」のあとは、「フォーク」からスタート!

作業療法士による「食具」(手、スプーン、フォークなど食事の時に使う道具のこと)に関するコラムがスタートし、前回は、『手づかみ食べによって、大切な機能が育てられている』ということをお伝えしました。

手のひらや指先で食べ物の硬さや弾力、大きさを確かめ、口の周りやテーブルの上を汚しながらうまく口に入れられるよう練習する、そんな「手づかみ食べ」を経て、手と口の距離感が上手につかめるようになってくると、いよいよスプーンやフォークなど道具の出番になります。

スプーンは ″失敗感″につながりチャレンジしなくなる!
フォークを使う4つのメリット!

いざ、食事の場面で道具を使おうとすると、お母さんやお父さんはまずお子さんにどんな道具を渡しますか?
すくいやすさや安全性からスプーンを選ぶご家庭が多いのではないでしょうか?
固形ではない食べ物ではもちろんスプーンを使うことが多いでしょう。
しかし、食事を摂る上で、道具を操作するということにおいては、断然フォークからスタートしたほうがうまくいきます
それはなぜでしょうか。ポイントは、「失敗がしにくい」ということです。
食事を自分で取り始めたばかりの子どもはたくさん失敗します。でも、始めに失敗ばかりを重ねてしまうと次のチャレンジがなかなか出来なくなってしまいます。手で直接掴んで食べることに達成感を得ていた子どもたちは、スプーンで失敗を重ねると、また手づかみに戻ってしまうことがよくあります。そこで効果的なのがフォークです。フォークを使うことのメリットを4つの視点でお話しします。

 

 

1.食べ物を“さす”ことができる

 

pro002_img01_sp

道具を使い始めたばかりのお子さんは、上肢(手から腕までのこと)の操作が不安定です。その状態でスプーンを使うと食べ物がスプーンから転げ落ちてしまいます。そんな時子どもたちが感じることは「失敗感」です。決して自分のせいではないけれど、スプーンから落ちた食べ物に対して「うまくいかなかった」という気持ちが残ります。それが続くとチャレンジするのがいやになり、せっかく操作が上手になってきても、手づかみ食べに戻ってしまうお子さんが多いのです。

 

 

2.どんな方向からでも口に入れられる

 

pro002_img02_sp

フォークはどんな方向からでも口に入れることができますが、スプーンは食べ物を水平に運ばないとうまく口には入りません。また、手と口がうまくコンビネーションしてくれないと、口からこぼれ落ちてしまいます。これは、道具の使用を始めたばかりの頃の子どもたちは、手の細かいコントロールができないからです。
その点、フォークでは口付近にさえ持っていければ、噛みとったり、前後左右どんなふうに向いても、口の中に入れるチャンスが多くなります。また、失敗したとしても食べ物が転げ落ちることがないので、何度もチャレンジすることができます。