子ども一人ひとりの“こんなところ”を見ている!<br>保育士の観察力

こんにちは。ある保育園で保育士をしているすずちよです!1児の母(すでに大学生)でもあります。
このコラムでは、毎日がんばっていらっしゃる皆さんの、特に0~2歳児・乳幼時期の食事についての「たいへん!」「困った!」が少しでも楽になって肩の力を抜いていただけるような、ちょっとしたコツやヒントをお届けしたいと思います。

さて前回は、大人がゆったりとかかわるようにしたら、子どもたちの食事の風景が変わってきたというお話を書きました。どんなふうに、保育の流れを見直したかというと……

 

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保育の流れを見直す前

給食を一斉に食べていました

散歩から帰り、皆が排泄や手洗いを済ませて、全員が席についてから、エプロンを付け、手を消毒。
保育士と一緒に「♪給食、給食嬉しいな♪」を歌い、オテテパッチン、一緒に「いただきます」のごあいさつをして食べ始めます。




 

保育の流れを見直したあと

子どものリズムに合わせ、
少人数で食べるようにしました

お散歩から帰ってきてから、保育室でゆったりと着替えながら遊ぶ。2〜3人ずつ食事に誘い、手洗いをし、席についたら手を合わせて「いただきます」の合図で食べ始めます。子どもはほかの子を待つ必要がありません。保育士が1グループ2~3人のテーブルにじっくりかかわり、子どもの様子を見守り会話をしながらさりげなく介助していきます。
そして1つのグループが食べ終わる頃、次の子どもを食事に誘います。食べ終わった子は、眠い子はすぐにお布団へ。まだ遊びたい子は自由に遊んでいる。

 

もちろん、子どもにも子どもの事情がありますから、保育の流れを見直したあとも毎日落ち着いているわけではありません。いきなり、大人の思うような「何でもお行儀よくこぼさず食べるヨイコ」にある日突然変身するわけではありません。
長い連休明けの日は、朝からご機嫌斜めでグズって食が進まない子、弟や妹が生まれたばかりで赤ちゃん返りをし、甘え泣きして保育士の膝の上で食べさせてもらう子、途中でふざけて遊んでしまう子もいます。そんな場合にも、一人ひとりの様子を見ながらじっくりと対応することができるので、それぞれのペースで食事を済ませ、満足して「ごちそうさま」をするようになりました。

 

少人数にしたおかげで、子ども一人ひとりの様子、例えばクセや食べる順番、苦手な食材、手や目線の動き、姿勢など、さまざまなことによりいっそう目が行き届くようになったのです。大人はせっかちなので、ついつい子どもの成長を一直線に進むものと期待も込めて思いがちです。でも、行きつ戻りつ。大人が思い描いたようにいかないこともありますね。

 

子どもの食事の時、私たち保育士は様々なことに気を配っています。

 

子どもの食事で保育士が注目していること

 

  • 食べる意欲はあるか、自分で食べようとしているか
  • 食べたい、食べたくないという気持ちをどのように伝えるか
  • 食べ物をどのようにつまむか、口にどのように入れるか
    スプーンを使って口に運んでいる
    物に合わせて手を使ったりスプーンを使ったりする
  • 遊び食べをしているか
  • 苦手な食材やその理由はなんだろう(食感が嫌いなのか、見た目が嫌なのか食わず嫌いなのか、等)
  • 指先の動き(つまむ、つかむ、ささえる、持ち上げる)の様子はどうか
  • スプーンの持ち方
    上握り(上手持ち)
    下握り(下手持ち)
  • 好き嫌い、食べられる量
  • 椅子・テーブル・食器の位置
    子どもが食べやすい位置に配置されている?
    足が床につかずブラブラと座りにくそうにしていない?

 

これも専門的な話になりますが、保育園では、各クラス「全体的な計画」や「指導計画」「年間計画」に基づき、月案(月々のねらいや保育の内容)、週案(毎週の保育計画)、そのほかに、0~2歳児では、個別の発達記録に基づき丁寧に一人ひとりの子ども達の成長発達を見ています。
「できる・できない」ではなく、子どもの「いま」をよく観察し、「この子の身体面・情緒面の発達はどの段階にあるか」を把握したうえで、次のステップへと進めるように配慮や介助をしていきます。

 

 

今日のヒント:目の前の子どもの「いま」の様子を見てみよう!

 

では次回もお楽しみに!