え?!そうだったの?<br>観察力で、子どもの願いをくみ取ろう

こんにちは。ある保育園で保育士をしているすずちよです!1児の母(すでに大学生)でもあります。
このコラムでは、毎日頑張っていらっしゃる皆さんの、特に0~2歳児・乳幼時期の食事についての「たいへん!」「困った!」が少しでも楽になって肩の力を抜いていただけるような、ちょっとしたコツやヒントをお届けしたいと思います。

前回は保育の流れを見直した結果、より一層子どもたちの様子に目が行き届くようになったというお話をしました。

 

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そしてそんな中で、とても面白いエピソードがありました。
1歳児クラスは1~2歳の子ども達の集団ですが、一人ひとりの子どもの発達のようすはとても多彩です。自分でスプーンをもって食べている子もいれば、手づかみで食べる子もいます。3月生まれのS君は、嫌なことがあると、泣いたりのけぞったりと体全体で感情を伝えてくれます。

 

ある日の給食は小さなおにぎりでした。
いつもはスプーンを使ってパクパク食べるS君が、今日は全く手を付けようとしません。
「S君、どうしたのかな?お腹すいていないのかな?」と聞くと、S君は困ったような顔をしました。
「おにぎり好きじゃないのかな?食べたくない?」S君は一生懸命に首を振っています。
「お茶先に飲む?」ブンブン(首を振る)
「もういらない?おいしそうだよ、ひじきのおにぎり」ブンブン!
ますます怒った顔になり、手のひらでバンバン!とテーブルをたたき始めました。

 

そこで私は、どうしたものかと考えました。S君は、何が嫌なのか。見た目なのか、大きさなのか。
あ、そういえば…
クレヨンでお絵かきしたり、土を触ることがあまり好きではないS君。
手にごはんつぶが付くのが嫌なのかも?と思い、「…スプーンで食べてみる?」と提案してみました。すると、S君はにっこり「うんうん」とうなづいてくれました。

 

給食の職員にスプーンを出してもらい、手に握ると、おいしい笑顔であっという間に食べてしまいました。まだ言葉が話せないS君でしたが、しぐさや表情で、大人に一生懸命気持ちを伝えていたんですね。

 

ご家庭ではどうでしょう。
お子さんとごはんを食べるとき、ついついテレビの方にばかり目をやっていませんか?あるいは、食べているお子さんを横目にスマホをいじっていたりしませんか?

 

「ちゃんと食べて」「もう、こぼさないでよ」なんて、一方的に言葉だけで急かしたり怒ったりしていませんか?または反対に、子どもは自分で食べようとしているのに、先回りして手や言葉を出しすぎているのかもしれません。

 

子どもが食事に集中できなかったり、食べない日が続いたりするときは、10分、いや5分でもいいので、イライラする気持ちを少し横に置いて、「この子はいま、どんなふうに食べているのかな」と冷静に観察してみてください。お父さんお母さんも忙しく疲れているので、「そんな悠長な時間ないよ」と思われるかもしれませんが、ときどきでもいいので子どもの様子を感情抜きに観察してみてください。

すると、この子が今どんな発達段階でどんな課題に向き合っているのか、食べるときのくせや表情が見えてくると思います。

手づかみでぐちゃぐちゃ遊び食べをしているように見えても、実は汁物の中の具を先につかんで食べて、そのあとにスプーンで汁を飲んだりと、食材によって使い分けているのかもしれません。スプーンで食器をたたいている場合、音を出したりすることが楽しくて仕方ないのか、食材が大きくて口に運べず困ってこねくり回しているのかもしれません。

 

大人視点で「ダメでしょ!」と頭ごなしに叱るのではなく、「そうかそうか、今はそんな気分なのね」「ちょっと食べてみようか」と、食事のマナーもさりげなく伝えながら、育ちをサポートする。肩の力を抜いてみると見えてくる風景があるかもしれません。
ママ・パパもときどき立ち止まって「子どもの時計」の針に、身をゆだねてみませんか。

 

 

今日のヒント:時には「子どもの目線」になってみよう!

 

では次回もお楽しみに!