食事に集中できないのはなぜ?

小さなお子さんの行動面について臨床心理士がお母さんたちに伝えたいこと、その第2弾は「食事に集中できないのはなぜ?」です。
食事に集中できないのには訳があり、その時、大人はどう関わるべきかを説いてくれています。
同じようなテーマでは、以前、「机といす、5つのチェックポイント」の中でも食事に集中できない理由を探っています。

歩き始めの時期に視界が大きく変わる!

「食事に集中できません」というご相談は、お父さん・お母さんからだけでなく、実は保育園や幼稚園の先生からもよくうかがっています。

たとえば

 

  • 苦手な味や触感が多く食べられるものが少ない
  • スプーンやフォークの操作にとても神経を使うためにすぐに疲れて集中が切れてしまう
  • 食事の席についた時からきょろきょろしてしまう
  • 食べ物で遊び始めてしまう など

 

大人が『食事に集中できない』と気になる場合は、こうした“気が散りやすい” “遊び食べになっている”という場面に出くわした時が多いように思います。
そのような行動の理由や背景はお子さん1人1人で異なりますが、実はお子さんの成長過程で“一時的に『気が散りやすい』行動が増えるタイミング”というのがあります。それがちょうど歩き始めの時期です。

 

歩き始めた時期のお子さんは立ち上がったことで、これまでの座っていた姿勢やハイハイの姿勢の時、つまり床に近い姿勢の時とは視界が大きく変わります。単純に視点が高くなり、座っていた時には見えなかったものが見えてくるようになると、ハイハイの時には知らなかった世界が目の前にたくさん広がっています。ちょうどお子さんが歩き始める時期というのは、身体の発達とも併せて、お子さんの興味・関心が一気に広がりやすいタイミングでもあるのです。

 

“あれ、なんだろう?” “これってどうなってるんだろう?”と、広がった興味に沿って、お子さんは自分でいろいろなことを試していきます。あれこれと興味の向くままに行動するとなると、当然、1つのことに集中してじっくり取り組むということは難しくなってしまい、座った椅子から見える景色を堪能したり、テーブルの上にある物を取ろうとしたり、スプーンやフォークでテーブルや食器を叩いてみたり、食べ物を手で掴んで感触を確かめてみたり…大人が「それやめてー!」と、思わず言いたくなってしまう行動が出てきてしまうことも、お子さんの成長段階を考えるとある意味自然な流れともいえます。