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偏食で、菓子パンばかり食べたがります

偏食が多く、肉、魚、さつまいも、たまねぎ、小松菜、なす、白米以外はあまり食べたがりません。野菜は細かくしてわからないようにしないと、まだ食べないものが多いです。また、甘いパン(チョコパンやクリームパンなど)を朝も夕方も食べたがります。朝はスティックパンを3本分くらい、夕方にも3~4本分食べてしまいます。糖尿にならないか、とても心配です。偏食もどのように直していけばよいでしょうか?
(3歳8か月・男児)

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菓子パンは間食で。乳製品などのたんぱく質を含む食品を一緒に添えて。

偏食で食べられるものが少ないなか、食べてくれるものがあるのはありがたいことですね。「エネルギー不足にならないか心配」「何か食べさせないと」と考え、ついつい食べてくれるものばかりを与えてしまう気持ちもわかります。ですが、それが日常化してしまうと、今度は栄養面が心配になってしまいます。

お子さんが大好きな甘いパンなどは“菓子パン”と呼ばれ、シンプルな食パンと比べると、砂糖などの糖質、マーガリンやショートニングなどの脂質が多く含まれています。一方で、体に必要なビタミンやミネラルはあまり期待できません。そのため、菓子パンを主食にしていると、栄養不足のためにエネルギーは足りていてもそれを体内で効率よく使えなくなる可能性が高くなります。

ご心配されている糖尿病などの生活習慣病も、その一つ。とくに、幼児期の食生活はその後の基礎になると考えられているため、今の状態がこのまま続いていくと偏食もさらに進んでいくことも考えられます。菓子パンは甘味などが強く、その味ばかりに親しんでしまうと繊細な食材そのものの味に鈍感になりやすくなります。偏食を改善するためにも、今の食生活を正していくことをおすすめします。

 

<主食ではなく、間食に>

スティックパンは国内ではいくつものメーカーから発売されており、それらの多くには、「スナック菓子のように食べやすく、おやつにぴったり」という商品説明が見られました。つまり、主食としてではなく、あくまでも間食向きとして扱われているということになります。これらのことからも、主食を菓子パンにすることは減らしていきたいですね。
菓子パンはおやつであるという認識を持ち、間食で食べるようにしてみはいかがでしょうか?15cmくらいの大きさであれば、商品ごとに多少の差はありますが1本で100kcal近く含まれています。間食に菓子パンを食べさせるのであれば、200kcalを目安に与えるようにしましょう。

 

<菓子パンを与える場合の注意点>

なお、間食であっても糖質主体の菓子パンだけを与えるのは避けたいところです。できれば乳製品や大豆などのたんぱく質を含んだ食品を一緒に添え、栄養バランスを少しでも改善したり、血糖値の上下を抑えてあげるようにするとよいですね。
また、最初から菓子パンを食べるタイミングを間食へ切り替えるのが難しそうであれば、たんぱく質を含むおかずや、血糖値上昇を抑えてくれる食物繊維を含んだ野菜などと一緒に摂るようにするとよいでしょう。そもそも、1度に何本も食べてしまうのは、やわらかくてあまり噛む必要がなく食べごたえが少ないことにあります。そういったことからも、必ずほかの食感を持つ食材を一緒に食べさせることで、必然的に菓子パンを食べる量を減らすことが期待できるでしょう。

 

いろいろと提案しましたが、急に厳しくして「あれもダメ、これもダメ」と否定的にお子さんに伝えたり、「絶対こうすべき」などとご自身に無理強いしてしまうと、双方にストレスがかかるばかりか長続きしなくなってしまうものです。それを避けるためには、変えられるところから少しづつ取り入れていき、1つ変えたらそれに慣れるまで次の変化を加えないというやり方にしてみるとよいかもしれませんね。どのように取り入れるかをお子さんと相談して決めさせると、嫌がらずに取り組みやすいと思います。主導権をある程度お子さんに持たせ、大人が決めて押し付けることのないようにすることが大切だと思います。

 

<偏食への対策>

現状では、お子さんは甘味や脂肪の味のとりこになっていて、それ以外を受け付けにくい状態なのだと予想できます。提案したように少しづつ菓子パン中心の食事から、バランスのよい食事へ変えていくことができれば、自然と本来の味覚を取り戻していくことが期待できるでしょう。また、食材そのものの甘さや香りに触れる機会を増やし、それが「おいしい」ということに気付かせることができれば、今まで食べなかったものにも興味が沸くはずです。にんじん、キャベツ、じゃがいも、かぼちゃ、かぶなどの野菜は、中までやわらかく潰せるくらいコトコト時間をかけて茹でたり蒸すと、それだけでとても甘味が強くなります(蒸すのはシリコンスチーマーを使って電子レンジ加熱でもOK)。こういった工夫も取り入れ、食卓に時々出すように工夫してみてくださいね。その際は、口に入れることにこだわらず、調理した後のやわらかさを見せてあげたり(潰させるのもOK)、できたての香りをかがせてみたり、五感を使って食材に触れさせ、少しづつ興味を持たせてあげれば苦手なものが少なくなっていくはずです。

※今回は、【管理栄養士】が回答しました。