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味を濃くするのは6歳くらいからでも大丈夫!好き嫌いの出る時期に慌てない対応を。
だしを生かすなどしてお子さんへの味付けに気を付け、日々料理を提供している姿勢は素晴らしいです。できるだけ、薄味で食べてほしいけれど、以前のように食べてもらえないともどかしいですよね。
1歳半くらいから好みの変化が見られる傾向があるので、食べることを目標にしないで接していくことも意識してほしいと思います。
ただ、質問内容を見ると、パサパサするものに関してだけ食べが悪いようですね。もしかすると、味付け以前に、単に食感が苦手で食べてくれない可能性も考えられます。
濃い味に慣れる理由とデメリット
味を濃くすることは簡単ですが、それに慣れてしまうと素材の風味や味わいなどに鈍くなってしまう恐れも…。わたしたちは、最初は強いと感じる感覚であっても、しばらくその刺激を受け続けていると、慣れて当たり前に感じるようになります。すると、最初の刺激を受けても大したことがない、あるいは物足りないと感じるようになっていくのです。
味覚とは、味を感じる成分に対する刺激が、口の中の細胞から神経を通じて脳へ伝わることで認識されます。濃い味は、薄い味がわかりにくくなってしまい偏食の一因となったり、塩分のとり過ぎにもつながってしまうので、大人も子どもも避けていきたいですね。
今回の対処法
乳幼児期の味覚は、人生の中でも一番敏感と言われています。それは、腐ったものや毒のあるものから身を守るためと言われています。そういった発達段階で、安易に濃い味にシフトしてしまい、味覚の繊細さを失ってしまうと、元に戻すのは難しくなってしまうのです。できれば、6歳を過ぎるまでは大人よりも薄味をおすすめします。
薄味、濃い味については、次の数値を参考にしてみてください。
【塩分濃度の目安】
乳児:0.5%(大人の半分くらい)
幼児:0.5~0.7%(大人より少し薄め)
大人:0.8~0.9%
外食:1.2%前後(濃い味)
※ 150㏄のだし汁に、味噌小さじ2杯を溶かした濃度が1%。大人でもこれがやや濃い味に相当します。
【食塩摂取の目標量】
男の子
6~11か月:目安量として1.5g
1~2歳:3.0g未満
3~5歳:4.0g未満
6~7歳:4.5g未満
18歳以降:7.5g未満
女の子
6~11か月:目安量として1.5g
1~2歳:2.5g未満
3~5歳:3.5g未満
6~7歳:4.5g未満
18歳以降:6.5g未満
※ 小さじ1杯の塩分相当量は、塩6.0g、しょうゆ0.9g、味噌0.7g、ソース0.3gです。
これを見ると、1歳児の塩分摂取量がどれだけ少ないのかがわかります。そのため、今回のケースでは、味の濃さは変えずにパサパサとした食感を抑える工夫を取り入れることをおすすめします。
パサパサをしっとりに変えるポイント
肉や魚に含まれるたんぱく質は、調理方法によって水分の含有量が変化します。とくに、脂身の少ない部位や種類を使う場合にその違いが表れやすく、水分が抜けてしまうとパサパサとした食感が強くなっていきます。
そんなパサつきを抑える方法は、次の通りです。
- 調理前に、砂糖と塩をまぶしておく。(食材の保水性アップ)
- 調理前に、ヨーグルトや酢に漬けておく。(pHを変化させてタンパク質のやわらかさアップ)
- 調理前に、刻んだまいたけ、すりおろししょうが、すりおろし玉ねぎ、塩こうじなどに漬けておく。(酵素の働きでタンパク質のやわらかさアップ)
- 調理直前に、片栗粉、小麦粉、米粉などの粉類をまぶす。(食材の水分をキープ)
- 調理時は、低温から加熱を始めて、中に火が通ったら後は余熱で仕上げる。
- 焼いたり炒めるよりも、蒸したり煮たりする。
- 食べる時に、とろみのあるソースや調味料をかける。
- しっとりとしたポテトサラダなどの料理と一緒に食べてもらう。
これらを全て実践する必要はありませんので、できそうなものを試してみてください。
「それでもなかなか食べない」という場合は、調味料を足す前に、薄味でも満足感を高める方法を取り入れてみて。香りやうま味のある、ごま油、バター、鰹節、あおさのり、すりごま、焼きのりなどを調理中に使ったり、仕上げに振りかけたりするだけで、食べてくれる可能性もありますよ。ぜひ、参考にしてみてくださいね。