Q

お箸の練習は何歳から?

お箸の練習って何歳から始めますか?
1歳児でも普通のお箸のみで大丈夫ですか?
(1歳2ヶ月・女児)

A

今の時期なら手づかみ食べでOK。色々な食材を持って手の感覚を育てて!

お父さんやお母さんがお箸を使って食事をしていると、まだまだ幼いお子さんでも箸に興味を持つことがありますよね。

様々な育児書では、箸を持ち始めるタイミングはお子さんが興味を持ったら、という話はよく聞きます。一方、箸は先端が尖っているため、操作を誤ると喉や目などをお子さん自身が傷つけてしまう可能性もあります。そのため、お子さんが興味を持っても、まだ上手に手を動かせていなかったり、道具を上手く扱えないうちは、手づかみ食べや、スプーン・フォーク等を使用して食べることをお勧めします。

現在1歳2か月ということですが、お食事はどのようにされているのでしょうか。お母さんがお口に運んであげていますか?お子さんが自分で食べていますか?ご自分で食べているのであれば、手で持って食べているでしょうか?スプーンやフォークを使って食べているのでしょうか?

お子さんが食具、特に箸を扱えるようになるまでには、手づかみ食べ→フォークやスプーン→箸と扱うものが変わっていきますが、この流れにはお子さんの手の発達にとても重要な意味があるのです。

手づかみ食べは、さまざまな食材を手で直接触ることによって、様々な感触(柔らかい/固い・つるつる/ざらざら・冷たい/温かい等)を確かめ、感じ取っています。この様々な感触に触って確かめるという行為は、もっと大きくなったときに食具をはじめとする道具を上手に扱うための、基礎の部分である手の感覚を育てています。

私たち人間は、手の感覚が育つことで、握る等手のひらと指先を組み合わせて動かすこと、力加減を調整すること、指先だけで道具を支えること等ができるようになっていきます。こうした一連の操作ができることで、箸が上手に扱えるようになる、文字を上手に書けるようになるといったことに繋がっていきます。

だからこそ、手から様々な刺激を取り入れて感覚を育てていくことが、まずはとても大切な育ちのステップと言えます。1歳2か月という年齢であれば、まだ手づかみ食べでも十分な月齢です。既に行っている場合には、十分に経験させたのちにスプーンやフォークに移行していけると良いでしょう。

お子さんの中には、手づかみ食べを嫌がるお子さんもいたりします。手が汚れるのが嫌、テーブル等自分の周りが汚れるのが嫌、触った感触が苦手等、お子さんによって理由は様々ですが、手づかみ食べを嫌がるため、大人が食べさせてあげていた段階からすぐにスプーンやフォークに移行せざるを得ない場合もあると思います。

嫌がるものを無理に行うことは難しいため、その場合は手づかみ食べを促していくことは難しいですが、一方で、上記に示した『手の感覚を育てる段階』を経験せずに道具を扱う段階に進んでしまっているため、そうしたお子さんの場合、上手く握りこめない、変わった持ち方をする等、上手く扱えなくなってしまうことも多いです。

そうした場合には、別の場面で手の感覚を育てる機会を持てると良いでしょう。粘土や砂遊び等遊びの場面で十分に手のひらで感触を楽しむ遊びをしても良いですし、お風呂や寝る前等にお父さん・お母さんが手をマッサージしてあげることでも、手の感覚は育っていきます。

既に食事の中でスプーンやフォークを使っている場合には、このように別の場面で手の感覚をしっかり育ててあげられると、徐々に扱いも上手になっていきます。

道具を扱うためには様々な段階を経て、それぞれの段階で、その時に見合った手や指先の動かし方を練習しながら育っていきます。箸の練習は、指先を使って開いたり閉じたりできるようになる3歳から4歳ごろに始め、10歳くらいを目安に上手に扱えるようになることを目指していただけると良いでしょう。今は様々な食材や感触のものに触れていきながら手の感覚を育てて、少しずつ道具の扱い方を獲得していけると良いと思います。

 

※今回は、一般社団法人ぽけっと【臨床心理士】が回答しました。