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スプーンの使い方・食べさせ方や、食物の硬さに気を付けながらゆっくり進めよう。
モグモグ期(7,8ヵ月頃)は、「舌食べ期」。発達の目安としては、「形のあるものを捕食により取り込み、舌で上あご(口蓋前方部)に押し付けて食べ物をつぶすことができるようになる」時期です(厚生労働省『授乳・離乳の支援ガイド』・グローバルキッズ『離乳食ガイドライン』より)。このモグモグ期の前の時期(5,6ヵ月頃、ゴックン期)は、「唇を閉じて飲み込む嚥下と捕食ができるようになっている」ことが目安なので、お母さまは次の時期に進む目安とされたことと思います。
お子様はこの「唇を閉じて、ゴックン」が身についているわけなので、離乳の段階としては順序どおり順調です。ただ、育児書などに書いてある目安どおりに進めているのに「もぐもぐ」しない、ということでご心配されていると思いますが、目安はあくまでも目安ですので、あまり心配しないで大丈夫です。
それでは、どのようにこの「もぐもぐ」を身に着けていくか、についてなのですが、これには、介助する人のスプーンの使い方が重要なポイントになります。
<離乳食時のスプーンのポイント>
- スプーンは、口の正面からまっすぐに運びます。
- スプーンを下唇にのせ、食物がきたことを知らせます。
- 赤ちゃんが口を開いたら、下の中央より少し手前に、自分で自然に取り込めるようにします。赤ちゃん自身が、上唇を下げて食物を取り込むのを待ち、スプーンを水平にゆっくり引き抜きます。(この方法は発達全般に必要です)
- このとき、スプーンを奥のほうにいれすぎたり、上唇にこすりつけたりしてしまう(大人の操作で口の中に食べ物を入れてしまうと、子ども主体の動きを引き出せなくなってしまい、飲み込んだらいいだけになってしまいます)
<どんな動きを引き出す時期?>
モグモグ期は、大きさや硬さ、質感が変化していく感覚を経験し、口を「もぐもぐ」させて食べる練習をする時期です。そのとき、左右の口角は頬の方向に引かれ、唇が薄くなる様子が観察されます。舌を「上下」に動かし、上あご(口蓋)との間に支えた食物を押しつぶすという舌の動きを引き出す時期です。
<ここをチェック>
この時期は決して焦ってはいけません。じっくりと、お子さんの唇と舌の動きを観察してみましょう。
- 素材の硬さはどうでしょうか?「舌でつぶせない硬さ」のものを与えると、丸のみを覚えてしまいます(噛めないからのみこんでしまう)。月齢に合った硬さや大きさかどうか、再度確認してみましょう。ペースト状→ムース状→マッシュ状へと機能に合わせて硬くしていきます。
- スプーンを奥まで入れすぎていませんか?
- 足底は床面についていますか?(安定していることが重要です)
- 一口の量は多すぎませんか?山盛りにしないようにしましょう。
- 目と目を合わせて「もぐもぐね」と声かけを。口の中が空になってから次の一口を与えていますか?
模倣が好きになる時期です。お母さんも一緒に「もぐもぐ・ごっくん」よく噛んで食べる様子をみせてあげます。お母さんと目と目をあわせて、「もぐもぐね」と声をかけながら「ゆっくり」進めましょう。
食物を噛みつぶして飲み込む、ということ噛んで食べることを覚えることは、赤ちゃんにとって、人間にとっての一大発達課題です。赤ちゃんは少しずつ、舌・唇・あごなどの筋肉を使う、複雑な動作を身に着けます。繰り返しになりますが、目安はあくまでも目安です。一人ひとりの進み具合は違いますので、「まだできない…」と焦らず、唇と舌の動きをよーく観察して、体調に合わせて、ゆっくり(時にはひとつ前の段階に戻りながら)無理せず進めていきましょうね。
(グローバルキッズ保育園 園長・保育士)