スプーンは ″失敗感″につながりチャレンジしなくなる!
フォークを使う4つのメリット!
いざ、食事の場面で道具を使おうとすると、お母さんやお父さんはまずお子さんにどんな道具を渡しますか?
すくいやすさや安全性からスプーンを選ぶご家庭が多いのではないでしょうか?
固形ではない食べ物ではもちろんスプーンを使うことが多いでしょう。
しかし、食事を摂る上で、道具を操作するということにおいては、断然フォークからスタートしたほうがうまくいきます。
それはなぜでしょうか。ポイントは「失敗をしにくい」ということです。
食事を自分で取り始めたばかりの子どもはたくさん失敗します。でも、始めに失敗ばかりを重ねてしまうと次のチャレンジがなかなかできなくなってしまいます。直接手でつかんで食べることに達成感を得ていた子どもたちがスプーンで失敗を重ねると、また手づかみに戻ってしまうことがよくあります。そこで効果的なのがフォークです。フォークを使うことのメリットを4つの視点でお話しします。
1.食べ物を“さす”ことができる
道具を使い始めたばかりのお子さんは、上肢(手から腕までのこと)の操作が不安定です。その状態でスプーンを使うと食べ物がスプーンから転げ落ちてしまいます。そんなとき、子どもたちが感じることは「失敗感」です。決して自分のせいではないけれど、スプーンから落ちた食べ物に対して「うまくいかなかった」という気持ちが残ります。それが続くとチャレンジするのがいやになり、せっかく操作が上手になってきても、手づかみ食べに戻ってしまうお子さんが多いのです。
2.どんな方向からでも口に入れられる
フォークはどんな方向からでも口に入れることができますが、スプーンは食べ物を水平に運ばないとうまく口には入りません。また、手と口がうまくコンビネーションしてくれないと、口からこぼれ落ちてしまいます。これは、道具の使用を始めたばかりの頃の子どもたちは、手の細かいコントロールができないからです。
その点、フォークでは口付近にさえもっていければ、かじりとったり、前後左右どんなふうに向いても、口の中に入れるチャンスが多くなります。また、失敗したとしても食べ物が転げ落ちることがないので、何度もチャレンジすることができます。
3.お皿からすくうという動作をスキップできる
フォークは直接食べ物にさせるので、お皿から食べ物をすくうという動作がスキップできます。スプーンの場合は食べ物の下に入れてからすくい上げるという2つの動作があり、それがうまくいかないとお皿にも工夫が必要になってきます。フォークでは、上からぶすっとさすだけ。もしこのときにお手伝いが必要であったとしても、一瞬のことです。
4.成功体験を積み重ねることができる
①~③であげたように、フォークには子どもたちが成功体験を積める要素がいっぱいです。子どもにとって、再度チャレンジできる失敗を経験することはとても大切ですが、はじめは【できる】をたくさん積み重ねて成功体験を積み上げていくことが、食べることへの自信にもつながり失敗が怖くなくなります。
このように、実ははじめての食具はフォークのほうがうまくいく可能性が高いといえます。
フォークを使い始める時のポイントは?
はじめてフォークをもたせるときは、まずはフォークに食べ物をさして、お皿においてあげてくださいね。
簡単にさしやすいもの(ゆで野菜や肉団子くらいの硬さのもの)を用意してさしかたの見本を見せたり、一緒にさしてみたりしてみましょう。そのときには食べ物の名前を言いながら、「にんじん、ぶすっ」などの効果音をつけてあげるとなおいいでしょう。
そして、成功体験をしっかり積み上げていく中で大切なのは、お母さんやお父さんなど周りの大人たちからの賞賛とほめる言葉です。大切な人にほめられると嬉しくってどんどんチャレンジしたくなり、ますます上手になっていきますよ♪
はじめは手のかかる行為ですが、一人でごはんを食べられるようになると、お母さんの食事時間がゆっくりとれるようにもなりますよね。ひとり立ちまであと少し!
※今回は、一般社団法人ぽけっとの【作業療法士】が執筆しました。
一般社団法人ぽけっと
2017年2月設立。児童発達支援・放課後等デイサービス事業『発達支援ルームぽけっと』や園や学校の先生方を支援する研修・巡回事業等のサービスを提供しています。
https://www.pocket-room.org/
■ ぽけっとの支援の内容やお仕事についてはこちらから