離乳食ってなぜ大事なの?

「感覚面の話」としては、これまでに臨床心理士による「偏食の理由のひとつは感覚の過敏さ」「食事だって学びの場、発見と体験の連続!」をお届けしてきました。
本テーマの第3弾となる今回は、言語聴覚士が執筆しています。是非、お母さんに伝えたいこと、「離乳食ってなぜ大事なの?」です。

お口の中で唾液が出てきて、大人が食事をしている様子に興味関心を持ち始めたら、そろそろ離乳食を始めるタイミングです。「うちの子も離乳食をはじめてみよう!」と気合を入れて作ってみたけれど、実際に食べさせてみると“お子さんが意外と食べない!”ということを経験された方も多いと思います。時間をかけてつくった離乳食が全然食べてもらえないと結構ショックが大きいですよね。どうしても作るのが負担に感じたり、作っても食べてくれないことにストレスを感じたりした経験はどなたも1度はあるのではないかと思います。

 

丸飲みがよくない理由はいろいろあります…

離乳食を始めたお子さんが、口の中に入れた食べ物を「べーっ」と吐き出す様子をご覧になった方もいらっしゃると思います。離乳食期のお子さんのお口の中はとても繊細なため、はじめのうちは水分が多くべちゃっとした離乳食の感覚がつかみづらく、口の中が異物感から不快に感じ吐き出すということがよく見られます。

 

この時期のお子さんでは、どちらかというと離乳食でなく固形のものを積極的に食べたがるというお話しもご相談の中で伺うことがあります。これは口の中に入った時に固形物の方が重さや形状が伝わりやすいことから抵抗が少ないと感じるお子さんもいらっしゃるからです。

 

しかし、いきなり固形物を口に入れると感覚的にうまく捉えられないことから、噛まずに“丸飲み”してしまいます。以前も『発音と食事って関係してるの?』でもお話ししましたが、食べ物の丸飲みは発音の不明瞭さにつながりやすいのです。お子さんたちはそれぞれの時期の口の形態にあった食事で舌の動かし方を学びます。食事で口腔内をしっかり動かすことが、言葉を話すための土台となっているのです。また、食べ物の丸飲みをすると口の中の感覚が育ちにくく、偏食につながる可能性もあります。その上、噛まないと唾液の分泌がすくないため、消化がされにくく便秘になりやすい状態になってしまいます。
赤ちゃんは始め母乳などの水分しか口にしていません。そのため固形の食べものという“異物”を口に入れるのに慣れるためには徐々に固さや形態などを離乳食で変化させていく必要があります。口の形態に合わせた食事はお子さんの様々な発達に密接に関係しているのです。食事を丸飲みしないでしっかり口の中の感覚や舌の動かし方をつかむためにも、段階を踏んで離乳食を進めていくことが大切なのです。