ご飯を食べすぎてしまうのはどうして?

臨床心理士が伝える感覚面の話、第4弾は作業療法士が担当します。ご飯を食べ過ぎてしまうお子さんについて、考えられる要因とお母さんとして心がけてほしいことを説いています。

母乳やミルクの時期が過ぎ、離乳食が始まると、徐々に子どもたちも自分からご飯を求めることが増えてきます。私たちがお伺いする保育園や幼稚園でも、年齢問わず、食事の時間をとても楽しみにしている子どもが多いです。そうした中、お母さんやお父さん、先生方から、ご飯を何度も何度もお代わりをする、幼児期なのに大人と同じ量をぺろりと食べてしまう、お代りをあげないと癇癪を起こすなど、ご飯を食べすぎてしまうというご相談を受けることがあります。

 

ご飯を食べ過ぎてしまうのはどうして?

そもそも『ご飯を食べすぎてしまう』ということはなぜ起こるのでしょうか。
一般的には、満腹中枢が未発達であることが1つの要因として挙げられます。
満腹中枢とは、“お腹がいっぱいになったからもう食べなくて大丈夫!”“もうちょっと食べたいな!”など脳の中で食事を摂るという行動を調整する機能を持つ神経です。満腹中枢は大体2歳程度でうまく働くようになると言われているため、この時期には満腹中枢が育ち切っていないお子さんもいます。そうすると、自分がどのくらい食べればよいかを自分自身で判断することは難しく、つい食べすぎるということが起こってしまうのです。

もう1つ、ごはんを食べすぎてしまうというときに考えられる要因として、“内感覚の弱さ”が考えられます。
“内感覚の弱さ”と言われてもあまりピンとこない方も多いと思いますが、これは体の内部の感覚がつかみにくい状態を指しています。“内感覚が弱い”お子さんのエピソードとしてわかりやすいのは、寝る直前まではわーっと動き回っていたのに、いきなり電池が切れたようにパタッと寝てしまうといったケースです。これは、「自分の体が疲れている」という体の感覚を脳が正しくキャッチ出来ず、体の方が動かなくなるまで動きを止めることができない状態と言えます。
内感覚の弱いお子さんが「ごはんを食べすぎてしまう」というときは、満腹中枢が“もうお腹いっぱい!”と反応してもそれを脳が正しくキャッチ出来ていない状態にあると思われます。
このように疲れの感覚や、お腹がいっぱいになっている感覚、また逆にお腹が空いたという感覚がわからないというような、内感覚の弱さが要因で食べすぎてしまうというお子さんもいるのです。