5つの感情(五情)とは?
東洋医学からみる和食でもご紹介したように、東洋医学で用いられる五行説では、5つのエネルギーの調和を取ることで心身のバランスを保ってきました。この5つには、五情(ごじょう)と呼ばれる「怒」「喜」「思」「悲」「恐」の5つの感情もそれぞれに振り分けられます。
わかりやすいように、子どもの感情で見てみましょう。それぞれの感情は、怒=イライラする、喜=興奮する、思=クヨクヨする、悲=メソメソする、怖=怖がる になります。
だれもがこれら5つの感情をもち合わせていますが、どれか1つの感情が強すぎると、その部分の臓器をいためやすくなると言われており、また逆にその臓器が弱っていると、その感情が強く出るとも言われています。ある感情が強く出すぎるときには、それぞれに関係している味覚、酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味/かんみ(塩味)を使ってみるのもよいでしょう。また、5つのエネルギーには、それぞれに色(五色)があり、その色味の食材をつかってバランスを取ることもできます。下記でご紹介するおすすめの食べ物は、この五味、五色がベースになっています。
怒=イライラする が強く出るときは…
イライラしやすい場合は、「肝」と影響し合っています。落ち着きがない、頭痛、のぼせなどの症状も出やすくなります。そんなときに食べるといい食材をご紹介します。
緑の食べ物(ほうれん草や小松菜などの青菜、ブロッコリー)、梅干し、セロリ、貝類、酢の物、麦茶
また、肝はストレスとも関わるため、緑の多い公園で遊んで発散させてあげるのもよいでしょう。
喜=興奮する が強く出るときは…
喜ぶこと自体は悪いように思えないかもしれませんが、喜びが過ぎると興奮が強くなり、「心」に影響を与えます。特に、夏の時期は、「心」に負担がかかりやすい時期になるため、興奮しやすいお子さんの場合は、冷えのぼせ(手足や下半身は冷えているのに、上半身に熱がこもりほてっている状態)や、熱中症にも注意が必要です。食べるといい食材は、
赤い食べ物(スイカ、にんじん、赤かぶ、トマト)、夏野菜(きゅうり、なす、トマト、ピーマン、ゴーヤなど)、番茶
思=クヨクヨする が強く出るときは…
心配で思い悩む、つまりクヨクヨすると「脾」に影響を与え、胃に負担がかかりやすくなります。口臭がある場合は消化不良も考えられますので、胃腸に負担をかけない消化に良い食事を心がけてください。食べるとよい食材は、
黄色い食べ物(さつまいも、とうもろこし、かぼちゃ)、自然な甘さのある穀物、野菜(玉ねぎ、にんじん、大根、キャベツ)、みそ汁
ここでいう「甘味」は、自然な甘さになります。砂糖が入ったお菓子類は、かえって「脾」の負担になるので控えたほうがいいでしょう。
悲=メソメソする が強く出るときは…
悲しみが強くなると「肺」に負担がかかり、乾燥しやすくなって咳が出たり、便秘になりやすかったりしますが、涙を流すことで悲しみを和らげることができると言われています。泣くことも大切なので、我慢させず思いっきり泣かせてあげるのもよいでしょう。また「肺」は皮膚とも深い関りがあるため親子のスキンシップをとるのもおすすめです。食べるとよい食材は、
白い食材(大根、れんこん、ねぎ、玉ねぎ、ゆり根、梨)、高野豆腐
恐=怖がる が強く出るときは…
恐怖が強くなると「腎」に負担がかかります。「腎」は骨や耳、膀胱とも関係するため、そういった部位のトラブルが起きやすくなります。「腎」を休ませるためには早寝早起きをベースにし、下記のような食べ物を取り入れてみましょう。
黒い食べ物(海藻、貝類、黒ゴマ、黒豆、蕎麦)、クルミ、あずき、みそ、えび、黒豆茶
また、下腹部が冷えやすいことが多いため、足元などを冷やさないようにしてあげてくださいね。
食べ物で性格が変わるわけではありませんが、感情も食事もバランスを取ることが大切です。小さな頃からいろいろな味覚や食べ物と共に、感情も味わっていくことで、心身の豊かさを育んでいきましょう。