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出汁の種類を変えたり、飲む頻度を調節していきましょう。
体内にヨウ素が十分存在する状態であれば、食品からの吸収率が抑えられ、摂り過ぎた多くのヨウ素は尿として排出されると言われています。そのため、長期間にわたり、大量に摂取し続けるような場合でなければ、ヨウ素の摂り過ぎは問題ないでしょう。
ヨウ素は、新陳代謝を促す甲状腺ホルモンの材料として多く使われ、成長、発達、生殖などに必要不可欠な栄養素です。ただし、不足しても摂り過ぎても甲状腺の働きに影響を与えてしまうため、摂り方には注意しましょう。(甲状腺の機能異常では、小児の場合、落ち着きがなくなる、集中力が低下する、学力が低下する、イライラする、夜尿、成長速度の低下などが見られることがあるようです。)
日本人の食事摂取基準(2020年版)において、1~2歳児の場合は推奨量50μg、耐用上限量300μg
と設定されています。なお、ヨウ素300μgに相当するのは、以下の通りです。
・昆布だし(水出し)…5.7g
・昆布だし(煮出し)…2.7g
・かつお・昆布だし(2:1の割合で使用)…20g
・だししょうゆ…40g
和食の出汁によく使われる昆布ですが、使い方次第ではすぐに摂り過ぎになるほどヨウ素を豊富に含んでいる食材です。昆布そのものには、出汁よりもはるかに多く含まれています。乾燥した刻み昆布には、同じ重量の昆布だし(煮出し)と比べて約21倍、昆布の佃煮には同じだけ含んでいることからも、よくわかるでしょう。
昆布を使用したもの以外に一部の魚介類にも多く含まれているため、昆布だしを使った料理が1日1杯だけであっても、耐用上限量を超えてしまう可能性があるのです。小さなお子さんの場合、昆布料理の頻度は少なくし、食べる際は小さな器に盛る程度にしておくと安心です。
なお、昆布を使わない出汁であればヨウ素の含有量はとても少なくなっています。そのため、ご家庭での調理に使う出汁は、かつお節や煮干しなどを中心にしてみてはいかがでしょうか。
なお、数値自体は日本人を対象としたものではなく、欧米での数値を参考にして計算されたものであるため、必ずしもこの耐用上限量を超える生活が続いたからといって体調が悪くなるとはいえません。そうはいっても、安全を考慮して計算されている数値ではあるため、なるべくこの範囲で摂れるように食生活を整えていくといいですね。
ヨウ素が多いからといって極端に避ける必要はありません。ほかの食材も幅広く取り入れていけば、昆布ばかりを使うことも避けられますよ。
今まで2日に1回使っていたのであれば、3日に1回、5日に1回などと、少しづつ使用する間隔を延ばし、いろいろな出汁を取り入れるようにしてみましょう。
※今回は、【管理栄養士】が回答しました。