Q

固形食が嫌い。匂いにも敏感。偏食がひどくて困っています。

息子は赤ちゃんの頃から離乳食をあまり食べませんでした。生後6ヵ月から離乳食を始めましたが全く食べず、10ヵ月の時に胃腸炎がきっかけで母乳も拒否するようになり、脱水(この頃はお茶やジュースなども全部拒否)で入院しました。お医者さんからは、水分がとれたり、食べられるようになれば退院できると言われましたが、5日間、何も飲み食いせず24時間点滴でした。ようやく6日目に、離乳食初期の赤ちゃんが食べるドロドロのおかゆなど食べ始め、退院できました。

そこから離乳食初期のものを食べることを続け、最初から野菜のドロドロ系のもの、少し固さがあるもの、いろいろ試しましたが、野菜を単品で食べたことはありません。1歳半までは、野菜(人参、ブロッコリー、小松菜など)を茹でてミキサーにかけたものにしらすやひきわり納豆などタンパク質を入れ、だし醤油で味付けし、ご飯に混ぜたものを毎日食べてました。
あとは何も入ってないパン(食パン、アンパンマンのスティックパンなど)、具材のないそうめん、うどん、ラーメンなどを食べていましたが、この頃は、野菜もタンパク質も取れていたのでいつか食べる!と割り切ってました。でも、2歳を過ぎると、何か混ざってるものは嫌がるようになり、今食べられるものは、白米、鮭フレーク、ふりかけご飯、具材のないそうめん、うどん、ラーメン、何も入ってないパン、ヨーグルト、牛乳、ポテト、ホットケーキです。たまに食べるのはナゲットとハンバーグ。2週間に1回くらいですが……。

スパゲティやサンドイッチ、ウインナーや汁物(お味噌汁やスープ)、ソーセージ、海苔、野菜、果物何も食べません。ちなみに市販のお菓子もあまり食べたがりません。スーパーに行って「好きなお菓子買ってあげるよー」と言っても、何もいらないと言います。

ホットケーキを作る時は、きな粉や市販の野菜パウダーをバレないように入れてます。固形物があると嫌がります。ジュースは大好きで野菜ジュースなど飲ませてます。一度もおかずなどを食べてくれたことがありません。みんなが好きなサツマイモとかカボチャも赤ちゃんの頃からダメ。オエッとしてしまいます。

強制はしないように、食べられるものだけを食卓に並べる日々。みんなで楽しく美味しいね、を心がけています。ママやパパが「このシチューおいしいー!食べてみる?」と聞いても、「僕は白ごはんめっちゃおいしいー!」とニコニコ。「いろんな食材や料理を食べない?」と聞いても、ソッコーで「食べない」と返答。ほとんどのものが食わず嫌いです。匂いも敏感で、私がそばでカレーライスを食べると臭いからあっちで食べてと言われます。

タンパク質などあまり取れていないので、栄養面が本当に心配で……。発育は92cm・13kgと標準。あまり風邪もひかず元気です。しかし便秘気味で、たまに病院で整腸剤や便秘薬もらいます。このままどうやって食事の幅を広げていいのかわからず悩んでいます。
(2歳9ヵ月・男児)

A

感じ方に過敏さがあるかもしれません。感覚面を育ててあげましょう。

 

赤ちゃんの頃から離乳食が進まず、偏食がずっと続いているとなると心配になりますよね。おそらくお母さんも様々な工夫をしながらあの手この手で食べられるよう、対応されていたのだと思います。試行錯誤した結果、食べてくれず…となると食事の時間がストレスに感じてしまうのも無理はありません。2歳頃から偏食がさらに目立つようになったのは、お子さんの体が成長し、口の中の感覚も育ったため、以前は感じにくかった繊維の触感や味の違いなどにも気づくようになり、明確に“違和感”として感じるようになったからだと考えられます。

ただ、お子さんは固形物を嫌がったり、匂いにも反応されるとのことなので、感じ方にやや過敏さがあるかもしれません。過敏さがあるお子さんは炭水化物に偏りやすかったり、同じメニューを好むなど、変化を嫌う傾向があります。もしかすると他の場面でも、手や服が汚れる(濡れる)のを嫌がったり、動きがぎこちなかったり歯みがきを嫌がるなどの様子もあるかもしれません。これらは感覚面の未熟さが原因にありますが、これは触れたり、口に含んだ物などの感触が過敏に伝わり過ぎたり、反対によく分からず気持ち悪いと感じてしまう状態なのです。

 

この感覚面を育てていくためには実は食事の工夫ではなく、手足のマッサージが有効です。掌や足の裏のような身体の末端にはたくさんの神経が張り巡らされていますので、それらを日々少し強めにマッサージしてあげることで感覚がしっかり神経に伝わるようになり、感覚面が育っていきます。感覚面が育つと過敏さも落ち着いてくることがあるので、ぜひ取り入れてみてください。同時に頬を触ってあげたり、ガーゼで口の中(歯や頬の内側)を触ってあげるのもおすすめです。

 

今は体重・身長も標準域ですし、食べる種類は少なくても食べること自体は嫌いではないようなので、食べ物の幅を広げていくことを頑張り過ぎなくても良いかと思います。一番避けたいのは“食事が嫌になること”です。嫌な物、気持ち悪いと感じる物を食べさせられると食事への恐怖心が高まりやすいため、挑戦する場合は少しずつ、頻度も1日1回や週末のみ、など嫌いにならない程度にすすめてあげるとよいでしょう。

 

また、挑戦させる際は、見た目の印象で拒まれることもあるかもしれないので変化は大きく取り入れず、あくまで食べられる物にそっと混ぜてみるのも(例:サケフレークにすりごまを混ぜる、時々食べるハンバーグにミキサーで細かくした野菜を混ぜる、ふりかけを小魚入りにするなど)、抵抗感に繋がりにくい工夫と言えます。

 

便秘については市販の食物繊維を粉末にした物などをふりかけやごはんに混ぜてみるのも一手です。ただ便秘は食事の問題もありますが、体を大きく動かすような運動活動が少なくても起こるため、双方の視点で工夫を取り入れていけるといいですね。

 

偏食は、幼稚園や保育園、小学校など、お友達と一緒に食事する場面が増えることで食べられるメニューも増えてくるなんてこともよくありますし、成長曲線の標準範囲内にいるということはお子さんの体としては必要な栄養は得ることができている、ということです。食事は1日3回もあり、頑張り過ぎてしまうとお母さんもお子さんも苦しくなってしまうので、今は焦らずに野菜ジュースなどの代替品をうまく活用しながら少しずつ挑戦する機会を設けていけるとよいでしょう。また食べることだけではなく、前述したふれあい遊び(マッサージなど)や大きく体を動かす運動等など取り入れることもぜひやってみてくださいね。

 

※今回は、一般社団法人ぽけっと【 臨床心理士】が回答しました。