Q

前歯でかじり取ることができず、一口で食べられるもの以外食べません

もうすぐ3歳になりますが、前歯でかじり取ることができず一口サイズか細かくしないと食べません。スティックパンなどで練習したのですが、一口で入らないと食べるのをやめてしまいます。かたまりになっている物や野菜も、細かくしたり他の物と混ぜてごまかさないと食べません。保育園の給食もほとんど残しています。
好き嫌い、食べず嫌いが多く、見ただけでそっぽを向くことも多いです。
(2歳・男児)

A

“かじり取り”やらない理由は、噛むことへの負担が原因かも

3歳になると食事もすっかり大人と同じになり、様々な硬さや大きさの食べ物を食べられるようになったり食べ方にも変化が出てきたりと、食事がさらに楽しめるようになる年代ですね。お子さんによっては、大きなトマトや骨付きチキンにガブリとかじりつくこともできるでしょう。

しかし、中にはご相談者のお子さんのように口を大きく広げてかじったりすることが苦手なお子さんもいらっしゃいます。苦手な理由としては以下のことが考えられます。

・スティックパンのような太い食べ物だと口の中いっぱいに食べ物が溜まってしまい、食べにくい。

・食べ物の大きさに合わせて大きく口を開けたり、噛むこと自体への負担が大きい。

など、実は味だけではなく、食べる動作等の負担も大きく関わっていることがあります。

かじり取りさせる食べ物を選ぶ時は、柔らかく口の中で広がる物が苦手ならば野菜スティックや棒状ビスケットのように細く硬さのある食べ物にしてみたり、食べ慣れているごはん等を棒状にして与えてみるなど工夫されてみてはどうでしょうか。

 

また“噛む”という動作は頬の筋肉をしっかり使う必要があるため、噛む動作に負担を感じやすいお子さん(頬が柔らかくふっくらしているお子さんに多いです)の場合、かじり取りのような負担のかかる動作は疲れるのでできるだけやりたくない、と避けることがあります。もし食事の場面が常に頑張らないといけない時間だと感じているならば、食事は修行のように辛い時間になるでしょう。3歳ぐらいのお子さんはまだ“我慢して頑張る”ということが上手ではないため、“辛いこと⇒避ける”となりがちです。

ご相談者のお子さんも給食を残しがち等、食事に対し何らかの負担を感じていると考えられるため、普段の食事では食べやすいサイズに切ってあげるなど食事への負担を減らすようにして、週末などの時間がある(親子ともに余裕がある)時だけかじり取りを練習するなど、頑張る場面を限定しながら挑戦していくことをおすすめします。

 

しかし負担だといっても、噛む動作は言葉の発達面でもとても大切な動作ですので行わせていく必要はあります。噛む動作への負担を感じにくくさせるひとつの工夫として、日常の遊びの中で恐竜ごっこや動物ごっこ等を通してガブッと噛むとかっこいい等、イメージを育てておくことも大切です。

そういった遊びの延長線としてお食事の際に「ライオンさんの大きなお口でガブっ」や「うさぎさんみたく小さくガブガブ」等、噛む動作にお楽しみ要素を持たせることもできます。他にも“噛む動作遊び”として、薄いせんべいやのしいか等をかじり、歯型を残したものを見てみる、という遊びも楽しいですよ。食べることは食事場面だけではなく、遊び等日常の関わりの中から育てることもできますので、ぜひ日常生活に無理のない範囲で取り入れてみてくださいね。

※今回は、一般社団法人ぽけっと【言語聴覚士】が回答いたしました。