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がんばり過ぎなくて大丈夫!食事を楽しみながら広げていくためにも、感覚面を育てる関わりを。
家族の協力が得にくいワンオペ育児の中で、お迎え後に1時間以上遊んだり、レシピを調べて作ったりと、とても工夫しながらがんばっていらっしゃると思います。それでも好きなものしか食べてくれない、好きではないものは全て拒否、となるとつらいですよね。
偏食の多いお子さんが特定のものだけを好んで食べる背景のひとつに、口の中の感覚の過敏さがあると考えられています。「特定のメーカーのふりかけを好む」ということからも、お子さんはこの“感覚の敏感さ”を持っている可能性が高いと思います。すると、ちょっとした味やにおい、食感の違いにも気づくため、“これは平気”、“これは嫌”といった判断基準がお子さんの中で明確に決まります。でも、感覚は制御できないものなので、「頑張ったら慣れて食べられるようになる」という根性論的な関わりでは解決しないことが多いようです。
むしろ、苦手に感じているものを無理に食べさせようとすると、食事そのものが嫌になってしまうこともあります。好きで食べられるものもたくさんあるのに、そうなったらもったいないですよね。さらにお子さんが苦痛に感じていることを頑張らせようとするお母さんも、とても苦しくなります。
感覚の過敏さがある(と考えられる)お子さんの場合は、まず過敏さを落ち着かせるためからだの感覚を育ててあげることが大切です。例えば、
- 手のひらで握るようなイメージで腕や足をぎゅっと握る
- 手を持って上下にぶるぶると震わせる
- 手のひらや足裏を少し力を入れてマッサージする
- くすぐり遊び
- 歌に合わせた触れ合い遊び(動画やテレビ番組等でも紹介されていますので、それらを参考にするのも良いですよ!)
遊ぶ時以外でも、着替え・トイレ・お風呂等、お子さんのからだに触れる時に取り入れてみてくださいね。
また、栄養面が足りているかな?と心配な場合には、成長曲線を見てみるのもひとつです。ご相談内容を見る限り、お子さんはさまざまなものを食べていると思いますよ。平均値を大きく下回っていなければ、今食べている内容で発育に必要な栄養はしっかりと摂れていると考えられます。もし下回っている場合でも、今食べられるものの量で調整をしたり、ドリンク状の栄養補助食品を活用したり、できる範囲で取り入れてみてはいかがでしょうか。
「もう少し工夫して頑張らないと」と言われ、お母さんもとても困ってしまったと思いますが、忙しい中でも十分取り組まれていることが伝わってきます。お子さんが食べることそのものを苦痛に感じてしまうと、食べられる物さえも食べなくなる場合がありますので、今は食べられるものをおいしく食べること、そして、もう少し大きくなったときに食べられるものが広がるよう、身体の感覚面を育てる関わりをしてみてくださいね。
1日1回、10秒程度でも構いません。長い目で見て関わることがとても大切ですので、まずは今よりもお子さんのからだに触れる機会を増やすというイメージで、関わってみると思います。
※今回は、一般社団法人ぽけっと【臨床心理士】が回答しました。