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託児所の方針や、メニュー・栄養価について正しいかどうか確認をしてみて
介護施設と併設されている託児所であれば、高齢者との頻繁な交流によって、思いやりやいたわりの気持ちが育ちやすいことが期待できますね。
実際に出されているメニューを拝見すると、随分と豪華な食事に感じました。一般的な保育園であれば、金目鯛が出ることなんてそうそうないのでは。(特産品とかであれば、食育の一環として提供されることもあるかもしれませんが)
初めての託児所利用で、戸惑うことがあるかと思います。託児所の先生の立場で想像してみると、以下のようなことが考えられないでしょうか。
● 周りの子どもたちもお弁当を希望するようになると統制がとりにくくなる
● ほかの子どもがお子さんのお弁当を誤食しないよう特別な配慮が必要になる
● 持ち込みによって食中毒のリスクが考えられる
など、園としてもできるだけ安全に運営できるよう、ご質問者さまに給食を提供することを打診してきたのかもしれませんね。
<同一メニューについて>
私立の保育園などでは、園の方針によってどんな献立を採用するか決めることがあるようです。実際に、私が住んでいる地域の同じような施設へ問い合わせてみましたが、自治体の栄養士さんが作成したメニューを公立の保育園ではそのまま提供するのに対し、私立であればアレンジして提供するなど自由がきくという回答が得られました。(そこは私立保育園で少人数保育のため、介護施設とは別メニューでした。)そのため、ご質問者さまの利用している託児所では、業務の負担軽減なども考えて介護施設との同一メニューを提供しているのかもしれませんね。実際にほかの地域でも、介護施設と保育施設で同一メニューを提供しているところが何か所か確認できました。
<乳幼児の栄養価について>
ただし、栄養価(カロリー、たんぱく質、塩分など)まで全く同じということは考えにくいです。なぜならば、提供する1人分の量自体が大人よりも少ないこと、高齢者と乳幼児に必要な各栄養素量に差が大きいためです。もしかしたら、誤って介護施設のメニューが配布されているという可能性はないでしょうか?内閣府・文部科学省・厚生労働省が発表している「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」には、給食で避ける食材の一つに“いか”が含まれていることもそう思った理由です。(いかなど、いくつかの乳幼児に適さない食材だけでも別の食材に置き換えていることも考えられますが)
また、一般的に1~2歳の給食とおやつであれば、1日の半分に相当するエネルギー:475kcal/たんぱく質:16~24g/塩分相当量:1.5g未満、という目安に基づいて給食献立が立てられています。(日本人の食事摂取基準2020より) 大人に提供する量の2/3程度を提供するということであれば、目標の数値に近いかなと見ることもできますが、そういった記載などもメニュー表には見られないでしょうか?
なお、食物アレルギーによる事故を防ぐため、給食で初めて食べる食材がないように、あらかじめ何度か家庭で口にしてから給食で食べる必要があります。そういうことを考えても、金目鯛などが提供されるというのであれば、給食を利用するご家庭は対応が大変なのではないかと感じました。
<解決方法について>
ご質問分だけでは現状が把握しきれないため、一度、【実際に提供される給食のメニュー】・【託児所児童向けの栄養価の数値】が間違っていないか確認された方がいいかもしれませんね。その上で、利用している託児所の方針を確認することをおすすめします。食に重きを置いているかどうか、どのような食育に取り組んでいるのか、などをお聞きになり、ご自身の希望と合致されていないのであれば“提案”や“相談”といった形で希望を伝えてみてはいかがでしょうか?お子さんの味覚や成長に関わる大切な食のことですので、ご心配事が改善されないようであれば、新しい預け先を探すという選択肢も検討してもよいのではないかと思いました。
<参考>
「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」
※今回は、【管理栄養士】が回答しました。