乗り物酔いのメカニズム
西洋医学では、乗り物酔いは脳の発達と関係があると言われています。三半規管や脳の働きが未発達な2、3歳頃までの乳幼児には乗り物酔いは起きないと言われていますが、脳が発達し始める3、4歳くらいから乗り物酔いが見られるようになり、加えて体質も関係してくると言われています。
一方、東洋医学では乗り物酔いは水毒(すいどく)、気滞(きたい)というそれぞれの体質が関係していると考えます。水毒とは、体の中の水分代謝が悪く、余分な水分が体の中に溜まっている状態のことを言います。子どもは大人と比べ、運動量が多いので血液循環はよいことが多いのですが、これからの季節、のどが渇いて一度に多量の水分をとってしまったり、食事をあまり咀嚼できず水分で流し込んでしまったりすることなどが原因で、水の巡りが悪くなってしまうことがあります。
舌の状態をみると、舌の両側に歯形があったり、両側がテカテカ光っていたりします。舌の状態以外にも、シャワーのみで湯船には入らない習慣がある場合や、汗をかきづらい、梅雨時に多く見られる目の下が腫れぼったいといった場合も、水毒の傾向があると言われています。
また、気滞(きたい)は、体の中の気の巡りが悪い状態です。舌の状態では、舌の両側や舌先が赤くなっていたり、舌の中央に白っぽい苔があったり、黄色になっていたりします。ゲップやおならがよくでる、うんちをしにトイレにいくがでないといった場合も、気滞の傾向があります。
「水毒」にいい食べ物
水毒の体質の場合は、身体に溜まった余分な水分を体から出してあげることが必要となります。そのため、余分な水分を出し、体の中の水分バランスを整える利水作用のあるトマトやきゅうりなどの夏野菜がこの時期はおすすめです。そのほか、どんな料理がよいのかみていきましょう。
はと麦や押し麦を入れたご飯
はと麦や押し麦(大麦)にも利水作用があり、梅雨時期や夏の食欲不振にもおすすめです。特に、押し麦は便秘にもよいとされています。
かぼちゃのあずき煮
あずきにも利水作用があります。また、かゆみを伴うような湿疹にもよいとされています。そのあずきを煮て(あずきの水煮を使ってもよい)、そこに、一口大に切ったかぼちゃを入れて一緒に煮ます。柔らかくなったら、しょうゆもしくは塩、お好みでみりんなどの甘味料を入れて味付けします。水の巡りが悪い人は胃もたれもしやすいため、胃によいとされるかぼちゃを合わせるとなおよいでしょう。
高野豆腐とグリーンピースの卵とじ
グリーンピースには利水作用があるだけではなく、胃腸の気の流れを正常に整えてくれる食材でもあります。高野豆腐や卵は水毒とは直接関係はありませんが、良質なたんぱく質が非常に豊富なので育ち盛りのお子さんには是非食べていただきたい食材です。また、グリーンピースと高野豆腐は食物繊維も豊富で排便効果にも役立ちます。すっきりと排便して旅行に行きたいものですね。
あさりとわかめのみそ汁
あさりやわかめも利水作用のある食材です。また、あさりには気持ちを落ち着かせる働きもあります。旅行前で興奮が高まりやすいときなどによいですね。
「気滞」にいい食べ物
気が滞っている状態のため、気を巡らせてあげる食材をとることが必要となります。代表的な食べ物は柑橘類です。これは、香りだけでも気を巡らす効果があると言われており、アロマオイルなどでも利用されています。その他、どんな料理がよいかみていきましょう。
ピーマンのおかか和え
ピーマンには気を巡らせる働きが、おかかには気を補う働きがあります。
玉ねぎみそ
玉ねぎには、気を巡らせる働きがあるだけでなく、オリゴ糖もたくさん含まれており排便効果もあります。厚手の鍋に玉ねぎを細めのくし切りにしたもの、水少々、みそ、みりん、を入れて煮ていきます。おかずみそのように、ご飯のお供になりますよ。
このように、身体の中の水分と気の巡りをよくすることが、乗り物酔いの対策になります。旅行の2日前くらいから意識して摂るようにしてみるといいでしょう。
乗り物酔いを和らげる昔ながらの知恵
乗り物酔いには、こんな昔ながらの知恵があります。
そのほか、旅行の前日は睡眠をよくとる、甘いジュースなどを控える、消化の負担にならないように食べ過ぎないようにする、揚げ物を控えるなどもよく言われています。お子様の状況をみながら、取り入れやすい方法を試してみてくださいね。