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離乳食後期頃の食材と、揚げ物・炒め物以外の料理を選んでみて。
せっかく保育園へ通うことになったのに病気がちでは心配ですね。保育園ではたくさんの子どもたちと緊密に接するため、これまで以上に病気の原因となる細菌やウイルスを取りこんでしまいます。基本的には、帰宅後の手洗い(爪先、指の間、手首も忘れずに)・うがい(15秒×2回が目標)をすること、栄養バランスの取れた食事を摂り、十分な睡眠を取ることを徹底して予防に努めます。ですが、たまたま空気が乾燥していたり、心身共に疲れている時などに、鼻・喉・気管へ細菌やウィルスが入り込んでしまうと、風邪として発熱・発汗・下痢・嘔吐などの症状が現れてしまうのです。
風邪を繰り返し下痢が長引いているということですので、お子さんはかなり体力を消耗している状態かと思います。食欲があるのであれば、本人が食べたいだけの量を与えてあげるようにし、少しでも体力が回復するよう栄養面からもサポートしてあげましょう。
本来は、下痢の場合、便の状態と同じような形状の食事が理想とされています。
- 水様便:水分を中心としたもの。スープ、みそ汁、りんごのすりおろし。経口補水液や番茶で水分を十分に補給する。
- どろどろ便:ポタージュ、豆腐、潰したバナナ、にんじんをやわらかく煮て潰したもの。
- 軟便:うどん、白身魚の煮付け、野菜をやわらかく煮たもの。卵や鶏ささみなど脂肪分の少ないたんぱく質も与える。
このように食欲と下痢の状態を見ながら食事を調整していくのですが、1週間以上このような食事を続けていると、逆に体力の回復が遅れたり胃腸の粘膜が弱って下痢を長引かせるとも言われています。
普通食を与える場合は、次の点を注意してあげるとよいでしょう。
①油(脂)が多いものは避ける
消化吸収に時間がかかり、胃腸に負担を与えます。揚げ物、炒め物以外の調理法がおすすめです。肉類は特に豚肉に油(脂)が多く含まれるため、赤身を選ぶか、油(脂)の少なめな鶏肉を選びましょう。魚類は青魚に油(脂)が多く含まれるため、油(脂)の少なめな白身魚がおすすめです。うなぎは特に油(脂)が多いため注意してください。菓子類は油(脂)を多く含む洋菓子(ケーキ、ドーナツ、焼き菓子)や菓子パンなどは控えましょう。
②繊維が多いものは避ける。
消化吸収に時間がかかり、種類によっては腸に過度の刺激を与えます。たけのこ・ごぼう・れんこん・ふきなどのシャキシャキとした食感のある食材は、下痢が治ってからにしましょう。生野菜や海藻類も消化吸収に負担をかけやすいため、同様です。温野菜を選びましょう。
③味が濃いものは避ける。
甘さやしょっぱさが強いものは浸透圧が高く、腸からの水分吸収を妨げ下痢を悪化させます。つけ汁が多く味が濃くなりやすい麺類(そば、ラーメン)・加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージ)・味付けされた魚卵などは控えましょう。また、甘味の強いジュース類(特に人工甘味料が含まれているもの)も同様です。
④刺激物は避ける。
辛味の強いもの(唐辛子や胡椒などの香辛料、わさび、からし)・酸味の強いもの(柑橘類、酢飲料)・香りの強い野菜(セロリ、にら、みょうが)も控えましょう。
この他、乳製品の摂りすぎも刺激となりやすいため牛乳やチーズなどにも注意してあげてください。1日に牛乳1杯やチーズ1片程度であれば気にしなくてもよいでしょう。カルシウム不足が心配な場合は、豆腐やしらすを積極的に食事へ取り入れてください。
食欲が出ているのであれば、上記の避けたいもの以外で、お子さんが食べたがるものを水分の多いもの(スープ、みそ汁など)と一緒に与えてあげるのが望ましいです。料理としては、だしを利かせた薄味の煮物・茶碗蒸しなどの蒸し物・油の使用を減らしたグリルやオーブン焼きなどの焼き物、ゆで野菜の和え物やお浸しなどがおすすめです。
食材選びは、離乳食後期食頃のイメージを持っていただくと難しくないかと思います。
体力の回復に必要なたんぱく質は、鶏肉(皮を除く)・卵・豆腐を中心に摂るといいでしょう。
水分補給については、ベビー用麦茶以外にも、簡単に作れる経口補水液を紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
湯冷まし(または、軟水のミネラルウォーター):1リットル
砂糖:40グラム(大さじ4と1/2)
食塩:3グラム(小さじ1/2)
これらをよく混ぜ溶かし、常温で与えます。この糖分と塩分のバランスが一番身体に水分が吸収されやすいとされており、熱中症対策として保育園で利用しているところもあります。
普通食を与えても症状が悪化しないようであれば、次第に体力が回復して風邪や下痢になりにくい元気な状態を取り戻してくれるでしょう。状態が悪化する場合は医療機関にかかるのはもちろん、便の状態に合わせた食事に戻してあげるようにし、様子を見ながら進めてあげてくださいね。
1日も早く、元気な園生活が送れることを願っております。
※今回は、【管理栄養士】が回答しました。