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頑固なお子さんこそ、食事を嫌いにさせないことが大切!
少し前までは食べられる物の種類もそれなりにあったお子さんが、舌の感覚(味や感触)や見た目の違いが分かるようになると途端に食べなくなり、いわゆる“偏食”になってしまうケースは多々あります。違いが分かるようになること自体はお子さんの成長ですので喜ばしいことですが、その反面偏食が目立つようになると成長面や栄養面等、心配事も増えてしまいますよね。
ご相談者のお子さんも、食べていた物でも感触の違いが分かるようになった(=成長した)ことで、“気持ち悪い”とか“何か分からないから不安”と感じることが増えてしまい、その結果、ご家庭ではお菓子以外ほとんど食べない等、強い偏食として現れてきていることが伺えます。
こういったお子さんが感じる“不快な感覚”は強いので、ご家族がおいしそうに食べる姿を見せてもなかなか不快感の軽減には繋がりにくく、すぐには改善しません。
またお子さんの性格は“頑固”とおっしゃられていますので、一度“嫌”と感じると“嫌な物は絶対食べない“と決め込んでしまうため、あの手この手で食事を工夫してもなかなか挑戦してくれないのだと思います。
頑固で感覚過敏があるお子さんへ偏食の対応をするときに、一番大切にすべきことはお子さんに“何も食べない”というパターンを作らせないことです。頑固なお子さんは何かと自分の行動を“こうしたい”と決めて行動していることが多いので、“食べる”“食べない”にこだわることがないよう配慮していくと良いでしょう。今は食べられる物が本当に限られてご心配だと思われますが、今無理に食べさせようと挑戦を求めると“食事=不快が多い”となってしまい、さらに頑なに拒む可能性もあります。そのため、現状では食べられる物だけでも食べることを維持していくことも大切です。
ただ、様々な食品に挑戦すること、それ自体をやってはいけないというわけではないので、挑戦する際は食べられる物+αというようにまずは食べられる物を確保した上で、他の食べ物は食べても食べなくてもOKくらいの軽い気持ちで用意してみてください。また、お子さんが電車や特定のキャラクター等が好きな場合は、挑戦させる食品をそういったお子さんの興味のあるものの描かれたお皿に乗せたり形状にしてみることで、抵抗感が減ることもあります。
偏食はすぐに改善することではないため、お母様自身も食べさせることを頑張り過ぎずに長い目で見ていくことも必要です。どれだけ頑張っても食べてくれなかったのに、旅行先等で突然食べてくれるなどということもあって、展開が読みづらいのが偏食の難しさです。
感覚過敏のあるお子さんであれば、歯磨きをする際に舌や頬などをお母様の指で触ってみたり、手足のマッサージ、いろいろな感触の物に触れる等、感覚面を育てることも偏食の改善につながっていきます。食べられる物が少ない今は、食べられるメニューを頑張って増やすことだけを大切にせず、お子さんの感覚面から育てていってみるのもひとつですね。
※今回は、一般社団法人ぽけっと【臨床心理士】が回答いたしました。