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お子さんに選択肢を与えたり、お菓子以外のものを準備しておきましょう。
お子さんが思うように食べてくれないとつらいですよね。いやいや期は精神面での成長過程なので、うまく付き合っていくことが大切です。「自分の欲求を素直に表現できるようになった」とお子さんの成長を喜びたいところですが、なんでもかんでも嫌がられると、どうしたら良いのか悩みますよね。
もし、食卓につくという段階から拒否されているのであれば、お子さん自らが「食べたい」と思うようになるまで、無理強いをしなくてもいいと思います。食事時間とお腹が空くリズムがずれていたのか、もっと遊びたいのか、食事の時間が苦手なのか(楽しい雰囲気でないなど)、何かしらお子さん自身の理由があるはずなので、食べるタイミングはお子さんに任せてみてもいいと思いますよ。その代わり、大人たちはお子さんに合わせず食事を始めましょう。
参考までにお伝えしますが、私の娘がいやいや期だった時は、娘が拒否することに対し一方的にこちらの意見を押し付けず、一旦主張を受け止めてからいくつかの選択肢を提示するようにしていました。すると、案外すんなりとどちらかを受け入れてくれましたよ。
【例】
①「いつものいすが嫌なのかな?じゃあ、今日は大人と同じいすに座ってみる?」
②「このエプロンは着けたくないんだね。お出かけ用に使う〇〇のエプロンにしてみる?」
①の結果、大人用のいすに座ることを選んだので座らせてみましたが、高さが足りず食べにくそうでした。そこで厚みのあるクッションの上に座らせることに。でも、両脇に支えが付いていない(肘置きがない)いすだったので食事中に転落する可能性があったため、結局は大人の膝の上に座れば食べる、というところに落ち着きました。もしかしたら、娘は一緒に食べているという安心感がほしかったのかもしれません。
②は、エプロンをいくつか持っていたので、自分が気に入ったものを選ばせるようにしたところ、難なく着けてくれました。ただ、日によって選ぶものが変わるのでその部分だけは面倒を許容しました。お手拭きタオルもいいですよ。お子さんに選ばせるとスムーズにいきやすいです。
このような考え方を応用して、食事の時もお子さんの好物以外もいくつか提案してみてください。きっと、その時にお子さんが食べたいものを選んでくれると思いますよ。
お菓子と言っても、油脂が多く使われている濃い味のスナック菓子から、素材の味を生かしたポン菓子や野菜チップスなどさまざまです。種類によって栄養価は異なりますが、いずれにしてもお菓子はお菓子であり、食事の代わりにはなりません。また、お菓子はおやつなどの決まったタイミングで出すようにしないと、お腹が空きにくくなり、ますます食事を摂らなくなる、という悪循環につながります。
食事を食べてほしい時は、お菓子のルールをきちっと決めるようにしましょう。また、食事の意義は、栄養素を摂ることだけではありません。
- 主食・主菜・副菜・汁物など、一度に多くの食材に触れることができる
- 食材の形や大きさを認識して食べ方を変える
- 盛り付けの彩りを眺める
- 歯で噛んだ時の音を聞く
- 料理ごとのにおいを嗅ぐ
- 料理の味や食感の違いを感じる
このように五感をフル活用して、多くの食体験を積むことも食事で大切なことです。今はいやいや期の一時的な好き嫌いに見えるかもしれませんが、食体験の基礎となる食事を疎かにしてしまうと、その後も習慣として引き継がれてしまう可能性があります。また、味覚の形成や発達にも影響を与えてしまうので、食経験が少ないお子さんの方が偏食になりやすいという側面もあるのです。
また、お子さんはすでにお家にお菓子が常備されていることを知っているから要求している可能性もあります。お菓子は外出した時の楽しみにするなどとし、買い置きはしないようにするかお子さんの見えないところで管理するようにしましょう。
その代わりにすぐに用意できるような、ラップで巻いたのり巻きおにぎりを作ってあげたり、じゃがいもや大根のおやきを成型したものを冷凍保存しておき、フライパンで蒸し焼きにしてすぐに出せるようにしておくというのはいかがでしょうか。(他にも簡単で食材を生かしたレシピは、HAPIKUの給食レシピをご参考に!)
食事の代わりにお菓子をあげ続けている限りは、食事から栄養をしっかりと摂ることはできません。代わりの物で何とか補おうとするより、食事を出し続けることを優先しましょう。また、お子さんが食卓についても食べようとしなかったり、お菓子を要求し続けたりする場合には、一定の時間が経ったら食事を下げてみてください。これも“食事のルール”として伝えていくようにしましょう!
お腹が空いていても、食事時間にはお菓子を食べられないことが習慣化すれば、食事をするように変わるはずですよ。注意していただきたいのは、食事を下げる時に怒ったり脅したりはしないようにしてくださいね。
何より大切なのは、食事は義務ではなく、楽しく食(食材や味)に触れる機会ということです。「食べないとお腹が空くね」「おやつまで何も食べられなくなるね」「今食べないなら食事の時間は終わりだから、ごはんにバイバイしようね。」などといつもの感じで声掛けしてあげてくださいね。(もったいないですが、食べなかったものは夕食や翌朝の大人の食事に追加すれば、無駄にすることもありませんよ)
最初は、訴えが激しくて大騒ぎされたりすることも予想できますが、【食事で栄養を摂ってほしい】と願っているならば、気長に改善に取り組んでいきましょう!
今回は、【管理栄養士】が回答しました。