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食習慣のルールとして、食事とおやつの線引きをしてあげましょう。
それまで何でもよく食べていたのに急に食の好みが変わると、とても戸惑いますよね。
「あの頃のように食べてくれないかな…」と願う気持ちも分かりますが、食事とおやつは切り離して考えることが大切です。
お子さんの食事が進まない時に、バナナを栄養補給として食事代わりに与えているようですが、バナナはデザートやおやつとして、与えるようにしましょう。たしかに、一部のミネラルやビタミンは食パンや白飯よりも含まれていますが、くだものや菓子パンは主食や野菜の代わりにはなりません。
バナナは、ブドウ糖・果糖・ショ糖といった糖分を含んでいて甘みも強く、離乳食に適しているほどやわらかく食べやすい食材です。そのためバナナを与えれば与えるほど、薄味や噛む回数の多い食事よりも欲しがる傾向が強くなります。
たとえ離乳食完了期を終えて幼児食へ移ったとしても、味覚の発達段階にいるお子さんには、食事を通して多くの食材に触れ、食感や味に慣れさせていくことが必要です。時間をかけて食べ慣れていない食材に何度も触れさせ、慣らして受け入れてもらうことが後々の偏食を防ぐことにも繋がります。
成長曲線を大きく下回っていたり、よほど小食である場合を除いて、【食べる・食べない】を基準とするのではなく、【食材を目にする機会を増やす・口にする機会を作る】ことに重点を置くことが大切です。
お子さんは日々学習していきますので、今のままだと『食事を食べない⇒バナナが出てくる』ことを“当たり前”のこととして認識していくでしょう。
そうなると、毎日毎食バナナが欠かせなくなることも考えられますし、バナナ中心の食生活では栄養が偏ります。まずは、『食事の時間は食事を食べる』ことをルールとし、全部食べ終えたらデザートとしてバナナを与えることにしましょう。食事を食べなければ、おやつの時間まで待つしかない。そうやって、バナナは食事ではない、と認識を変えていくようにしてみてくださいね。
また、デザートやおやつにバナナを与える時は毎回、他の食材をプラスして味・食感・風味などを変えてみると良いですよ。例えば、
● バナナ+きなこ
● バナナ+ヨーグルト
● バナナ+パン
です。通常の食事をしていても不足しやすいカルシウム、鉄、食物繊維が摂れる食材と組み合わせることで、気になる栄養面をカバーすることができます。バナナは甘みが強いので、最初の頃は混ぜて食べることを嫌がるかもしれませんが、それだけ強い甘さに慣れてしまっていたということでもあります。
バナナを与える量についてのご質問はありませんでしたが、ご参考までにアドバイスしますね。
もし、そのまま1本を与えているのであれば、小さく切って小さめのお皿にのせて出すことで、ボリュームのある見た目に変えられるので、そのようにして半分くらいの量に減らしてみましょう。バナナだけでお腹が満たされることを防ぎ、空腹感から苦手なものも食べてみようという気持ちが湧いてくるかもしれません。でも、具合が悪くて食事が食べられないという時もありますので、一概に「食事中はバナナをあげない」と厳しくするのではなく、お子さんの体調を確認しながら対応してあげてください。(病中病後は、食べやすいもの、食べられるものを優先して良いと思います)
また、これらのことは、しつけというような義務感ではなく、食習慣の基礎づくりと捉えましょう。泣かれることもありますが、それを叱ったり脅すことなく、接していきましょう。「バナナが食べたいんだね。でもバナナはデザートだから、ごはんを全部食べてからにしようね。」これを根気よく繰り返し伝えていきましょう。
楽しい食事の雰囲気づくりと、一緒に席について同じ食材を食べるように心がけて、今一度、食べる環境も見直してあげてくださいね。
※今回は、【管理栄養士】が回答しました。