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ひと口大のごはんをいくつも用意してあげましょう。
「食べない」というご相談は、どの年齢になっても本当に多いんですよ。
昨日まではあんなによく食べていたのに今日は何が良くなかったかな?味?見た目?匂い?周りの音?体調かな?
このように、原因として考えられそうなことは数え切れないほど浮かんできます。思い当たること全てに対処してもなお、食べてくれないようなら、今は頑張って食べさせなくてもいいかもしれない、と言えそうです。
まだ授乳をしているのであれば、食事を摂らなかったとしてもすぐに栄養失調になる心配はありませんし、お子さんの機嫌や体調がいつもと変わりがなければ、すぐに病院で診てもらうこともないでしょう。
この時期は、食べることよりも遊ぶことに意識が集中していたり、自我が芽生え始めて「自分はこうしたい」というこだわりが強くなってくるお子さんもいます。そんな時に、栄養バランスが気になる、成長のために食べてほしい、作ったものを残してほしくない、などといった大人の気持ちを強く出してしまうと、当然お子さんの反発を招きます。
大人があれこれ考えて頑張れば頑張るほど、お子さんはそのプレッシャーを感じて食事の時間が苦痛になって…という悪循環は、最も避けなければいけないパターンです。
手づかみ食べでしか食べたがらないのであれば、まだスプーンを持たせる必要はないですよ。大人のまねをして使いたがるようになってきたら、そのとき持たせてあげてくださいね。
この時期に大切なことは、いかに大人がストレスを減らして接してあげられるかを考えることだと言えます。
例えば…
①できるだけ手を加えないシンプルな料理を用意する。(温野菜、ふりかけごはん、和え物など)
②盛り付けはひと口分ずつ用意する。(頑張ってたくさん作る必要はありません!)
③手つかずで残ったものは冷凍保存しておく。(再利用の際は十分な加熱を忘れないように!)
などをおすすめします。
手づかみ食べのアイディアとしては、
・さいの目に切った味噌汁の豆腐を取り出す
・鶏のから揚げの衣を外したあとの中身を一口大に切る
・いもやかぼちゃのサラダをビー玉くらいに丸める
・枝豆をさやから取り出す
・煮豆の汁気を切る
などがありますが、いろいろなバリエーションで色とりどりにお皿に並べてみるのはどうでしょうか?お料理と言えるほどのものではなくても、大人の料理に使う食材から取り分けられるのでお子さんの食事の準備がぐんと楽になるはずです。(味の濃いものは、一度湯がいたりしてあげてくださいね)
たくさん食べさせることよりも、ひと口食べられるものがいくつもある方が、結果的にバランスよく食べられるようになっていきます。
「今日はこれとこれだけ食べてみようかな」といった選ぶ楽しさが生まれたり、「ほんの少しだから試してみようか」と言えば挑戦意欲を掻き立てられるお子さんもいるかもしれません。
お皿にこれしか載っていないけど…などと量は気にしなくて大丈夫です。足りないからこそもっと食べたいという意欲に繋がっていくので、どうぞ笑顔でお子さんに出してあげてくださいね。
場合によってはあまり食べない状況が数ヵ月続くこともありますが、母乳とビスケットだけでも立派に成長したというケースも聞きますので、成長の一過程として、我が家はこれでいいんだと捉えましょう。「よその子はもっと食べる」などと比較する必要も恥じる必要も全くありません。
そして、前日と比べて少しでも進歩(新しい食材を口に1回入れた、2口食べられたなど)が見られたら褒めることも大事ですが、大人が喜ぶ姿をしっかりと見せてあげてくださいね。ほんのひと口分であっても食べ切れたという達成感を親子で得ることができますし、「自分が食べるとお母さんは嬉しいんだな。もっと食べたらどうなるかな?」とお子さんの食べる楽しみにも繋がりますよ。
※今回は、【管理栄養士】が回答しました。