お母さんや保育園の先生からよく「お箸はいつから始めればいいの?」というご質問を受けます。手づかみ食べを経てスプーン・フォークを持ち始める頃、同じ食卓のお母さんやお父さんの使っている箸の存在を知り、持ちたがるお子さんも多いですよね。「まだスプーンも使えないのに箸なんて…」と抵抗を感じる方もいらっしゃると思います。お箸はいつから持たせると良いのでしょうか。
子どもが持ちたいと思った時がそのタイミング
実は、お箸を“持たせる”ということに関しては、子どもが「持ちたいと思った時」、それがスタートのタイミングです。使ってみようとしたら、握り箸・刺し箸で構わないので、どんどん使わせましょう。スプーン・フォークをまだ上手に使えていないのにお箸を持とうとするお子さんもいますが、“持たせる”時期は関係ありません。スプーン・フォークと箸は全く使い方が違うため、フォーク・スプーンが完璧に使えていなくても箸を使い始めてかまわないのです。
しかし、ここで大切なのは“持てる”=“使える”ということではないこと。1歳頃から箸を“持つ”ことはできます。閉じたり開いたりできるのは3歳前後ですが、そこから、箸を綺麗に持つことができるようになるのは10歳頃です。“持てる”ことと“使える”ことの間にはたくさんステップがあるのです。
最近箸使いを補助するような道具(補助のついた箸)を見かけますが、幼児期の使用はあまりおすすめできません。指や手の裏の筋肉を過度に使ってしまうなど、箸を上手に持てるようになるまでに通る子どもの掌の成長を阻害する可能性があるからです。お子さんが使う道具は箸だけではありませんよね。子どもの手は、様々な道具を使って、失敗と成功を繰り返していく中で、手の機能や筋肉、感覚が育っていきます。成長の過程で、他の道具を使えるようになっていくのと並行して、箸も少しずつ上手になっていくのです。補助つきの道具で箸“だけ”が持てる・使えるようになればよいというわけではありません。
箸は始めから綺麗に持てなくても、成長の中で変化していきます。特に小学生になったら、周りの様子を見てますます意識的に持ち方を修正できるようになっていきます。もし、持ち方を修正したい場合は小学生に入ってからにしましょう。もちろん、正しい持ち方を伝えておくことは必要ですが、上手く使えるようになるのはまだまだ先。毎回の食事場面で一喜一憂せず、長い目で捉えてあげてくださいね。