東洋医学からみた子どもの食育 Vol.18 歯と口のトラブルと「腎」との関係 最終更新日:2024.12.02 6月4日~10日は歯と口の健康週間。以前は6月4日を6(む) 4(し) にちなんで「虫歯予防デー」としていましたが、現在では歯の大切さを呼びかける期間になっています。そこで今回は虫歯予防について取り上げました。 虫歯は甘いものと関係があるといわれていますが、歯だけをみるのではなく、他の内臓との関係をみながら虫歯予防を考えます。歯は骨が余ったものとされ、腎臓と深い関係があるとする東洋医学では、虫歯をどのようにとらえているのでしょうか。 目次 口のトラブルはからだ全体のこととしてとらえる五行色体表 (ごぎょうしきたいひょう:体の臓器や味覚などを5つのグループに分けたもの)腎虚(じんきょ)によるもの胃腸の熱によるもの 口のトラブルはからだ全体のこととしてとらえる 虫歯や歯肉炎など口のトラブルは口の中だけのことと思われがちですが、東洋医学では内臓との関わりなど、からだ全体のこととして捉えています。口のトラブルでは口内のPH値(酸性、アルカリ性を示す値)、磨き残し、唾液の分泌量、甘いものなどが影響すると言われていますが、東洋医学では、虫歯や口内トラブルの原因は大きくふたつと考えられており、ひとつは腎臓が弱ること=腎虚(じんきょ)、もうひとつは胃腸の熱によるものです。(表の青色部分をご参照ください) 五行色体表 (ごぎょうしきたいひょう:体の臓器や味覚などを5つのグループに分けたもの) 腎虚(じんきょ)によるもの 東洋医学でいう腎臓の最も大切な働きとは、蔵精作用といって、精・エネルギーを蔵する(貯える)ことです。精には、父と母から受け継いだ「先天の精」と、食物と空気が合わさった「後天の精」とがあり、2つの精が合わさって腎臓に蓄えられたものを「腎精(じんせい)」と言います。言い換えると、腎精とは生きるためのエネルギーの源であり、身体の発達や成長、維持にとても深く関わっています。 腎臓に負担がかかり、弱ってくることを腎虚と言い、手足のむくみ、膀胱のトラブル(おねしょや頻尿、膀胱炎など)、耳のトラブル(難聴や中耳炎など)、骨や歯のトラブル(骨折や虫歯など)、唾液の減少などがみられます。 中でも唾液には消化を促すだけではなく、再石灰化の働きや抗菌作用、口内のPH値を中性に戻すなど、虫歯予防にはとても大切な役割があります。 もしお子さんに、食事中に飲み込みづらい様子や飲み物で食べ物を飲み込んでいるような様子が見られたら、唾液の分泌量が少ない可能性があります。その場合には、噛むことを促したり、食事に少量の酸味(お酢や梅干し等)を加えるなどして唾液の分泌を促してあげましょう。 腎臓に負担が掛からないようにするには、栄養バランスと睡眠時間が大切です。腎臓を補う食べ物については、<冬の「腎」を癒す食べ物と、おせち料理>を参照してみてください。また腎臓を養うためには、日光浴や外遊びもとてもおすすめです。水分補給に注意しながら、公園などに出かけるのもいいですね。 胃腸の熱によるもの 甘いものや脂っこいものが多かったり野菜が少なかったりすると、胃腸に熱が溜まり歯茎の炎症などを起こしてしまいます。唇の乾燥や荒れ、口周りの吹き出物、口角の切れなどが見られる場合や舌の中央が赤や黄色になっている場合は、食事による胃腸の熱が影響していることがあります。また、口臭がしたり、便秘になったりする場合もあります。(表の黄色部分をご参照ください) 胃腸に熱が生じると、冷たい飲み物や食べ物も欲しくなりますが、身体の冷えにもつながるため、できるだけ常温のものをとるように心掛けましょう。 また、気温が上がってくるとからだはその熱を発散しようとするため、血管を拡張させて熱を逃がす働きのある甘いものや、熱を取り除く働きのあるパンが欲しくなることがあります。そのようなときは、身体の不要な熱やむくみをとってくれるきゅうり、トマト、湯がいたとうもろこしなど夏野菜を上手に使ってみてはいかがでしょうか。きゅうりやトマトは苦手というお子さんの場合は、食べる前に野菜と触れ合う時間をとってみるといいかもしれません。きゅうりやトマトを縦、横、斜めに切って子どもに見せてあげましょう。 切り方を変えるとどんな風に見える? 切った野菜で、顔を作ってみようなど、会話をしながら親子で遊んでみてください。季節の野菜のスナップエンドウ、そら豆、グリーンピースなどの豆類は、野菜でお絵描きをする時の顔のパーツとして使いやすいうえに、消化器官を助け、甘いもので影響を受けやすい脾臓、胃腸にもよい効果があります。 虫歯は甘い食べ物だけの影響ではなく、腎臓や胃腸といった内臓とも関わっているというのが東洋医学の考え方です。口の中だけではなく、からだ全体のバランスを整えて、虫歯予防にもつなげていけたらいいですね。 ※舌の色はあくまで目安です。普段から観察して舌の色を比較してみたり、検温と比較してみたりするとより子どもの体調が分かりやすくなります。 ※アレルギーなどをおもちの方は十分注意して、保護者様の責任のもとで食事をとってください。 ※刃物を取り扱う際は保護者様の監督の下、十分注意してください。 望診法指導士 / 食育指導士岩下 牧子(いわした・まきこ)先生 東洋医学の基礎、顔や体から体質や体調をチェックする望診法を学び、現在は講座の企画、運営、講師業に携わる。現在、二人の子ども...続きを見る 東洋医学の基礎、顔や体から体質や体調をチェックする望診法を学び、現在は講座の企画、運営、講師業に携わる。現在、二人の子ども(7歳娘、5歳息子)を育てながら、顔や身体に出てくるサインと食べ物との関係を日々観察し、食材の持つ力を愉しんでいる。外の情報に振り回されず自分の身体の声から食を選択できる家族を増やしたいと活動中。 東洋医学の基礎、顔や体から体質や体調をチェックする望診法を学び、現在は講座の企画、運営、講師業に携わる。現在、二人の子ども(7歳娘、5歳息子)を育てながら、顔や身体に出...続きを見る 東洋医学の基礎、顔や体から体質や体調をチェックする望診法を学び、現在は講座の企画、運営、講師業に携わる。現在、二人の子ども(7歳娘、5歳息子)を育てながら、顔や身体に出てくるサインと食べ物との関係を日々観察し、食材の持つ力を愉しんでいる。外の情報に振り回されず自分の身体の声から食を選択できる家族を増やしたいと活動中。 シェア ポスト シェア はてぶ シェア ユーキャンの料理講座 ユーキャンの離乳食・幼児食コーディネーター講座