「気」を作り出す脾
気・血・水の中でも、「気」は生命活動の根幹となるエネルギー源となります。血や水と異なり、目には見えないものとされていますが、元気、気合い、気持ち、気落ちなど、日本語には「気」を使った言葉が多く、イメージもしやすいのではないでしょうか。「気」は、身体を巡ることで、各内臓や機能を動かし、血液や水分の流れをスムーズにしています。たとえば、脾(胃腸)を動かすことで消化吸収が進み、食べ物や飲み物から身体に取り入れた栄養成分を全身に巡らせているのです。
つまり、私たちの大切な「気」を生み出す脾とは、消化器系を司っており、消化に負担をかけないことがとても大切になります。毎日の生活の中で子どもとできることをご紹介しますね。
胃を冷やさない
冷たいものを飲むと胃の働きが悪くなります。これからは徐々に気温が高くなりますが、常温の飲み物を飲むようにし、あまり冷たすぎるものを多く取らないように心掛けましょう。
お茶や水分は食後にいただく
食事中に水分を摂りすぎると胃酸を薄め、消化力が低下してしまいます。食事中にどうしても水分を多く取ってしまう場合は、唾液の分泌量が少なくなり飲み込みづらくなる可能性もあるため、噛むことで唾液の分泌を促してあげるといいでしょう。
少しずつしっかり噛む
よく噛むことによって、口で食べ物が小さくなり唾液とも混ざりやすくなることで、胃の消化負担が軽減されます。噛む習慣は一生もの、早い段階で身に着けてあげましょう。
よく噛むということ
先ほどの3つ目の「しっかり噛む」ですが、お子さんに伝える時にどのように伝えるとよいでしょうか?
「しっかり噛んでね」「ゆっくり食べてね」 といった抽象的な表現だと、子どもにはなかなか伝わりにくいものです。具体的にどうすることが、ゆっくり食べること、しっかり噛むことなのかを伝えてあげましょう。
早食いのお子さん、噛まずにすぐに飲み込んでしまうお子さんの場合は、最初の3口は、1口ずつ30回噛むというのがおすすめです。食事を終えるまで噛み続けることは難しいかもしれませんが、最初の3口と決め、食卓を共にする大人たちも、一緒に楽しみながら行うとよいでしょう。
噛むことに集中しすぎると、ついつい真剣になってしまうこともあります。リラックスして食事をすることは、副交感神経の働きにより、唾液や胃酸の分泌量を高めてくれます。噛むことが楽しくなるように、「もぐもぐもぐもぐ~♪」と抑揚をつけてみたり、数え歌を利用してみるのもよいでしょう。
また、よく噛んで食べることは、元気の源である「気」を生み出すだけでなく、脳や味覚の発達、言葉の発音がよくなる、肥満予防にもよいとされています。
最後に、脾は、その対応する季節は土用にあたります。土用とは、立春、立夏、立秋、立冬の直前18日間のことを指します。季節の変わり目とも言い換えられ、この時期に体調を崩すお子さんも少なくありません。
2018年の土用の期間は上記の通りです。この期間は脾や胃のために消化の負担を軽減してあげるためにも、しっかり噛むことを教えてあげてくださいね。