韓国編<font><br>
~キムチは水で洗って、辛味は少しずつ馴らして覚えていく~</font>

5月5日は、端午の節句。韓国でも、子どもの日で祝日です。日本では、兜や武者人形を飾って、男の子の日という意味合いが強いですが、韓国の子どもの日は、男女区別なく、子どもの健やかな成長を祈る日だそうです。韓国の料理といえば、唐辛子。赤くて、なんでも辛いイメージがありますが、韓国の子どもは、何歳頃から辛いものを食べ始めるのでしょうか。

唐辛子の歴史は、江戸時代前

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大邱(デグ)市場のキムチ売り場、大人も子どももよく食べます

何人かの韓国人の知人に尋ねてみたところ、特に何歳からとは決められてはないけれど、4歳から6歳くらい、辛さを抑えて、徐々にならしていく、というのが大方の答えでした。例えば、水で洗ったキムチを与えるなど、辛い料理が多い国では、それなりの工夫があるのですね。

 

韓国でも歴史があるお茶のお点前

実は、唐辛子の歴史はそれほど古くありません。大航海時代、コロンブスが中南米から持ち帰った唐辛子は、ヨーロッパからアジアに伝えられたと言われ、日本や韓国に唐辛子が伝わったのは、15~16世紀と言われています。それほど古いものではありません。この時代の宮廷の食事を司る女官の一生を描いたドラマ「チャングムの誓い」を見られた方もいらっしゃるかもしれません。ドラマのなかに登場する、季節の食材を用い、色鮮やかで栄養のことも考えられた宮廷料理には、唐辛子は出てきません。唐辛子の登場する以前の韓国料理は、現代の私たちが想像する韓国料理とは異なっていたようです。

世界有数の野菜消費国

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スーパーマーケットのサンチュ売り場

韓国で飲食店に行けば、注文してもないのに、キムチをはじめ、おかずがずらりと並びます。また肉や魚の主菜も野菜がたっぷり。焼き肉を食べても、生野菜がたくさんついてきます。

 

ソウル市内の野菜たっぷり焼き肉屋さん

韓国の野菜料理の代表格、キムチは、これなしでは生きていけないという韓国の友人がたくさんいます。ほとんどの家庭に、キムチ専用の冷蔵庫があるといい、それぞれの家庭に伝わるレシピがあるそうです。

実は、韓国は、世界でも有数の野菜をたっぷり食べる国です。白菜、にんにく、大根と、伝統食文化が、野菜をたくさん食べる習慣をつくっているのです。ちなみに、韓国の一日の平均野菜摂取量は、480g、これに対し、日本は、300gです(1)。また、韓国料理は、見た目には濃いですが、しっかりだしが取ってあり、塩分少なめのうす味であるように感じます。日本の食生活よりはるかにヘルシーです。

 

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大邱の韓医薬博物館内、体質と食べ物の関係を示す展示

とは言っても、若い世代が、必ずしもそのヘルシーな食生活を継いでいるわけはありません。最近は、肥満や生活習慣病も増えていることから学校では、しっかり食育を、ということで、日本同様、食育に関する法律もあり、幼少期に正しい食習慣を身につけることを目的に栄養教師という制度があります。栄養面だけでなく、伝統としての食の文化について、栄養士や担任の先生が、学校で子どもたちに教える機会もあるようです。

(1) FAOSTAT (国際食糧農業機関のデータベース)

 Food Balance sheet より韓国(2011年)、日本(2011年) http://faostat3.fao.org/download/FB/FBS/E