調理の最初に使う「酒」は、香りや旨味を引き立てる名脇役
酒は、蒸した米に麹菌を加えて麹をつくり、それに酒母を加えて糖化しアルコール発酵させてつくられます。主に素材の臭みを取り除いて保水性を高めたり、素材の味を引き立てたりする作用があり、調理の最初に使うとその調理効果がより発揮されます。
じつは「料理酒」と書かれているものの多くは、酒税がかからないように塩や甘味料などを添加しているのをご存知ですか?それを知らずに料理酒を使ってレシピ通りに調理してしまうと、味が濃く仕上がったり、塩分の取り過ぎになってしまうことも。料理に使う酒もなるべくお酒売り場にある「清酒(日本酒)」を選ぶのがおすすめ。なめ比べてみると味の違いがよくわかりますよ!
知っておきたい 酒を使う6つの効果
1、コクや旨みを出す作用
潮汁や煮物、汁物に酒を使うと、日本酒に含まれる糖分やアミノ酸の作用で甘みや旨みが増します。
2、消臭作用
魚介類に多い揮発性トリメチルアミンという生臭みの成分は、日本酒の揮発性カルボニル化合物と反応することで消され、さらに日本酒特有のいい香りがプラスされます。魚介類の下味や、魚や肉を煮るときに用いられます。
3、素材を柔らかくする
日本酒を加えて加熱すると、アルコールの作用で保水性が高まり、柔らかく仕上がります。白身魚の蒸し物や、唐揚げ、みそ漬けなどの下味に使うのがおすすめです。
4、煮崩れを防止する
材料にアルコールが浸透すると表面の身が締まり、煮崩れを防いでくれます。魚の煮付けやじゃがいもの煮物などに使うと効果的です。
5、焼き色と香りをよくする
日本酒に含まれる糖分とアミノ酸が加熱することでアミノカルボニル反応を起こし、焼き色と香ばしい風味を作ります。焼き魚や鶏肉のソテー、照り焼きなどを風味よく仕上げます。
6、味をまろやかにする
煮きってアルコールを飛ばした酒を、酸味の立った酢の物や、塩分の強い和え物に加えると、味がまろやかになります。また、アルコールの効果で調味料の吸収率が上がるため、他の調味料の使用量が控えられ、減塩につながります。
深い味わいとコクを出す、日本の伝統的な調味料「みりん」
みりんは、もち米、米麹、焼酎を原料につくられます。砂糖にはないまろやかな旨みと甘みが特徴で、主に甘みや旨みを増し、照りやツヤを出す効果があります。
みりんには、アルコールが10〜13%含まれている「本みりん」と、アルコール1%未満の「みりん風調味料」があります。本みりんは酒類になるので、みりん風調味料のほうが手軽に手に入りますが、みりんを選ぶときもやはり、みりん本来の旨みやコクをもつ「本みりん」がおすすめです。
知っておきたい みりんを使う4つの効果
1、照りとツヤを出す効果
みりんには複数の糖類が含まれていて、加熱することで照りやツヤが出る効果があります。照り焼きやきんぴらなどに用いられます。
2、煮崩れを防止する
酒と同様、材料にアルコールが浸透すると表面の身が締まり、煮崩れを防いでくれます。魚の煮付けやじゃがいもの煮物などに効果的です。
3、消臭作用
魚や肉の煮物や照り焼きにみりんを使うと、加熱時に素材に染み込んだアルコール分が生臭みの成分も抱えて蒸発し、臭みを消してくれます。
4、コクや旨みを増す作用
アルコール分子が材料に浸透するときに、ほかの味の分子も一緒に引き込むため、しっかり味が入り、コクや旨みが増す効果があります。
教えて!酒とみりんのギモンQ&A
離乳食から酒、みりんを使ってもいいの?
酒もみりんもアルコールを含むので、離乳食には必要ありません。離乳食完了期ごろからなら、しっかり加熱していればアルコールは飛んでいますので、取り分けメニューで使っていても特に問題はないでしょう。ただし、みりんは糖分が多いので、量は控えめにし、取り分ける場合もだし汁などでのばし、薄めてあげましょう。
料理に使うときの乳幼児の適量は?
0〜1歳は素材の味を活かしたものを食べてほしい時期なので、特に使う必要はありません。料理に使う場合は、1歳~2歳は小さじ1/4程度、2歳~3歳は小さじ1/2程度、3歳~5歳は小さじ1~大さじ1/2程度にし、しっかり加熱してアルコール分を充分に飛ばします。
酒、みりんを使うタイミングは?
酒、みりんを使うときは、アルコール分をしっかり飛ばして使うのが基本。アルコールの調理効果(煮崩れを防ぐ、消臭作用など)を利用したい場合は、調理の最初に入れます。炒め物や照り焼きにみりんを使う場合は、材料にある程度火が通ってから仕上げに使うのがポイントです。
酒、みりんの上手な保存方法は?
直射日光のあたらない冷暗所で保存しましょう。