「み(そ)」の話

和食の献立に欠かせない味噌汁。地方によって特徴があり、そのおふくろの味にホッとする人も多いのでは? そんな日本の伝統食品でもある味噌の魅力に迫ります。

ごはんと味噌汁は、理にかなった組み合わせ!

日本の食卓で定番の「ごはんと味噌汁」。じつはこの組み合わせ、栄養学的にとても理にかなっています。味噌には、米のたんぱく質には少ないリジン、スレオニンといったアミノ酸が多く含まれているため、一緒に摂ることでアミノ酸のバランスがよくなり、たんぱく質がさらに効率的に摂取できるようになるのです。

 

味噌汁を三食摂ると気になるのが塩分。塩分(ナトリウム)はカリウムと一緒に摂取すると体外に排出されやすいので、味噌汁の具にカリウムを多く含む緑黄色野菜や芋類、海草類、体内に塩分が吸収されるのを防ぐ働きのある食物繊維が豊富なきのこ類を入れるのがおすすめです。

 

味噌は沸騰させてしまうと香りがとんでしまうので、味噌を加えたら沸騰させないようにするのがポイント。だしで具材を煮て火が通ったら弱め、味噌を溶き入れます。煮立たせないように注意し、味噌汁の表面が沸騰直前でぐらっと揺れる瞬間(煮えばな)に火を止めると、風味よく仕上がります。味噌汁は作り置きはせずに食べきれる量を作るのがおいしいですよ。

 

味噌は、大豆に塩と麹(米、麦、豆の麹)を加え、発酵熟成させて造られます。主原料の大豆は、そのまま加熱して摂取すると消化吸収が悪いのですが、味噌にすることで消化吸収しやすくなったり、栄養価がさらに優れたものになったりとメリットがたくさんあります。

また、必須アミノ酸8種類全てが含まれるほか、ビタミン、ミネラル、食物繊維も豊富で血圧やコレステロールを下げる働き、がん予防、骨粗鬆症の予防、美肌&美白効果といった健康効果が期待できます。

知っておきたい味噌を使う2つの効果

1 、消臭効果

味噌に含まれている大豆たんぱく質には、匂いを吸収する性質があり、魚の生臭さを取る働きがあります。さばの味噌煮や味噌漬け、いわしのつみれ、また味噌汁も、かつおだしや煮干しだしの独特の臭みを吸収してくれています。

 

2 、保存性を高める

味噌の塩分により大腸菌などが繁殖しにくく、また、すでに酵母菌と酵素、酵母を持つ発酵食品ため、雑菌なども共存しづらい環境に。みそ漬けなどは、この性質を利用しています。

味噌の種類

米味噌

大豆に塩と米麹(米と麹菌を発酵させた麹)を加えて造られた味噌。一般的によく使われ、主に北陸、東日本、近畿で好まれています。仙台味噌や信州味噌、西京味噌が有名。

 

仙台味噌は辛口の赤味噌。塩分量が11〜13%と多く、旨みが濃厚。さばの味噌煮や豚汁、貝汁に向いています。

 

信州味噌は辛口で山吹色(淡色)の味噌。さっぱりとした旨みと豊かな香りを持ち、塩分量は11.5%〜12.5%ほど。味のバランスがよく、煮物や炒め物、味噌汁など、どんな料理にも使えて万能です。

 

西京味噌は短時間で熟成させた甘味噌。白色で塩分は6〜7%。甘みを生かした酢味噌和えや味噌汁、田楽などに合います。白い色を生かし、シチューやグラタンなどのクリーム系の料理に加えるのもおすすめ。

 

麦味噌

大豆に塩と麦麹(麦と麹菌を発酵させた麹)を加えて造られた味噌。主に九州全域、山口県、愛知県で好まれ、塩分が低く、麹の量が多いため、香りも甘みも強いのが特徴。塩分量は、甘口は9〜11%、辛口は11〜13%。

主張が強すぎず、自然な甘みがあるので、野菜とよくなじみ、野菜たっぷりの味噌汁や煮物などに合います。そのまま野菜につけて食べてもまろやかでおいしい。

 

豆味噌

大豆と麹菌を発酵させ、塩を加えて造られた味噌。愛知県、三重県、岐阜県を中心に造られていて、色は赤褐色。熟成期間が長く、強い渋みと旨みのある味が特徴。塩分は10〜12%ほど。代表的なものは八丁味噌。

 

八丁味噌は旨みが濃厚なため、煮込んでも風味がとびにくいのが特徴。塩分は控えめでコクと風味が強いので、煮込みうどんや土手鍋、タレにしてみそカツにと、八丁味噌を主役にした料理に向いています。また、そのコクと渋みを生かし、デミグラスソースや赤ワインを使った料理に少し加えても深みがでます。

教えて! 味噌のギモンQ&A

離乳食から味噌を使ってもいいの?

塩、醤油と同様、腎臓に負担がかかったり、味覚形成に影響が出るため、8か月頃までは控えたほうがいいでしょう。9か月頃から風味付け程度に少量を使うのはOK。味噌汁も大人用を4〜5倍くらいに薄めます。だし入り味噌ではなく、無添加のものを使うほうがいいでしょう。

料理に使うときの乳幼児の適量は?

9か月~1歳は少量をたまにならOK。1歳〜2歳は小さじ1/2程度、2歳~3歳は小さじ1程度、3~5歳は大さじ1程度にしましょう。

「無添加」と書かれた味噌は、何が違うの?

無添加の味噌とは、大豆、米または麦、塩のみを原料とし、昔ながらの製法で作られ ている味噌のこと。無添加ではない味噌の場合、主に添加されているのは、「だし入りの味噌によく含まれている、人工的に作られた旨み成分(アミノ酸)」 「味噌の色を鮮やかに着色するために使われるビタミンB2」「味噌の麹菌の働きを失活させ、色や香りの変化を止めて均一化するために使われる酒精やアル コール。容器の膨張を防ぐ役割もある」「保存性を高める目的で添加される保存料(ソルビン酸)」などがあります。

味噌の上手な保存方法は?

味噌は時間の経過と温度の影響で色が変化します。また、発酵も進んで味も変わってくるので、開封後は酸化を防止するために、ラップで表面を覆って空気に触れないようにし、冷蔵庫で保管しましょう。味噌は冷凍しても凍らないので、冷凍庫で保存してもOKです。