バングラデシュは、世界でも最も人口密度の高い国で、日本の4割ほどの面積に、約1億6千万の人々が暮らしています。どこへ行っても、人がたくさんいるなという印象で、首都ダッカ市内の車の渋滞は、一歩も進まず、アジア一です。
国民の平均年齢は、なんと23歳。かたや、日本の平均年齢が55歳ですから、とても若い国、将来へ可能性を秘めた国とも言えます。
国土の1割が河川、繰り返される洪水や浸水などの自然災害の影響もあり、アジアにおいて最貧国と言われるバングラデシュですが、経済は成長を続け、成長が期待される新興国NEXT11にも名を連ねています。特にアパレル産業は、輸出額も大きく、世界有数のファッションブランドが工場をおいていることも有名です。繊維や縫製において、高い技術の伝統があるそうです。若い日本人女性、山口絵理子さんが立ち上げたバングラデシュの皮製品を製造・販売する株式会社マザーハウスも知る人ぞ知るブランドです。
貧困、未就学の子どもたちや女性をサポートするNGOが多数
経済成長の陰で、経済格差も広がっており、経済成長とともに生活水準の底上げはされていますが、未だに貧困にある人々も多く、貧困率は約30%。十分に必要な食料さえも得られない人々がいます(*1)。
子どもたちに目を向けると、健康的な成長のための栄養や衛生的な環境が整わず、乳幼児の死亡率も高いです。また、働かざるを得ない状況にあり学校に通えない子どもたちも多く、バングラデシュでは、小学5年生までが義務教育ですが、就学率は、未だ半分ほどです(*2)。
このような状況に対して、他国からの援助や400を超えるNGOがあります。ちなみに、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏によるマイクロクレジット、グラミン銀行は、バングラデシュの農村発の活動ですが、政府に頼らない活動が盛んです。その中でも、衛生や食生活の改善やそのための啓もう活動、また学校外での学びを支援する活動などの尽力により、子どもを取り巻く状況は、良い方向に向かっています。
また、イスラム教が中心の社会で、女性は、どちらかというと低い地位に置かれています。勝手に離婚されると行き場のない女性も多く、未亡人をサポートする団体があちこちで活動しています。したがって、女性の活躍を促進しようという動きもあり、中学校は、女性の就学率のほうが高いそうです。
富裕層には、ダイエットとエクササイズを
経済発展すれば、お金持ちも中間層もいます。人口が多いので、その数も多いのでしょう。ダッカ市内ではスーパーマーケットもあり、日本と同じような品ぞろえにびっくりします。調理済み冷凍食品もありますし、お金さえあれば、なんでも手に入りそうです。
食事はカレーが中心。お米が年に2回も3回も収穫できるので、主食はお米です。いろいろな種類のお米が売られていますが、驚いたのは、スーパーで見つけた「糖尿病対策米」です。バングラデシュ産のものもあれば、インド産のものもありますが、いずれも、低GI米(血糖値の急激な上昇を抑える)もののようで、通常の米が1キロ50円くらいで売られているそばで、その倍くらいの価格がついています。
また、米国発のファーストフードチェーンも進出していますし、甘い清涼飲料も簡単に手に入ります。となると、必然的に肥満、生活習慣病の蔓延となるわけです。メタボ肥満研究所なるものもあり、フィットネスクラブもダッカ市内でいくつか見かけました。
まさに二極化した人たちが混在となっている国ですが、躍動感があり、今後が楽しみです。