暖かくなり、お弁当を持ってお出かけするのも気持ちいい季節になってきましたね。皆さんは、お弁当を作るとき、どのように献立を考えているでしょうか? 子どもの好きな食べもの、栄養のバランス、見た目の美しさなどでしょうか?
「東洋医学からみる和食」でも書きましたが、古くから日本料理は、5つの味覚(五味:ごみ)、5つの調理法(五法:ごほう)、5つの色(五色:ごしき)を大切に扱ってきました。栄養学がない時代には、この五味、五法、五色を組み合わせてからだのバランスをとっていたのです。今回は、その中の五色を取り上げ、色のもつからだへの影響などについてお伝えします。
5つの色(五色)とは?
東洋医学で用いられる五行では、自然界に存在する臓器や季節、そして色も5つに分けています。
五色(ごしき)の5つの色とは、緑(青)色、赤色、黄色、白色、黒色を指します。新しい芽がでる新緑の春、この時期は小松菜やほうれん草、ブロッコリーなどの緑色の食べ物が旬を迎えます。夏野菜の代表とも言えるトマトは赤色、また赤いトウガラシに含まれるカプサイシンは夏にとるとよい成分でもあります。晩夏には、さつまいもやカボチャなどの黄色い食べ物が、秋にはレンコン、大根といった白色の食べ物が、冬には海苔、こんにゃくなどの黒色の食べ物が旬を迎えます。このように、五行で扱われている色は、それぞれの季節に出回りやすい食材の色でもあり、その時期に必要な栄養素や作用を多く含んでいると言えます。
5つの色(五色)は、からだの調子を整える
五行説では、臓器や器官も5つに分けられています。緑は肝臓や胆のうを、赤は心臓や小腸を、黄は脾臓や胃を、白は肺や大腸を、黒は腎臓や膀胱を、といった具合に、東洋医学の考え方では、五色はそれぞれの色に対応する内臓の働きを整えると言われています。たとえば、懐石料理などでは、からだ全体のバランスを整えるために、1回の食事で五色が入るように献立が作られているのです。
また、季節ごとに変化する気温や湿度などの影響を受けたからだを、それぞれの色の食べ物が整えてくれるとも言われており、各季節で少し多めにその色を取り入れるとよいともされています。冬のお節料理に、昆布巻や黒豆、田作りなど、黒色が多いのも、冬に負担がかかりやすい「腎」を癒すのが黒い色の食材だからです。