大切なことは、子どもの視点で考えること。
焦らずに!
発達には個人差があります。どうか、育児書や子育ての手引き、インターネットの情報だけを見て焦らないでください。ゆっくり、ゆったりとした気持ちで、「食べさせられる」のではなく「自ら食べる」ことの基礎をつくるということが大切な時期です。
赤ちゃんは、生まれながらにしていきなり「食べる」ことを身につけているわけではありません。お乳を吸う、という行為・哺乳行動を通して、口唇や顎、下、そして口腔全体を使って、食べることの基礎を学んでいきます。
捕食(取り込む)→咀嚼(噛んでつぶす)→嚥下(飲み込む)という一連の随意運動を繰り返しながら「食べる」ことを少しずつ学んでいくのです。その過程が「離乳」です。
乳幼児期は、自分で食べる=「ひとり食べ」、みんなで気持ちよく食べる楽しさを知る=「社会食べ」を身に着ける重要な時期ですが、「食べる」というスキル・体の能力を機械的に伸ばすことだけではありません。
そこには、心の成長や情緒の安定が密接にかかわっているのです。
最近では、授乳中に、スマホを見続けているお母さんをよくみかけます。赤ちゃんはママの顔をじっと見ているのに、ママの目はスマホの画面にくぎ付けです。これはとても残念なことです。
赤ちゃんは、大好きなママや保育者の人の顔を目で追っています。このとき、お母さんが語りかけたり、微笑んだりする愛着行動が、人として生きる上で何よりも大切な自己肯定感や情緒の安定につながっていきます。
また、1歳に近づき、離乳食も後期にさしかかると、さかんに手づかみたべをするようになります。これは大人にとってはとても手のかかる困った行為のように思ってしまいます。
しかし、なんでも触りたがる、つかみたがる、というこの行動こそ、この時期特有の探索活動。「これは何だろう?!」という知的好奇心が芽生えてきた証ですね。
大人はついつい、「こぼさないで食べる」「お行儀よく食べる」「規則正しい時間に食べる」ことを急ぎ、焦ってしまいます。しかし、食具や食器をもって一人で食べたがる1歳半頃は、大人とのやりとりが楽しいとき。一方でまだまだ食べこぼしや散らかし食べ、遊び食べなどがみられて当然の時期です。このとき大人が「あれもだめ、これもだめ」とむやみやたらに子どもの行為を禁止したり、子どもからのはたらきかけを無視するような行動をとると、子どもの意欲ははぐくまれません。「はいどうぞ」と差し出したり、「おいしいね」「もぐもぐもぐ」というやりとりや、大人の真似が大好きな時期です。
簡単な食事のマナーやあいさつがなんとなくわかってくるのは2歳ごろです。保育所における食育に関する指針でも、2歳児の食育のねらいはこのようになっています。
「いろいろな種類の食べ物や料理を味わう」「食生活に必要な基本的な習慣や態度に関心を持つ」(できる、という言葉を使っていないことがポイントです)「保育士を仲立ちとして、友達とともに食事を進め、一緒に食べる楽しさを味わう」(楽しく食べることを目標としています)
このように、乳幼児期は、つくられた食事をおいしく楽しく食べる、食事を作る人を身近に感じながら、食べ物への興味関心、また食べ物をいただくという感謝の気持ちを持てるようになるなど「食」の基礎が培われる大切な時期です。そしてそれが生涯にわたってのエネルギーとなる「生きる力」になっていくのです。
忙しい毎日の中でも、いっしょに楽しく食べる、という時間をできるだけ作っていきたいですね。楽しく食卓を囲みながら、子どもの食と生きる力について、食育月間に思いをめぐらせてみてはいかがでしょうか?
【イベントリポート】
ボンカレー 食育の取り組み
5月31日、食育月間に先立ち、ボンカレー(大塚食品株式会社)によるイベントが、東京都町田市の光幼稚園で開催されました!ボンカレーは、1968年に、世界初の市販用レトルトカレーとして発売して以来、レトルトカレーの定番として愛されてきました。
題して「日本のこどもたちとおうちの方へ 今までアピールできていなくてごめんなさい!記者会見」。実は約1年前に、使用している具材の野菜、にんじん・たまねぎ・じゃがいもを国産化し、また、国産野菜10種類とカルシウムとたんぱく質が入った「こどものためのボンカレー」などラインナップも豊富に展開してきました。
当日は、記者会見のあと、ボンお姉さんと一緒に「野菜バスケット」を楽しんだり、園舎に隣接する広大な畑で大根を収穫し、野菜の型抜きをしたり、ボンカレーを試食するなど盛りだくさんの内容でした。野菜に触れ味わいながら園児も保護者も大満足のイベントとなりました。
http://boncurry.jp/