ベビーサインの基礎知識

まだおしゃべりできない赤ちゃんとのコミュニケーション方法「ベビーサイン」。
第3回は、ベビーサインのメリットについてまとめて紹介します。

ベビーサインは、赤ちゃんと手やジェスチャーを使ってコミュニケーションをとる、アメリカ発祥の育児方法

1980年代半ばの米国で、児童心理学者リンダ・アクレドロ氏が、1歳になった娘がジェスチャーのようなものでコミュニケーションをとろうとしていることに気づき、友人のスーザン・グッドウィン氏とともに研究を始めたのがきっかけ。それにより、『ベビーサイン』と言う言葉が誕生し、1990年以降に日本でも子育てを助ける育児法のひとつとして注目を浴びるようになりました。

赤ちゃんは、口や舌、喉の筋肉が未発達のため、言葉を使って会話ができるようになるのは2歳頃と言われています。手は比較的早くから動かせるため、赤ちゃんにとってベビーサインは、お話できるようになるまでの期間限定のコミュニケーションツールとして役立ちます。

赤ちゃんにもママにもうれしい、ベビーサインの4つの効果

1.育児によるストレスが軽減される

赤ちゃんは「泣く」という方法でしか気持ちを伝えることができません。もし、赤ちゃんが泣かずに欲求や気持ちをサインで伝えられ、通じ合えたら親子ともにストレスを感じることが少なくなりますよね。また、今まで共有することが難しいとされていた、“赤ちゃんの世界”をほんの少しですが知ることができ、どんなものに興味を持ち、何を感じているのか、喜びを分かち合うことができます。

 

2.赤ちゃんの健康や安全を管理してあげられる

赤ちゃんの行動範囲が広くなると、危険なことに遭遇することが増えます。そんなとき“痛い”“熱い”などのサインを知っていると、赤ちゃんに注意を促し、危険を防ぐことができます。また、赤ちゃん自身が痛みをサインで伝えられるようになると、すぐに不快感を取り除いてあげられたり、病気の早期発見にもつながります。

私の場合、息子が1歳5か月の頃、鼻水だけがダラダラと続いたときがあり、軽い風邪だろうと思っていたら、何日かすると“痛い”というサインをするので病院に連れて行くと、中耳炎の一歩手前ということが!

このように、ベビーサインを始めるとやっていてよかった!と思える瞬間にたくさん出会います。

 

“痛い”のサインを教えるコツ!

赤ちゃんが転んで泣いているときに“痛い?”のサインをしても、それどころじゃない! と見てもらえないことが多いはず。タイミングを見て少し落ち着いてから、「さっきは痛かったね」とサインを見せながら声をかけてみましょう。

また、お友達が転んで泣いているとき、赤ちゃんがママを噛んだり叩いたりしたとき、お人形やおもちゃを投げたりしたときにも、声かけと一緒に“痛い”のサ インを見せてあげて。“痛い”のような形容詞は、体感することで覚えるため、なかなか出にくいサイン。いろいろな場面で視覚的に見せていくことで“痛い” という概念を理解してもらえます。危険なことを避けたいときも、「痛い痛いだよ、危ないよ!」と注意を促せますよ。

 

「痛い」

両手の人指し指の先を、トントンと数回触れ合わせます。

痛そうな表情をつけることもポイント!

 

3.言語能力が身につく

「言葉の発達が遅くなるのでは?」と心配される方もいますが、ベビーサインは語りかけと一緒に行うので話し言葉への影響はありません。むしろ赤ちゃんは、ベビーサインによってコミュニケーションの楽しさを早くから知るため、ものの名前やその使い方を早く理解することがわかっています。米国では、ベビーサインをしていた子はそうでない子よりも語彙が豊富になるという研究結果が出ています。

 

4.親子の絆が深まる!

赤ちゃんは欲求を伝えるだけではなく、発見や話題をなげかけてきます。例えば、外で車のサイレンがなれば“車”のサイン、本に描かれている花の絵を見て “花”のサインをして教えてくれます。サインが出ると赤ちゃんを褒めてあげる機会も増え、とてもいい親子関係が築けます。また、赤ちゃんの意思を理解してあげられるので、赤ちゃんの安心感にもつながります。

おすわりができて、ママと視線が合うようになったらスタート

始める時期は赤ちゃんの発達によっても個人差はありますが、「おすわりの頃(6~8か月)」をおすすめしています。この頃の赤ちゃんは、おすわりによって視界が広がり、ママとの視線も合わせやすくなります。聴覚も大人並みに発達し、視覚や聴覚を通して周りのものに興味を示し、積極的に関われるようになる時期なのです。

おすわりが安定してくると、ママの動作やポーズを見て真似したり、自分の意思に合わせて両手を自由に動かせるようになるので、ベビーサインを始めるのに適しています。

 

ねんねの頃は、とにかくアイ・コンタクトを大事にして!

ベビーサインを始めるのに、月齢が早すぎるということはありませんが、ねんねの頃の赤ちゃんには、サインを教えることよりも、視線を合わせた話しかけやス キンシップを大切にしてもらいたいですね。親子の絆作りがしっかりできていると、大好きなママに注目してくれるようになるので、ベビーサインを始める「おすわりの頃」のときに、よりスムーズに始められます。