ミャンマー編<br><font>~周りの国から影響を受けた食文化、茶を食べる唯一の国~</font>
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肉や魚を煮込んだヒン。スパイスは控えめだけど油が多い。

ミャンマーは、インド、バングラデシュ、タイ、ラオス、中国と国境を接しており、南北に長い国土は、日本の約1.8倍もあります。人口は5千万人余りですが、135もの民族がおり、他国と接する部分も多いので、食文化も多種多様。インド、バングラデシュの影響でしょうか、ヒンと呼ばれるカレー、そして中国料理、タイ料理が入り混じったような感じです。

 

なかでもユニークなものは、お茶の葉を食べる習慣があること。ラペッソーという茶の葉を発酵させた漬物を、炒った豆などと一緒に食べるのですが、渋酸っぱいお茶の葉と香ばしい豆と油がおいしく、後を引きます。しかし、子ども好みの味でなく、消化も良くないという理由からもうちょっと大人になってから。油をたっぷりと使った食事が多いため、小さいうちはおかゆやスープなどあっさり味のものを食べています。

 

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写真左:市場で売っていたラペッソー
写真右:中国国境に近いところのお茶畑

ミャンマーの料理は、ほかのアジアの国に比べてスパイスもあまり効いていないので、特に子ども向けという料理はないようです。

ロンジーとタナカ

ミャンマーでは、男女ともロンジーという巻きスカートを身に着けています。ロンジーは、公務員や企業、また学校の制服ともなっており、ほぼ年間を通じ、気温が30℃を超える暑いミャンマーでは、涼しく過ごしやすい工夫でもあります。民族ごとにも伝統衣装がありますが、普段は、ロンジーと鼻緒のついたサンダルがミャンマーの典型的な服装です。

 

もうひとつは、タナカ。子どもから大人まで、多くの女性が、黄色がかった白いおしろいを顔に塗っていますが、タナカという木からとったもので、日焼け止めや美白効果があるとされています。頬にばっちり塗っているのは、とてもお茶目です。このタナカを、健康のために、肌に塗るだけでなく、子どもの口にちょっと入れることもあるそうです。

 

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写真左:古都マンダレー市場の女性たち。ロンジーを身に着けている。
写真右:お土産売りに来た子。タナカを塗っています。

子育ては、家族みんなで

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ラショーという町の小学校

多くは、大家族で住んでいて、幼い子どもは、家でめんどうをみるのがふつうで、保育園はまだほとんどないそうです。働く女性も多く、祖父母に育てられる子どもも増えてきていて、祖父母の子育ては子どもに甘すぎると、両親との衝突も最近はあるそうです。

小学校はほとんど公立。最近は私立学校も増えているそうですが、まだ少なく、地方では、学校の設備も十分ではないな、という印象を受けました。

きれい好きで、優しい国民性

8月に大きな地震があって、有名なバガン遺跡の仏塔が倒れたと報道されていました。ミャンマーは、お寺も多く、あちこちに仏塔がたくさん立っていますが、人生で成功したお礼にと仏塔を立てる習慣があります。寄付(寄進)をすることが当たり前のように行われ、また功徳を積む意味で、ボランティア活動も盛んですし、男の子は出家にでたりもします。ほかのアジアの国に比べると、おっとりとした印象を私は受けます。

 

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写真左:少年僧たち
写真右:川岸には仏塔がたくさん見えます
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雨期のエーヤワーデ川。ほとんどが浸水しています。

また田舎にいっても、街道沿いのトイレがきれいなこともミャンマーで感心したことの一つです。今後経済発展が進むと都市化が進み、背の高いビルも建設ラッシュです。タナカを顔に塗っている子どもたちの将来も、大きく変わっていくことでしょう。