子どもに伝えたい、願いを込めて作るお正月料理

お正月は家族そろって、おせちやお雑煮、お屠蘇など、日本の伝統料理をいただきます。一年のはじまりにいただくこれらの食事には、どのような願いや歴史があるのでしょうか。
今回は、お正月料理に込められた意味をご紹介します。

お正月の豪華な節供(せちく)料理が「おせち料理」に

おせち料理のはじまりは、一年の節目である「節句」に神様にお供えする「節供(せちく)料理」。節句は元日のほか、3月3日の「桃の節句」や5月5日の「端午の節句」などが知られていますが、江戸時代以降、元日の豪華な節供料理だけを「おせち料理」と呼ぶようになりました。

 

正式なおせち料理は、一の重、二の重、三の重、与の重、控えの重の五段重。しかし、最近は一の重から三の重までの三段重が主流です。料理の種類は、「吉数」とかけて、奇数になるように詰めるとよいとされています。

 

一の重

「祝い肴」「口取り」と呼ばれる酒の肴を詰める。

三つ肴 おせち料理に欠かせない3種類の祝い肴
1.黒豆(豆に働き、元気に暮らせることを願う)
2.数の子(子孫繁栄を願う。ニシンの子どもなので、「二親健在」という意味もある)
3.関東:田作り/ごまめ(かつて、イワシを肥料にすると豊作になったことから、五穀豊穣を願う)
3.関西:たたきごぼう(ごぼうが地中にまっすぐ根を張ることから、家が頑丈であることを祈る)
紅白かまぼこ 魔除けを意味する紅と、清浄を意味する白を使ったかまぼこ。初日の出のような半円型も縁起がよいとされている
栗きんとん 黄金色をしていることから、商売繁盛や蓄財を願う

 

二の重

魚介類などの焼きものを詰める。

 

えびの塩焼き えびのように腰が曲がるまで長生きすることを願う
ぶりの照り焼き ぶりは、成長の度に名前が変わる出世魚。将来の出世を願う
鶏の松風焼き 鶏肉のすり身に卵などのつなぎと調味料を混ぜて型に入れ、けしの実やごまを散らして焼いたもの。縁起物である扇に見立てられている

 

三の重

煮ものを詰める。縁起のよい食材を一緒に煮しめることで、家族が仲良く暮らせることを願う。

 

にんじん しっかりと根を張るように、安泰な暮らしを願う
れんこん 穴があいていることから、将来の見通しがきくようにという願いが込められている
ごぼう 根を深く張ることから、一家が代々続いていくことを願う
手綱こんにゃく 縁結びの願いが込められている
くわい 大きな芽が出ることから、「めでたい」の意味が込められている

 

子どもにとっては好きな味ばかりがそろっているわけではありませんが、これらの意味を伝えてあげることで、食べるきっかけを作ってあげることができます。

 

 

地域・家庭によって味が異なる「お雑煮」

お雑煮は、おもちを、野菜や鶏肉、魚介などと一緒に煮込んだ料理。神棚から下ろしたお餅を年神様から分けてもらった「年魂(としだま)」になぞらえ、食べると生命力が与えられるとされています。

 

お雑煮は、地域によって食材や調理法に違いがあります。お父さんやお母さん、おじいさんやおばあさんの出身地などによって、家庭ごとに異なるお雑煮が供されるのも楽しみのひとつです。

 

関東風  しょうゆで味つけしたすまし汁に、焼いた角餅を入れる
関西風 白みそ仕立てで、丸餅を焼かずに入れて煮る

お餅を食べさせる目安は、乳歯が生え揃った3歳ごろから。小さめに切り、「よく噛んで食べようね」と必ず声をかけてあげましょう。

 

「お屠蘇(とそ)」で邪気を払い、今年も家族で元気に!

「屠蘇(とそ)」という言葉には、邪気をはらい、魂を蘇らせるという意味があります。平安時代、漢方薬「屠蘇散」が入ったお酒をお正月に飲む習慣が中国より伝わりました。

お屠蘇は、若い人から順番に飲んで年上の人へと回していくことで、若い人のエネルギーがお年寄りまで移り、一年中家族が元気に暮らせると言われています。お子さんには、飲む真似だけをさせましょう。

 

古くから、日本の人々が家族の幸せや健康を願って食べているお正月料理。それぞれの料理のもつ意味をお子さんに伝えてあげれば、家族みんなでゆっくりと過ごすお正月がもっと特別なものになるはずです。みんなで仲良く分け合いながら、一年の幸せを願いましょう。