先輩ママたちの子育て奮闘記。今回は、富良野の雄大な自然の中で子育てに奮闘中のママさんにお話しを伺いました。
ラベンダーの美しい季節。観光客でにぎわう富良野駅からバスに揺られて30分…のはずが、事前に地図でシミュレーションしていたにも関わらず距離を見誤り、駅前のレンタサイクルでママチャリを借りてなんと、約2時間かけてたどりつきました!
富良野の美しく雄大な自然、そして母親の留美さん・10か月になる莉緒ちゃん親子の素敵な笑顔が、そんな私(記者)をやさしく迎えてくれました。
留美さんは新潟県出身。地元の短大を卒業後、都内で15年間、社会人として働いていましたが、北海道に憧れ、いつしか「移住したい!」と思うように。北海道在住の現在のご主人と出会い、結婚してその夢を叶え、愛娘の莉緒ちゃんを出産しました。
ご主人の実家は、スイートコーンやたまねぎを栽培する農家を営んでいます。まさに、春から秋にかけては繁忙期。留美さんは子育てに専念しています。
最低限必要なものしか買いませんでしたが、
余計なモノが増えずによかったかも
莉緒ちゃんの出産はとても大変だったといいます。
8カ月目に入って切迫早産になり子宮口が開いてしまい、絶対安静の状況、母子ともに危険があるとも言われました。一番忙しい真夏の時期でしたが、富良野駅近くの総合病院にご主人が連れて行ってくれました。
生産期の37週までなんとか持たせるために10日間入院。点滴で張り止めをしましたが、今度は逆子に。帝王切開でようやく生まれてきたのは、2,574gの元気な女の子でした。
留美さんにとって初めての長期入院。
出産後10日間で帰宅したものの、頭から足の先まで全身の至る所に痛みがあり、体調は全く回復しませんでした。
幸い新潟県から実母が来てくれ、1カ月半付き添ってくれました。ようやく体調が回復したのは3カ月たったころだったといいます。
“妊娠中は、マタニティママ向けの雑誌や育児雑誌で、必要なものをリサーチしていましたが、情報がたくさんありすぎて、結局どれを買ったらよいのかわからず、肌着など最低限必要なものしか買いませんでしたが、かえって余計なモノが増えずに良かったかも”
首が座ったのは3カ月半、寝返りは6カ月半、はいはいは9カ月・・・と、とくに大きな病気もせず、すくすく成長している莉緒ちゃんですが、パパのたばこを誤飲してしまい、慌てて病院に駆け込んだこともありました。
また、離乳食を始めたころは、なかなか食べてくれず、悩んだことも。「どうして食べてくれないんだろう」と思い悩みましたが、スタートから数か月たち、いまではお腹がすいて自然に食べるようになりました。
一緒に手をつないで寝て
この子がお腹にいた時のことを思い出しては、気を休めています
いま、一番の悩みといえば、時間の使い方。
“赤ちゃんにずっとかかりっきりなので、自分の時間が欲しくなりますね。
雨で仕事ができない時や冬の間はご主人の実家のお父さん、お母さんがみてくれて出かけられることもありますが、それ以外は子育てが私の生活の中心なので、息抜きをしたくなることもあります”
最近では後追いがひどくて、泣き声にイライラすることもしばしば。精神的に参って、もうイヤと投げ出したくなる時には、一緒に手をつないで寝てこの子が自分のお腹にいた時のことを思い出しては、気を休めています。
同じことの繰り返しの毎日、寝返りができたとか、つかまり立ちができたとか、成長がわかる瞬間が見えると、それだけで喜びに変わります。
ママ友たちとの時間も、貴重な情報共有やお悩み相談の機会
そんな莉緒ちゃんはつかまり立ちが上手になって、目が離せません。お昼寝中や遊びに集中しているときに、ささっと済ませたり、すきま時間をうまく使って家事をこなしているという留美さん。
娘の動きに目を配りながらも、効率的に時間を使うようになったという新米ママは、インターネットでの情報収集にも余念がありません。
“いろいろなWebサイトやアプリをリサーチして、子育ての知恵や子どもの教育の情報を入手しています”
子育ては毎日が、試行錯誤。
週1回、市内の中心部にある保健センターで開催されている乳児のためのプログラムや、そこで出会ったママ友たちとの時間も、貴重な情報共有やお悩み相談の機会だといいます。
“この地域では、2、3歳になると、近くの保育園に預ける方が多いんです。都心部の待機児童のニュースなどをみていると、保育園に入れない、という状況にも驚きますが反対に、保育園を選べる、という環境にびっくりします。以前、同じ月に出産した友人に東京の子育て環境についての状況を聞いたのですが、地方によってこんなに違うのだな、と実感しました”
一方で、富良野市内でも、少子化で、小学校が統合されたり廃校になったりしています。莉緒ちゃんが就学するころには、どうなっているのか、というのも留美さんの心配のひとつだといいます。
子育てに関する情報がメディアにあふれている社会。
時に悩んだり不安になったり自己嫌悪に陥ったりしながらも、日々前向きに、一生懸命に一つひとつのことに向き合い、子どもにとって何が一番いいか、その情報を自分なりに見極め、何よりも娘との一日一日を大切に過ごしている、輝いたお母さんの姿がありました。
帰路、真夏の太陽の下、自転車をこぎ続けながら、「北の大地でも、また素敵なお母さんの笑顔に会えた!」というあたたかい気持ちでいっぱいになったのでした。
ママに聞きました!
- 離乳食にも大活躍する北海道の食材は?
かぼちゃです。
冬のうちに食べやすい大きさに切って冷凍したかぼちゃを味付けせず煮たもの。
これはとても子どもが好きなようで、良く食べていました。
凍ったまま煮るのがポイントで、解凍してしまうと美味しくないそうです。
夏は、採れたてのブロッコリーやトマトを食べさせたいです。
- 身近なお出かけスポットはどこですか?
①ツルハドラッグ(富良野)
新しくできた薬屋さんで、店内の一角に休憩コーナーがあり電子レンジやお湯もあってよくミルクを飲ませてもらっています。
②保健センターのふれあい広場(富良野)
週に1回通って遊ばせています。保育の先生もいてボールのプールもあり、おもちゃもたくさんありますよ。
③ビエール(美瑛)/ もりもりパーク(旭川)
屋内の無料で遊べる大きな施設です。
これから行きたい!富良野のオススメスポット
まだ子どもが小さくて遠出をしていないのと、富良野には出かけられる所があまりないのですが、他にも様々なスポットがあります。
フラノマルシェ(富良野)
おみやげ観光スポット。新しくできたマルシェ2の建物の広場には子どもが遊べるスペースがあります。
六花亭(富良野)
有名な北海道のお菓子屋さん。景色が一望できるテラスがあり無料のコーヒーが頂けるのはうれしいです。
ホテルナトゥールヴァルト(富良野)
泊まったことはないのですが、ロビーにウエルカムフードがあって、子どもに優しいホテルです。
イオン(旭川)
ベビーカーがあって店内も広く、フードコートで食事ができます。
- よく見る子育てWebサイト・アプリは?
Webサイト…
ベビカム、It mama(イットママ)、ウィメンズパーク、ピカ☆ママ コミュニティ、赤すぐ などです。
アプリ…
ママリQです。
ママからのお悩みQ&A!
- ごはんとおかずは一つのお皿に混ぜるよりも、個別に盛ったほうがいいですか?
ごはんとおかずは、個別のお皿に盛り付けることをお勧めします。なぜなら、乳幼児期は、「こんな味があるのね」「これは粒々がある」「とろとろしている」「これは固いよ」など、いろいろな味、口触り、固さなどを、毎回の食事で体験しながら食経験を豊かにしていく大切な時期だからです。しかし、ごはんとおかずを一つのお皿に混ぜてしまったら、ご飯やおかずそれぞれのもつ味、口触り、固さの体験が難しくなってしまいます。
たまにはごはんとおかずを混ぜて、おじやのようにして出すことがあっても、お子さんの食体験を豊かにし、味覚を育てるためには、個別に盛りつけることが基本となります。
- 箸の練習はいつ頃からすればいいですか?
子どもの発育・発達には個人差がありますから、いつ頃から、という明確な基準があるわけではありませんが、一般的には3歳半前後になって、以下のような様子が見られたら、箸の練習を開始するとよいでしょう。
①食事時間に大人が使っている箸に興味を示すようになる。
②スプーンの鉛筆にぎりができるようになる。
スプーンの使い方は、図に示すように、手のひら握り⇒指握り⇒鉛筆握りと発達します。手のひら握りの時は、親指以外の4本を個別に動かすことは難しいので、親指と親指以外の4本指の2つの部分の動きでスプーンを操作しています。指握りになると、親指、人差し指、それ以外の3本指の3つの部分の動きになります。鉛筆握りが上手にできるようになると、親指、人差し指、中指が連動して動くようになりますので、箸を持たせることができるようになります。ですから「〇歳になったから、箸の練習を開始する」というより、お子さんの興味・関心、指の機能の発達に合わせた時期に開始すると、親子共にストレスをほとんど感じることなく、箸の正しい使い方が身についていきます。
なお、幼稚園や保育園で、箸の使い方の練習を始める時期に合わせて開始するのも、お友だちと一緒に、楽しく正しい箸の使い方を身につけるのに役立つことでしょう。
お悩みに答えてくれた先生
相模女子大学 栄養科学部健康栄養学科 教授
堤ちはる(つつみ・ちはる)先生