1979年から続いた中国の一人っ子政策、昨年11月に廃止することが発表されました。一人っ子政策による少子高齢化の促進やアンバランスな男女比などの問題への対策と言われています。日本では、一人っ子が増えてはいますが、2010年の統計(*)によると、2人以上の兄弟がいる家庭が8割を超えており、少子化とは言え、兄弟のいる子どもの方が多いのです。中国は、ほぼ全員が一人っ子。中国の子どもは、両親とそれぞれの祖父母の6人の愛情と資金が注がれ、小皇帝と呼ばれています。
増加する子どもの肥満
愛情たっぷり注がれた小皇帝の食生活は、どんなものでしょう。
広大な中国、内陸部では、未だ栄養状態も十分ではなく、発育不良の子どもが多数いる一方で、都市部では、肥満の子どもたちが着実に増えています。北京や上海では、ぽっちゃりした男児が多いことに気づきます。経済発展、両親をはじめとする6つの財布、また、スナックやソフトドリンクなどジャンクフード文化の導入などが背景にあるのでしょう。
また、自動車の普及も影響が大きいように思います。中国と言えば、昔は、行き交う大量の自転車というイメージでしたが、今では、都市部では自転車などほとんど走っていません。走っているとしてもおしゃれな趣味用のサイクリングカーです。下校時間の学校の前には、お迎えの親と車があふれている光景をみると、運動不足になるのも当たり前。
余談になりますが、めがねをかけた子どもも目につき、ゲームやスマホの影響だろうなと想像します。でも、これは中国だけに限った話ではないですね。
食事ガイドラインで食育
栄養については、子どもだけでなく、国民全体で、油脂の摂取が多いことが指摘されています。食生活は、生活習慣病と密接な関係もあるため、中国政府は、食生活の指針に、2007年に食事ガイドラインを発表しています。
お寺のような形が中国っぽくてかわいいですが、一番下には、炭水化物、その上には、野菜や果物、肉や魚などのたんぱく質、乳製品、そしてトップには、油と塩という構図になっており、バランスよく食べることと油が25-30g、塩が6gと具体的な数値が示されています。お寺の脇には運動する男性の姿と水の絵が添えてあり、運動と水分の摂取の必要が示されており、日本の食生活指針にも通じるところがあります。
小学校では、「飲食教育」という日本でいう食育の授業があるようで、栄養、安全、衛生の視点から、健康な食生活とは、そのためにどのような食を選択するべきかを学んでいるそうです。
(*)国立社会保障・人口問題研究所第14回出生動向基本調査(2010年調査)
参考資料:
FAO 世界食糧機関 http://www.fao.org/ag/agn/nutrition/chn_en.stm
Chinese Dietary Guidelines http://dg.en.cnsoc.org/