ルクセンブルクは、フランス、ドイツ、ベルギーに囲まれた、神奈川県ほどの面積の小さな国です。森と渓谷の美しい自然に富み、世界遺産に登録される、首都のルクセンブルク市の旧市街地は素晴らしい景観ですが、私たちにはあまりなじみのない国です。でも、実は、一人当たりのGDPは、世界でもトップクラスの豊かな国です。
金融、先端企業が集まるEUの中心
ルクセンブルク駅を出ると、ピカピカのヨーロッパ高級車がガンガン走っているのに驚かされます。ルクセンブルクは、古くは鉄鋼業で栄えましたが、重厚産業から方向転換し、今では、金融サービス業の中心に、スカイプやアマゾンなど世界有数のIT関連の企業が欧州の拠点を置いています。ヨーロッパの統合を進めてきた経緯もあって、EUの機関が集まるところでもあります。
マルチリンガル
お金や仕事があつまれば、人も集まります。人口56万人のうち、ルクセンブルク国籍を持つ人は54%、つまり半数近い人が外国籍です。その出身国は、170ヵ国以上にも上り、なんとも多国籍な国であります。また、コミューターと呼ばれるドイツやフランスから国境を越えて通勤する人は、16万4千人もいるそうです。
すると、使われている言葉が気になりますね。
公用語は、ルクセンブルク語に加え、フランス語とドイツ語の3か国語です。ルクセンブルクの子どもたちは、小学校でまずドイツ語、そしてフランス語と学び、中学生になるころには、トリリンガルになるそうです。なんともうらやましい話ですが、さらに中学生では、英語を学びます。ルクセンブルクには、大学がひとつしかないため、留学に行く機会も多く、何か国語も話せるルクセンブルク人は、珍しくないようです。
融合され、洗練された食文化
さて、ルクセンブルクの食は、「フランスの質、ドイツの量」と言われるほど、おいしく、ボリュームもたっぷり。鉄鋼で栄えた時代は、ポルトガルやイタリアからの移民も多く、その影響も混ざりあい、まさにヨーロッパ各地のいいとこどりの美食の国。国民一人当たりのミシュランの星の数が最も多い国でもあります。
なかでも、「パテ・オ・リースリング」という仔牛肉と豚肉のパテを包んだ、でべそのような円い輪がくっついたユニークなパイが名物です。パイとパテの間に、名産のリースリングワインのゼリーをいれたユニークなもの。形や大きさは色々ですが、必ず惣菜店のショーケースに並んでいます。ワインが入っていますので、残念ながら子どもは食べられません。
子どもたちのお楽しみ
これからの季節、子どもたちが楽しみにしているのは、12月6日の聖二コラの日。ルクセンブルク版サンタクロースですが、聖二コラが元祖であると言われています。6日の朝は、1年間良い子にしていた子どもたちに聖二コラがお菓子やプレゼントを置いていくと言われています。お菓子もおいしいルクセンブルクでは、この時期、チョコレートやお菓子の入ったバスケットでお菓子屋さんの店頭は賑やかになります。
また夏には、中世から続くと言われる移動遊園地「シューバーファウアー」で、子どもたちだけでなく、大人も楽しみにしているお祭りがあります。移動遊園地ながらも、観覧車やジェットコースターなどもあり、大公殿下までもいらっしゃるという国民的な行事で、スーツ姿の大人たちが、ホットドックをほおばりながら、楽しんでいるのが印象的です。