子どもの“好き嫌い”は、多くのママが抱える悩み。
そこで、嫌いなものをつくらないようにするポイントを6つに絞ってお伝えします。いろいろ工夫しているのに、食べてくれない……と悩んでいるママは必見です!
1.おなかが空いた状態で食事の時間を迎える
一番大切なのは、食べる前はおなかを空かせるということ。空腹なら、少し苦手なものでもちゃんと食べます。一日の生活リズムは“朝型のリズム”を心がけましょう。起きる時間をだいたい決めると、楽しく遊ぶ、よく寝る、食べるというリズムが自然に整います。離乳食が始まったらできるだけ同じ時間に食べさせていきましょう。
また、食事やおやつを決まった時間以外にダラダラと食べていると、食欲に影響します。授乳回数が多くないか、おやつやジュースのとり過ぎになっていないか見直してみましょう。
2.離乳食の三回食からは「取り分けメニュー」に
離乳食が三回食になったら、大人の食事からの「取り分けメニュー」がおすすめです。例えば肉じゃがは、味を付ける前に食べられるものを取り分け、食べやすいようにつぶしたり、細かくします。味付けした後に取り分ける場合は、お湯で味を薄めるといいでしょう。
赤ちゃんは、それまで特別に作ってもらった離乳食より、パパやママと同じメニューに興味深々。食べるものが同じだとわかれば嬉しい気持ちになります。「にんじん、食べようね」とおいしそうに食べる姿を見せたら、食べてみようという気持ちになるのです。
そうやって、赤ちゃんはいろいろなことを見て学んでいます。「パンをちぎって食べているな」「おはしはどうやって持っているのだろう?」など、ちゃんと親の食べ方を見ているのです。ですから、家族で食卓を囲んで同じものを食べておいしさを共有しましょう!
3.口腔機能に合った「食感」にする
赤ちゃんの“好き嫌い”の原因の多くは、「食感」にあります。舌触りがザラザラしている、舌でつぶしにくいなど、食材の形状や固さが口腔機能の発達に合っていないことがあるのです。
例えば、にんじんをみじん切りにしても発達に合う軟らかさにしていなければ、ゴロゴロして食べにくいですよね。月齢の目安はありますが、口腔機能の発達や歯の生え方は個人差があるので、赤ちゃんの様子を見ながら食べやすい形状や固さを調整してあげましょう。固さを確かめるには、でき上がりを指でつぶして確認します。また、食べさせているときに飲み込みにくいようなら、スプーンでつぶしたり、とろみのあるおかゆや芋などと混ぜ合わせてもいいでしょう。
Column
子どもの「咀嚼機能」の発達を再チェック!
丸ごと飲み込むのが癖になっていませんか?
7〜8か月頃の丸飲みは、なめらかにすりつぶした状態の離乳食を上手に食べられるようになった証拠。今度は、食べ物を口の中に留めてごくんと飲むことを練 習していきます。ただ、子どもはすごい勢いで欲しがるので、素早くあげなくては、と子どもの速さに合わせてしまいがちです。咀嚼の発達には、口に留めて舌 で感じることが大切。そのようなときは、ゆっくりあげるようにしましょう。「もぐもぐしようね」「次はにんじんかな」などと話しかけて丸飲みを防ぎます。
9か月頃になると舌と上顎でつぶせないものは、奥の歯茎の上でつぶすことを覚えていきます。そして個人差は多少ありますが、前歯が生えてきたら前歯でかじ りとってひと口量を覚えていきます。この頃から軟らかい形状のままでは丸飲みをしてしまうため、ある程度の食感が必要になります。
そこで注意したいのが、おじやや混ぜごはん。子どもの咀嚼は、おかゆ、にんじん、お肉など、それぞれの食品が持つ食感の違いを経験することで発達します。
栄養面を気にしすぎると、最初からおかゆにすべてを混ぜて食べさせてしまうことがありますが、同じ食感だったり軟らかすぎたりすると丸飲みが癖になってしま います。それぞれの素材の味がわかりにくくなるだけでなく、咀嚼力もつきにくくなります。子どもは、「どんな軟らかさだろう」「これは上顎に押し付けてつ ぶせるな」「これは無理だから歯茎に持っていこう」などを口の中で感じ、自分で考えています。基本は、おかゆ、汁物、おかずを別々に用意します。もちろん おなかが満たされると遊び始めたりするので、最後は混ぜて食べさせてもいいでしょう。
幼児期は“咀嚼力”を鍛える大事な時期!
奥歯が生えそろう幼児期(2歳6か月〜3歳6か月頃)は、さまざまな食感を味わいながら噛む力を育ててほしい時期。奥歯で噛む練習ができるものを用 意し、大人と食卓を囲んでゆっくり食べるように習慣づけましょう。大きめに切った茹で野菜をはじめ、海藻類や生野菜などペラペラしているもの、きのこ類、 こんにゃく、かまぼこなど弾力のあるもの、焼肉や焼き魚、イカやタコなど固いものでよく噛まないと咀嚼しにくいものなど、歯ごたえがあるものを増やしま す。
洋食や麺類は、軟らかいものやソースのとろみであまり噛まなくてもすむメニューが多いもの。和食を中心にすると食品数も多く取れ、食物繊維も豊富でよく噛む機会が自然に増えます。
咀嚼の経験が少ないと、食べものの誤嚥(ごえん)などの事故が起こりやすくなります。よく噛むことを教えていきましょう。噛む練習には、「噛むとどんな音がするかな?」「どんな味がする?」と声かけして楽しんで味わえる関わりが大切です。
また、噛みにくかったりすると、噛まずに水やお茶などで流し込むような食べ方をすることがあります。水分だけに頼ってしまうとせっかく噛む料理を出しても噛まない癖がつくことがあるので、食べ方をときどき確認してみましょう。
よく噛むことは、消化を助けるだけでなく、あごの発達が促されてよい歯並びになるという利点もあります。
4.見慣れる&食べ慣れる
母親たちに聞く食事の困りごとの上位は“好き嫌い”です。
じつは1、2歳より、3歳のほうがこの困りごとが増えます。それは、3歳になると食べられる食品数が多くなるからです。
また、子どもは「新奇性恐怖」といって初めて見るものには恐怖心を持つことがあります。以前、乳幼児期を通してひじきを見たことも食べたこともないお子さんが、学校給食で初めてひじきを見てびっくりして食べられなくて泣いてしまった、という話をその母親から聞いたことがあります。このことからもわかるように、子どもは食べ物に対する警戒心が強いのです。
“食わず嫌い”にさせないためにも、一度食べなかったからといって嫌いと決めつけず、あきらめないこと。苦手なものは味を変えたり料理法を変えたりして、繰り返し食卓に出してみましょう。見る機会が増えれば、それに対する抵抗感も和らぎ、周りの人が「おいしい」と言いながら食べると「おいしいのかな、食べてみようかな」と挑戦してみようと思う気持ちを引き出すことができます。
5.苦手なものを強制しない
食べたくないものを無理強いしてしまうと、余計に嫌いになってしまうものです。無理に食べさせることはしません。それよりも興味を引くような声かけが大切です。「どんな味がするかな?」「どんな匂いがする?」と言うと、味わって食べてくれるようになります。子どもは、「ちゃんとカミカミしなさい」「食べて!」と押し付けられるほど食べないものです。
6.励ましたり褒めたりして楽しい環境を作る
子どもたちは、お手伝いが大好き。“好き嫌い”をなくすには、むしろお手伝いなどの実体験を通して食べものを身近に感じることが大切かもしれません。畑やプランターに野菜を植えたり、水やりなどのお手伝いをしたりすれば、収穫する喜びは大きいものです。
「きゅうりを洗おうか」「レタスちぎってみる?」などと調理に誘ったり、料理の味見をさせたりすることでもいいのです。最後に「手伝いをありがとう」と感謝する気持ちを伝えれば、子どもはとても嬉しくなるもの。このような楽しい経験から、お手伝いをした後は急に食べられるようになったりします。
また、「もうひと口食べてみようか」と励ましたり、「食べられたね」と褒めたりしていると、食への興味がどんどん沸いてきます。“食べさせる”ことが一番の目的ではなく、喜んで食べることが大切なのです。
“好き嫌い”の記憶は、子どもたちに聞いてみると小学校低学年の時期が最も多く、そのことからも、それまでによい記憶を残してあげることが大切だとわかります。好きになる理由は、「楽しい思い出と結びついている」「母親の手作りの味」というように、感情や愛情と結びついています。お手伝いしてもらったり、褒めてあげたり、楽しい経験をたくさん作ってあげましょう。
参考図書:味覚とおいしさの科学:一般社団法人 東京都学校歯科医会、2014.3